核燃料サイクルは「見直し」が世界の流れ
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の行方について解説した。
核燃料サイクルの行方
自民党総裁選では、原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の行方に注目が集まっている。河野太郎ワクチン担当相が抜本的な見直しを明言し、自民党内の原発推進派や電力業界などが警戒感を強めている。
核燃料サイクルと原発の推進は別問題
飯田)核燃料サイクルの行方について。これは脱原発というような文脈のなかでも取り上げられることが多いのですが。
高橋)ちょっと話すと、「あなたは脱原発派ですか」とすぐ言われます。核燃料サイクルについてですが、海外の資料がほとんどないのです。
飯田)ないのですか。
高橋)不思議でしょう。海外の実例を言うと、最初から原発推進国であっても、核燃料サイクルを実施していない国は多いのです。昔はしていたけれど、最近はしなくなったという国もある。核燃料サイクルと原発の推進はまったくの別問題なのです。
エネルギー資源の有効活用ということで昔はプルトニウムを取り出していた~いまはウランが豊富にある
飯田)核燃料サイクルを止めたからといって、脱原発というわけではない。
高橋)まったく違うし、どちらかと言うと軍事的な意味です。中国やロシア、あとはインドくらいしか核燃料サイクルを本格的には進めていません。
コストも技術もかかるので再利用せずそのまま処分する国がほとんど
飯田)核燃料サイクルは再処理をして、そこからプルトニウムを取り出すというものですよね。
高橋)昔はウランが少なかったから、プルトニウムを取り出すということが、エネルギー資源の有効活用になったのです。でも最近だとウランはたくさんあるし、プルトニウムをたくさんつくり過ぎて大変だというくらいになっています。そういう意味では、昔と比べて状況は変わっていて、技術的にも難しいし、コストもかかるので、各国止めているのです。
飯田)そうなのですね。
高橋)プルトニウムは核兵器に使うという意味でも危ないではないですか。だから、再利用せずに処分するというのが普通です。
飯田)そのまま処理してしまう。
高橋)それで日本でもうまく行っていないのです。プルサーマルなど、たくさんあっても失敗ばかりでしょう。これから何十年で何十兆というお金がかかると見込まれています。例えばアメリカやドイツでは、いま中間貯蔵と言っているものが最終処分になるだけなのですが、それをしてしまって、浮いたお金を使った方がいいというのが世界の流れです。こういう話をすると、「あなたは脱原発ですか」と、「これを止めてしまったら原発サイクルは成り立ちませんよ」と言うのだけれど、原発推進国でもやっていない国が多いということをみんな知らないのです。
いまの中間処理と同じように処分する
飯田)原発サイクルとセットでやり、車の両輪のように回して行かなければ続かないのだ、というイメージが固まっているところがあるのですが。
高橋)50年間くらい、それでやって来たのは間違いありません。ただ、最近はそれを止めているところの方が遥かに多いです。それでも原発はやっている。
飯田)ウランを主にして。
高橋)そのままやって、あとでプルトニウムを引き出さず、終わったら処分する。でも処分の話をすると、「地下深くに」ということになるでしょう。通常は、地中の表面に保管しておくというのが普通です。いまの中間処分と同じような感じです。
飯田)乾式で。
高橋)乾式でやっておくというのが普通です。それで困っていません。そうすると六ヶ所村の人や青森県の人は「約束が違っていた」と、「うちは中間処分だったはずでしょう」、「最終的にはどこかに移すのでしょう」という話になるのですけれどね。それは、これからかけるお金をそちらに回すという話になるのだと思います。もし、これを見直すとしたらですが。いずれにしても、多くの国で再処理をしていないというのは事実です。
核燃料サイクルを止めることは大きな政治判断に
飯田)プルトニウムが出て来るということで、IAEAなどもかなり。
高橋)大変ですよ。プルトニウムがたくさんあるのですから、核兵器にすぐ転用できるでしょう。だからものすごく大変なのです。
飯田)ものすごい数の監視カメラを置いて、厳重にやっているという。
高橋)「そのまま使わない」と言えばそれっきりなのです。発想の転換ですけれどね。私もどちらの立場に立つというわけではないけれど、海外の事情を説明して、政策を議論したら面白いと思います。
飯田)それは当然、大きな政治決断になる。
高橋)ものすごいでしょう。50年間くらいやっているものをひっくり返すわけですから。
フランスも核燃料サイクルの見直しに
飯田)既に高速増殖炉はダメだということにもなっているし、ある意味、核燃料サイクルのピースがポロポロと落ちている状態ではあるのですね。
高橋)はっきり言えば、できないのですよ。できない上に、核燃料サイクルを施すくらいにウランが希少であればわかるのだけれど、そうでもなくなったという現状があるのです。だから世界の国々はやめているという話です。つい最近で言うと、フランスもほとんど見直しです。
飯田)あのフランスでさえも。
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