『フロントライン』小栗旬主演、前代未聞のウイルスと戦った人々の物語

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Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1256回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、全国の映画館にて上映中の映画『フロントライン』と『ドールハウス』 をご紹介します。

(C)2025「フロントライン」製作委員会

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『フロントライン』あの豪華客船の中では、何が起こっていたのか?

2020年2月3日。横浜港に入港後、日本初となる新型コロナウイルスの集団感染が発生した大型豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」。世界56ヵ国からやって来た3,711名を乗せたこの船が、治療法不明の未知のウイルスに、日本が初めて直面した場となったことは、今もなお国民の記憶に鮮烈に焼き付けられていることでしょう。

映画『フロントライン』は、入港した日から乗員の下船が完了するまでを描いたヒューマンドラマ。前代未聞の状況下、船の中では何が行われていたのか。“事実に基づく物語”が映し出されます。

(C)2025「フロントライン」製作委員会

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『フロントライン』のあらすじ

医師・結城英晴の元に、1本の電話が入った。それは災害派遣医療チーム「DMAT(ディーマット)」への出動要請。横浜港に入港したダイヤモンド・プリンセスの乗客から新型コロナウイルスの感染が確認され、すでに100人以上が症状を訴えていた。

DMATは地震や洪水、多数の傷病者が発生した事故などの災害対策のスペシャリスト集団ではあるが、今回、対峙するのは未知のウイルス。それでも結城は、対策本部で指揮を執ることを決意する。

結城とともに対策本部に籍を置くのは、国内に感染を持ち込まないために厚生労働省から派遣された立松信貴。船内でDMATを取りまとめるのは、結城とは旧知の医師・仙道行義。そして、患者のいちばん近くで治療にあたるのが、救急医・真田春人をはじめとする医師、看護師たち。

彼らは治療方法が見出されていないウイルスを相手に、自らの命を危険に晒しながら、乗客全員を下船させるまで戦い続ける……。

(C)2025「フロントライン」製作委員会

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『フロントライン』のみどころ

本作のメインキャストには、日本を代表する実力派俳優が集結しました。DMATの指揮官・結城英晴役に小栗旬、厚生労働省の役人・立松信貴役に松坂桃李、DMAT隊員・真田春人役に池松壮亮、そして船内の現場指揮者・仙道行義には窪塚洋介。

出来ることはすべてやる。医療者としてではなく、人道的に正しいことを模索していく。未曾有の事態を前に葛藤を繰り返しながらも、批判を恐れずに決断して進んでいく姿を体現しています。

共演には森七菜、桜井ユキ、美村里江、吹越満、光石研、滝藤賢一など、錚々たる顔ぶれがズラリ。

医療チーム、官庁、乗客、客船のクルー、そしてマスコミ。それぞれが置かれている立場から出来事を映し出すことで物語が多層的に構成されており、群像劇としても秀逸な一作となっています。

(C)2025「フロントライン」製作委員会

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誰もが経験したパンデミックが題材となっているだけに、重く苦しい映画なのでは……、と先入観を持ってしまう人もいるかもしれません。

しかし本作で描かれているのは、マスコミの報道姿勢、医療従事者への偏見、感染者に対する差別等、未曾有の事態に伴って発生した問題とも真摯に向き合っていく人々の姿。現実に起きたショッキングな出来事を、過度にドラマチックなストーリーに仕立て上げるのではなく、その当時、私たちが知らなかった“事実”を伝えることに終始する。その愚直なまでの作風に好感を覚える人も多いことでしょう。

誰もが知る前代未聞の出来事に隠された、知られざる物語。大きなスクリーンでこそ体感してほしい一作です。

(C)2025 TOHO CO., LTD.

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『ドールハウス』この人形、捨てても戻ってきます……

5歳の娘・芽衣を事故で亡くし、悲しみに暮れる日々を過ごしている夫婦、鈴木佳恵と忠彦。ある日、佳恵は骨董市で芽衣に似た可愛いらしい人形を見つける。家に持ち帰り、我が子のようにその人形に愛情を注ぐことで、次第に元気を取り戻していく佳恵。

やがて夫婦の間には新たな娘・真衣が誕生し、幸せの絶頂に。しかし、真衣が生まれ、2人が人形に見向きもしなくなると、不可解な事件が起こり始めて……。

『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』などの大ヒット映画を世に送り出した矢口史靖監督が手がけたドールミステリー。感情の振れ幅が激しい主人公を、長澤まさみが好演。冒頭の叫び顔は、Jホラー映画史上屈指の名場面といっても過言ではありません。

良作ホラーが次々と公開される2025年。その中でも一際、目を引く、王道ホラー映画です。

(C)2025「フロントライン」製作委員会

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<作品情報>
フロントライン
絶賛上映中

出演:
小栗旬
松坂桃李 池松壮亮
森七菜 桜井ユキ
美村里江 吹越満 光石研 滝藤賢一
窪塚洋介

企画・脚本・プロデュース:増本淳
監督:関根光才
製作:「フロントライン」製作委員会
制作プロダクション:リオネス
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2025「フロントライン」製作委員会
公式サイト https://wwws.warnerbros.co.jp/frontline/

(C)2025 TOHO CO., LTD.

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<作品情報>
ドールハウス
全国東宝系にて上映中

出演:
長澤まさみ 瀬戸康史
田中哲司
池村碧彩 本田都々花 今野浩喜 西田尚美 品川徹
安田顕 風吹ジュン

原案・脚本・監督:矢口史靖
音楽:小島裕規 “Yaffle”
主題歌:ずっと真夜中でいいのに。「形」(ユニバーサル ミュージック)
制作プロダクション:TOHOスタジオ、ジャンゴフィルム
配給:東宝
(C)2025 TOHO CO., LTD.
公式サイト https://dollhouse-movie.toho.co.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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