展覧会で広がる”写真撮影OK”その裏側とは!? 【ひでたけのやじうま好奇心】

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携帯電話でいつでも何でも撮影できる昨今、ことあるごとに写真を撮ることに、我々は慣れきっています。

でも、さすがに美術館とか博物館はダメでしょ、と思っていませんか。
ところが、その当然ダメだと思っていた場所が、今や撮影OKになりつつあるのです。

関係者に聞いたところ、その理由は大きく2つ。

まず、「展覧会のPRは、客が写真を拡散するのが一番効果的」。
フェイスブックやブログなどで写真を見てもらうことで、“確かに良さそう”“あの人が行ったなら”と、次なる客を呼び込むことが出来るわけです。

そしてもう一つの理由が「外国人観光客対策」。
日本以外の国では、美術館博物館は撮影OKの所も多く、本国で楽しんでいるのと同じように、日本の文化も楽しんでもらおうという狙いが出てきています。

たとえば・・・この秋開催される、全面的に写真撮影OKですでに話題の展覧会があります。
上野の森美術館で10月7日から始まる「デトロイト美術館展」。
全米屈指の美術館として知られていますが、所蔵する傑作=ゴッホ、モネ、ルノワール、ゴーギャン、セザンヌ、モディリアーニなどの有名作品が見られるだけでなく、全作品が写真撮影可能。

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現地・デトロイト美術館では写真撮影がOKなのでそれに倣ったわけですが、この新たな楽しみ方が日本でどのように定着していくか、美術界でも大いに注目を集めています。 

東京の前に、すでに先月から愛知県の豊田市で公開が始まりました。
ほとんどの方が、なんらかの作品を写真撮影。
中には、ほぼ全作品をカメラに収めようとする熱心な客もいる。
主催者としては、「絵と私」という写真を撮る方が多くなると想像していましたが、「絵」単体を撮る人が多い、という結果になっています。 

想像してみてほしいんですが、マーライオンの口から放水される水を飲んでいるかのように見える構図で、観光客が記念撮影している図、わかりますでしょうか?

あの要領で、欧米でいま流行っているのが、「肖像画に携帯電話をかざし、その様子を別のカメラでおさめることで、まるでその肖像画の人物が携帯電話を使っているように見えるような構図で写真を撮る」という遊び。
これからは、単に名画をカメラに収めるだけではなく、その絵画と「自分」や「からだの一部」を使って、ひとひねりある写真を撮るような人が増えていくかもしれないと、主催者は“遊び”も大いに期待しています。

ただ、どの美術展でも注意点として挙げているのが、マナーの点。
周りのお客さんの迷惑にならないように、三脚やフラッシュなどはやはり禁止です。 

すでに、写真撮影OKということで認知されて、それゆえに大変な動員数を誇っている展覧会もあります。
日本橋のコレド室町にて、2011年から毎年夏に開催されているアートアクアリウム」。

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これは、30種類以上、5000匹もの金魚が、大小様々な水槽で優雅に泳ぎ、それが特別な照明や映像の中浮かび上がる、芸術的な展示。
去年は50万人以上を動員。
子供やカップルも多いですが、日本橋という土地柄、毎年写真撮影を楽しみにしている中高年リピーターも非常に多い。 

金魚ですから動く。よって、一つとして同じ写真にはならない。
いろんな角度から撮影しまくるということで、この展覧会の滞在時間は他の展覧会よりもずっと長い、という傾向があるそうです。

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この会場では冬は「フラワーズ」という花のアート作品を展示する展覧会を行っていて、これも撮影OK。

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写真撮影OKの方向に舵を切って人を呼び込み、成功を収めている代表的な施設となっているのです。

ではそもそもなぜ美術館などでは写真撮影がダメなのか?
フラッシュなどで作品が劣化する、という場合もありますが、多くが著作権の問題。
写真が利用されて商売などにされては困る、ということと、著作権を持っている側がなかなか許可を出さない、というのが理由です。   

しかし、意外な場所ですでに写真撮影がOKになっているのです。

それは、日本が誇る日本最古の博物館、上野の東京国立博物館 = トーハクです。
特別展は撮影不可ですが、総合文化展(常設展)は撮影が可能です。
ですから、国宝のはにわや、毎年正月に公開されて人が押し寄せる長谷川等伯の国宝「松林図屏風」など、国宝が写真撮影可能なのです。

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トーハクは2004年の本館リニューアルの際、ルールを再検討し、いち早く常設展の個人利用にかぎって写真撮影ができるよう、変更。
現在、刀剣などを撮影している外国人観光客が多く、非常に人気となっています。 

ちなみにトーハクの方に、あさラジリスナーにおススメの写真撮影ができる展示を聞きましたら・・・先週から始まった、特別公開新発見!天正遣欧少年使節 伊東マンショの肖像」。
2014年にその存在が明らかとなった「伊東マンショの肖像画」を世界で初めて公開しています。
所蔵のミラノ、トリヴルツィオ財団の許可が下りて、個人利用限定で、フラッシュなしで撮影可能だそうです。 

写真撮影をするとどうしてシャッター音がなりますが、これは、盗撮対策として日本特有のようです。
実際、海外の携帯電話ではカメラを使用しても音がならない機器が多くあり、今後はもしかすると、このシャッター音をどうするかについて議論が始まるかもしれません。
それくらい、写真撮影の門戸が開かれようとしているようです。

5月24日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

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