今年は週刊文春が、大ヒットスクープを連発していますが、まあ出版業界を一言でいうと厳しい。
活字離れが続いています。
電車に乗っても誰も本を読んでない。
み~んなスマホをいじっている。
そうなると、どうやって生き残ろうかと知恵を絞るというわけです。
これまで出版業界は団塊の世代や団塊ジュニア世代、そしてバブル世代など、「世代」にターゲットを絞った本や雑誌を、数多く発売してきた。
しかし最近では「世代」ではなく、ある1年なら1年といった感じで、「その年の、ある出来事」にスポットを充てた本を出して、いま大変なブームとなっているそうなです。
私1942年。昭和17年生まれなんですが、祝日に「昭和17年」という特別番組をやったことがあった。
これけっこう、面白かったんですよね。
話を戻しますと、ある年代に絞った本のブームの火付け役は2007年に文芸春秋から発売された「1976年のアントニオ猪木」と言われている。
著者はノンフィクション作家の柳澤健さん。
アントニオ猪木のレスラー人生の転換期になったのはいつかと考えて「1976年」にスポットをあて、3年間かけて徹底的に調べ上げた。
1976年、アントニオ猪木に、いったい何があったのか?
・パキスタンの英雄アクラム・ペールワン戦
・ミュンヘンオリンピック柔道金メダリスト ウィレム・ルスカ戦
・プロボクシング統一世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリ戦
など、プロレスとは一線をかく、異種格闘技路線への挑戦を行い、その後訪れる総合格闘技ブームの礎を築いた年なんです。
この本が売れに売れた柳沢さんは、
「1993年の女子プロレス」(双葉社)
「1985年のクラッシュ・ギャルズ 」(文藝春秋)
「1964年のジャイアント馬場」(双葉社)
などの本を次々と発売し、すべて話題となっている。
この流れは、プロレスばかりではない。
去年の10月、彩流社から発売されたのが「1979年の歌謡曲」
著者は広告代理店勤務の、スージー鈴木さんという方。
1979年と言えば山口百恵や八代亜紀、海援隊、さだまさし、布施明、ゴダイゴ、オフコース、サザンオールスターズが活躍した年。しかもシングルチャート年間1位は渥美二郎の「夢追い酒」。
この年は歌謡曲あり、ニューミュージックあり、そして演歌もあった。
ちなみに前年の78年にはキャンディーズが引退。79年に百恵ちゃんが交際宣言し翌年引退。
色々変化のあった頃です。なるほど。これは本になるね!
そして今年も、このような「●●年の何々」本、たくさん出ています。
今年の1月、新潮社から発売されたのが「1998年の宇多田ヒカル」
著者は音楽ジャーナリストの宇野維正さん。
1998年はCDの売上が史上最高を記録した年。
年間3億枚のCDが売れた。
そしてこの年、歌手デビューしたのが宇多田ヒカルさんであり、椎名林檎さんであり、aikoさんであり、浜崎あゆみさん!
この4人の歌姫を軸に1998年が、音楽ビジネスにとってどんな年だったのか?
この本の中で深く、深く、迫っているそうです。
また2月には双葉社から「1989年のテレビっ子」という本が出版された。
著者はテレビライターの戸部田誠さん。
この年、昭和を代表する音楽番組「ザ・ベストテン」が終了した。
またお笑い番組「オレたちひょうきん族」もこの年、終わった。
反対にいまなお続く、人気お笑い番組「ガキの使いやあらへんで!!」が始まった年でもある。
著者の戸部田さん曰く、この年、テレビ番組が大きく変わったと、この本の中で語っております。
ずらずら~と見てきましたが、時代の変化にズームインした本、ターゲットを絞った本が、インパクトあるようです。
まだまだこのような本、たくさん出るとか。
果たして、柳の下にドジョウは、何匹いるのでしょうか?
5月16日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より