いまや、世界で月間のユーザー数が2億人を突破した「LINE」。
きょうは、そのやりとりで使う文字入りのイラスト「LINEスタンプ」を作って話題になった、ある「おじいちゃん」のグッドストーリー。
工事現場で、黄色いヘルメットをかぶった作業員が、両手でVサインをしながら「ご安全に」。
バンザイをした作業員2人が「快調です」。スタンプのタイトルは「工事現場の安全促進」。
イラストはどこか昭和風で、独特のセンスが、何ともシュールな雰囲気をかもし出しています。
そのほか「団塊の世代」「河童天国」「こんにゃく家族」といったシリーズも。
そんな、一風変わったLINEスタンプが話題になったのは、今年1月初めのことです。
作者は、茨城県ひたちなか市に住む、田澤誠司さん・72歳。
「72歳のおじいちゃんが作ったスタンプが熱い!」というツイッターの書き込みから、たちまち火がつき、田澤さんは一躍、ネット界隈で“時の人”になりました。
「去年までは、いくら作っても反応がサッパリだったのに、新年早々、スタンプが大評判になって、いやあ、ビックリしましたねェ〜」
田澤さんは、去年まで日立製作所に勤めていました。パソコンに初めて触れたのは20年前、52歳のときに現場を離れ、施工(せこう)管理の仕事に異動したのがきっかけです。
パソコンで書類作成をする必要に迫られ、まったくの初心者でしたが、試行錯誤しながら、独学でコツコツ使い方を覚えていくうちに、エクセルで絵が描けることに気付きます。
現場で働く若い社員に、安全教育をするのも田澤さんの仕事でしたが、せっかく注意事項を文章でまとめても、ちゃんと読んでもらえないのが悩みでした。ものは試しと、エクセルで絵を描いて印刷、安全教育の紙芝居を作ってみたところ「分かりやすい」と評判に。
以来、イラストも独学で描きためていきました。
「何でもそうだけど、大事なのは“やる気と実行力”ですよ。『もうトシだから』と諦めちゃう人が多いんだけど、まずやってみろ、と。コツコツ腕を磨いていけば、年齢に関係なく、ある程度まではいけます!」
そんな田澤さんが、LINEスタンプを作ってみようと思ったきっかけは、25歳になる孫娘のひとことがきっかけでした。
会社を退職し、時間ができた田澤さんはパソコンで芸能人や、身内の似顔絵を描いて、部屋の壁に貼っていましたが、それを見た孫娘が
「おじいちゃん、そんなにたくさんイラスト描いてるんだったら、LINEスタンプっていうのがあるから、作ってみたらどう?」
そのときは、LINEの存在も知らず、スマートフォンすら持っていなかった田澤さんはさっそくスマホを購入して研究。
エクセルで描いた絵を、LINEスタンプにするには、画像を変換したり、線を調整したり、いろいろ細かい作業が必要です。これを手伝ってくれたのが、奥様の慶子さん。
慶子さんもパソコン初心者でしたが、田澤さんが一から指導して、今は二人三脚でスタンプを作っています。時には、奥様から手厳しいアドバイスも。
「あなた、こんなのじゃ売れないわよ。もっと可愛いのを作らないと」
なるほど、と思う意見は取り入れますが、田澤さんのポリシーは「他人と同じものは作らない」。
自分がいいと思うものを押し通した結果、独特のセンスのスタンプが生まれ、大ブレイクにつながりました。
田澤さんの活動を支援してくれる会社も現れ、イベントにも呼ばれるなどスタンプがきっかけで、その活動はどんどん広がっています。
現在、スタンプは第32弾まで増え、最新作のタイトルは「活気ある下町工場」。
この1年間で1200個近いスタンプを作り、今も新作を作成中です。田澤さんはこう言います。
「私は小さなスタンプで、大きな元気をもらって、それを多くの方々と共有することができました。自分のスタンプで、みんながコミュニケーションを図ってくれて、元気になってくれれば、こんなに嬉しいことはないですね!」
LINEスタンプ画像:©田澤エンタープライズ
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