空前の猫ブームと殺処分ゼロへの取組 【ひでたけのやじうま好奇心】
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数年前から、日本は、空前の「猫ブーム」。
猫の写真集は次々と発売され、猫を看板にした観光地や駅も増加。
経済効果は年間2兆円以上とも言われ、「ネコノミクス」とも呼ばれています。
そんな猫ブームの裏側で、自治体やボランティア団体が取り組んでいるのが、猫の殺処分を減らす、「ゼロ」にする取組です。
現在、全国で殺処分される猫の数は、年間およそ10万頭。
年々減少傾向にありますが、さらに減らしていくことは重要課題のひとつ。
ドイツやイギリスに比べると、日本で殺処分される犬や猫の数は圧倒的に多く、その数を減らし、犬や猫と共生する文化を根付かせることは、国際社会での信用を得るためにも不可欠な要素であると言われます。
そんな殺処分を減らす取組で、実際に5年連続で猫の殺処分ゼロを実現している地域があります。東京都千代田区です。
千代田区では、「地域猫(TNR活動)」という考え方を中心に、行政・ボランティア・地域が一体となり、様々な取組を行っています。
地域猫は、飼い主のいない猫を一時的に保護して、去勢・不妊出術をしたうえで、元に居た場所に戻し、その地域全体で見守り、一代限りの命として共生しく取組。
飼い主のいない猫を放っておくと、野良猫になってしまいますし、去勢手術をしないと、繁殖力の高い猫はどんどん子猫を産んでしまいます。
そして保護する数が増えると、すべてに里親を見つけることが不可能になり、必然的に殺処分される猫も増えていきます。
ですから、千代田区では、ちゃんと去勢手術を行った上で、地域猫として、今の命を見守ることができないかと、こうした活動を進めているんですね。
最近では、ほかの自治体でも、地域猫の考え方のもと取組を行っている地域が出てきていますが、住民の中には、猫そのものが苦手という方もいれば、再び地域に返すことを嫌がる方もいますし、また糞尿の問題もあります。
すべてが順風満帆に進んでいるわけではありません。
しかし、行政や地域住民、動物病院、糞尿の処理をするボランティアなど、様々な人の理解を得て取組が進めば、殺処分ゼロに少しでも近づいていきます、
ちなみに、地域猫は去勢手術のときに、麻酔の聴いている状態で、片方の耳にほんの少しの切れ目を入れて目印にしています。
桜の花びらのようになるので、「サクラネコ」なんて呼ばれ方もしているそうです。
そして、殺処分ゼロを目指す取組で最近増加しているのが「保護猫カフェ」です。
猫カフェといえば、お茶を飲みながら猫を眺めたり、触れ合ったりというのが一般的ですが、最近はボランティア団体などが、保護をした猫の飼い主を探す活動の一環として「保護猫カフェ」をオープンする動きが出てきているんですね。
基本的な営業形態は猫カフェと同じですが、異なるのは、そこにいる猫たちが飼い主がおらず、ボランティア団体が保護した猫で、気に入れば引きとれること。
当然、譲渡のための審査もありますが、保護猫カフェでは、「里親になりたい人と保護された猫」のマッチングを行っているんです。
こうした「保護猫カフェ」が増えだしたのは、東日本大震災以降と言われていて、当時、行き場をなくした猫をどうすればよいかと考えてボランティアの人たちが徐々にオープンさせていったと言われます。
現在全国に約80店舗あるそうです。
保護された猫は里親が見つからなかった場合、殺処分の可能性があります。
こうして、猫と触れ合いたい人たちが気軽に立ち寄れるスペースを作ることで猫との共生を考えるきっかけになったり、保護猫の里親になる人が増えてくれば、まさに「猫ブーム」と「殺処分ゼロ」の相乗効果といえるのではないでしょうか。
猫の殺処分ゼロへの取組。
猫ブームの今こそ、少し考えてみてはいかがでしょうか。
6月2日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より