会社員でも他の仕事を体験出来る!~転職&職業体験を巡る新たなビジネスモデルとは? 【ひでたけのやじうま好奇心】

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厚生労働省が2014年発表したデータによりますと、「最初に勤めた会社を辞めて転職している人」の割合は、30歳から34歳になると63.5%に達しています。

つまり「現在働いている30歳から34歳の5人に3人以上は転職を経験している」ことになります。
もっとも、働いている全ての人の転職率は、上の世代は同じ会社で働き続ける人が多い理由から、50%程度となるのですが・・・
それでも若い世代は転職がもはや当たり前になってきているな、と思わざるを得ません。

しかし、転職するにしても、同じ仕事をするにしても、“他の現場を見てみたい”という想いは誰にでもあるのではないでしょうか?

もしくは、子供の頃の夢だった
「花屋さんになりたい」
「ケーキ屋さんでお菓子が作りたい」
といった想いを死ぬまでに、1度でイイから実現したいという人もいるのではないでしょうか?

そんな大人のために、色んな仕事を体験できる旅を提供する場があります。
その名は「仕事旅行社」

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2011年、震災の年に創業して、最初の頃はなかなか体験者も多くなかったようですが、2年後の2013年頃から軌道に乗り始めました。

「仕事旅行社」のホームページを開きますと、様々な“大人の職業体験”が募集されていて、その数、常時150ほど。
期間も様々でして、「2時間」程度の体験ものもあれば、一通りわかる「丸々1日」、ビジネスの流れがわかる「1週間」、そして、1か月、1年という『仕事留学』というパターンもあります。

たとえば“大々的にサービス業で開業したい”という人だと、いまあるコースで言うと、

『湯河原で温泉宿経営者になる旅  5日間』108,000円
『夢の実現へ!シェアハウスの事業計画を練り上げる!シェアハウスオーナーになる旅 5日間』128,000円

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・・・といった大掛かりなものがあります。

人気なのは、もっと短い1日で完結する仕事体験で、ジャンルも「ものづくり」「接客」「デザイン」など様々です。
ちょっと変わったものから紹介しますと、『探偵になる旅』は探偵のイロハを教わってから実際に尾行体験をする5時間半のコース。
こちらは、“なりたい”というより、文字通り”職業体験“として飲み屋のネタになります。
仕事の面白さはもちろんのこと、探偵料金というものがいかに高いかについて(※例 1案件100万円とか)、素人はびっくりしてしてしまう、そうです。

そして、募集がかかるとすぐにいっぱいになってしまうのが
『ぬいぐるみ専門旅行代理店の仕事体験』

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ちょっと変わった旅行会社でして、客から旅をさせたい「ぬいぐるみ」を預かり(300グラムまで)、そのコをいろんなところを連れて行って、あたかもぬいぐるみが旅行しているかのように写真を撮って、依頼主に送る、という旅行会社。この会社の業務が体験できます。

たとえば東京ツアーなら、ぬいぐるみと一緒に浅草で回転寿司かもんじゃ焼きを食べて、浅草寺に参拝した後は、東京タワーに登って夜景を堪能します。
こうしたぬいぐるみたちが旅を楽しむ写真をとるのが仕事体験、というワケ。

一方、“職人系”の仕事体験も、いろんな種類が揃っています。
なかでも、参加者に女性が多いのが
『左官職人になる旅』1日18,500円

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いわゆる、コテを片手に建物の壁を美しく仕上げる左官職人の仕事です。

訪問するのは、西日暮里にある、この道50年以上の左官の会社で、実際に女性の職人が7人も働いているところ。
実際の建築現場でも使われる左官材料をこねて、塗って、直して、こねて・・を繰り返し、壁の出来ていく様子が体感でき、普段の生活では味わえない体験がそこにはあります。

先輩職人から「段取り八分、塗りが二分」だとか、「4年目までは見習い、5年目以降が職人と呼ばれ、本当に一人前になるには10年」とかうんちくもいろいろ聞きながら、五感を使って左官の仕事を体感します。これが楽しい。
夏は強い照り返しで40度を超える暑さの中、コテを使う。
冬は冬で気温が低いため、コンクリートが固まるまで徹夜。
それでもモノ作りは誇らしい、と言う職人に打たれ、実際に転職する人もいます。

仕事旅行社では、月間300人以上が、こうした仕事体験を申し込んできますが、もちろん「転職と言うわけではなくて、いろんな仕事をやってみたい」という目的の人が一番多い、と言います。

中でもコンスタントに人が集まるのが「お土産付き」のもの。
たとえば、
『埼玉の工場で、鍛冶屋さんとフライパンを作る』21,600円
『富山県高岡市の鋳物メーカーで、錫(すず)のぐい呑み作り』12,960円
『世界が認めたルアー職人の元で、ほたるいかのオリジナルルアー作り』12,960円

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開放する工場でも、こうした職業体験をしてくれるのはありがたい話。
しかも、普段工場を閉める休日に体験開催日を設定できますから、「仕事をアピールできて」「お金も入り」「場合によっては後継者が見つかるかもしれない」この体験は願ったりかなったりなのです。

「仕事旅行社」は、「仕事の場を体験させてくれる職人や会社」から手数料をもらうことでビジネスとして成り立っています。

そしてここへきて、より大がかりに仕掛けているのが法人を相手にした「仕事体験」。
これまでに関わった会社と仕事内容のノウハウを社内研修パックとして、大規模な会社に売り出しました。

たとえば“リーダーに向けた「成長意欲の起爆剤研修」” は、例えば革小物職人、探偵、花屋、旅館で3日間、仕事を体験し、その道のプロからの仕事術を伝授して、リーダー層社員1 7人で147万円。
すでに、誰もが知っている様々な会社がこの研修を採用しています。

他の仕事を体験する、ということは、「子供の頃からの夢を実現する」という単純な目的から、いまや「転職」、そして「いまある会社の良さを見直せる」「今やっている仕事のプラスになる」という利点も生んでいます。

『仕事旅行社』のような仕事体験を提供するサイトはまだ多くありませんが、今後、ニーズを受けてさらに増えるかもしれません。

この仕事体験をした人たちは、「また別の体験を申し込みたい」というリピーターが非常に多い。
一度しかない人生、いろんな仕事をしてみたいという欲を満たすこともさることながら、一緒に体験することで出来た参加者同士とのつながり、そしてホスト役の職人さんや会社とのつながりが一生の宝物になっている、というのがその理由。よく分かるような気がします。

5月31日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

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