劇団ラッパ屋の公演『筋書きナシコ』の初演を観てきました。
最初から最後までず~っとゲラゲラ笑っていたはずなのに…すべてが終わりカーテンコールで再び登場した笑顔の主人公を見た時、なぜか、グッとこみ上げてくるものが…。
劇団ラッパ屋は1983年広告会社のコピーライターだった鈴木聡さんを中心に早稲田大学の「演劇集団てあとろ50’」出身のメンバーが結成。
旗揚げ当時はほぼ全員がサラリーマンだったので、大人が楽しめる芝居づくりを目指してきました。
そして今では「おまぬけなコメディだがキュンときてズンとくる」と支持されている劇団です。
そのラッパ屋の42回目となる公演『筋書きナシコ』の舞台は、銀座のはずれの飲食店が集まったビル「バンデルオーラ(風見鶏)」のそれぞれの店の二つ目の入り口が面している共有スペース。
その真ん中で、風もないのにゆるりゆるりと廻っている風見鶏の下。
主人公の梨子はフリーランスの雑誌のライター~バツイチ、独身、収入は不安定。
唯一仕事をもらっている出版社は、ネット時代のあおりを受け、倒産の危機に瀕しています。
そんな中、出版社の社長と専務は、バンデルオーラの店の一つで景気づけのパーティーを開くのですが、そんなことをしている場合でしょうか?!
当てにしてた資金繰りや事業計画ぎ怪しい雲行きを見せ始めます。
一体出版社はどうなっちゃうの?
主人公の梨子。
その友達の同じくフリーランスライターで独身の雅美。
そして、梨子のものすごい年下の恋人工藤、出版社の社長、専務、社員など…登場人物は全部で16人。
誰もがみんなそれぞれに筋書き通りにいかない何かを抱えているとってもヘンな人たち。
そもそも「筋書ナシコ」とは、「この先の筋書きが見えない、或いは決まっていない状態および人物」を指す言葉だそうで。
たとえば「日曜日なのにスケジュールは真っ白。何しよう…」というのは身近な筋書ナシコさん。
「人口が減り続ける一方、老人は増え続けるのでありまして…」という年金関係の筋書ナシコさんもいます。
つまり、あそこもここも筋書きナシコ!むしろ、筋書きアリコって一体どこにいるのよ~?!って疑いたくなるくらい…。
中には、なぜこの人が登場するのだろう…と思う怪しい人たちも出てきます!
でも、その人たちの台詞が最高に面白くて、客席が笑いの渦に巻き込まれます。
落語でもないのに、あんなにみんなで一斉に笑う機会はなかなかありません。
しかもちゃんと伏線になっている。えーーーー!そうくるの?
想像もできない展開に感心するやら呆れるやら…人生に筋書きがないからこそ出てくる台詞の面白さ!
所々に映画の要素がちりばめられていて、それもとっても粋で素敵です。
若いことがいいと思われがちの日本の社会。
でも、そうでもないかもな…オトナもいいな、年を重ねるのも悪くないな…
この演劇を観たらあなたも人生や筋書きってなんだろうって自然に考えてしまうと思うのです。
そして、自分の人生捨てたもんじゃないな~って。
撮影:木村洋一
「ひろたみゆ紀・空を仰いで」
たったひとつ眩しく輝く大きな太陽、おぼろげに優しい光を放つ月、一つ一つは小さいけれど幾千幾万という圧倒的な数でキラキラ輝く星たち…空の主人公たちです。
晴れの日もあれば曇りや雨の日、そして嵐の日もあり、毎日刻々と表情を変え、一つとして同じだったことがない空。
その空に輝く太陽・月・星も毎日姿を変えています。空には果てしないドラマがあるのです。そして、私たちの世界もまた同じ。同じような毎日でも一日たりとも同じ日はありません。ひとりひとりに果てしないドラマがあります。
ここでは、人一倍空から遠いちっちゃいひろたが、空を見上げるように、低いところからいろんなものを見上げてひとつひとつドラマを探しにいきます。プロフィール
栃木県出身。NHK宇都宮放送局のキャスター、レディオベリー(エフエム栃木)のパーソナリティを経てフリーへ。
以降ニッポン放送のパーソナリティやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。
2009年には韓国に語学留学。両国の文化を身につけパワーアップして活動中。