さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回の「しゃベルシネマ」は、織田裕二さんの4年ぶりとなる映画主演作『ボクの妻と結婚してください。』を掘り起こします。
仕事人間が家族に贈る“人生最期の企画”とは?
12本ものレギュラーを抱えて多忙な日々を送っているバラエティ番組の放送作家、三村修治。
ある日体に異変を感じたため検査を受けたところ、なんと末期のすい臓がんで余命6か月と宣告される。本来ならば1日でも延命し、家族との静かな暮らしを選択するところだが、それでは面白くないと感じた修治。
放送作家としてさまざまな出来事をエンターテイメントに変えてきた修治は、自分がいなくなっても妻が前向きに生きていけるよう、ある企画を思いつく。それは、自分が死んだ後に妻が結婚する相手を探すことだった…。
最近は、人生の最期を迎えるにあたって様々な準備をする“終活”が話題となっていますが、本作で描かれる終活はかなり変わってます。
何故ならば、自分の愛する家族の未来のために、妻の“最高の結婚相手”を見つけようとするのですから。
原作は、自らも放送作家として活躍する樋口卓治による同名小説。
その斬新な設定、心温まるストーリーで幅広い世代に支持された究極の恋愛バイブルを、『阪急電車 片道15分の奇跡』などを手がけた三宅喜重監督が映画化しました。
三村修治役には、『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』以来4年ぶりの主演映画となる織田裕二。
愛する妻子の幸せを願い突き進む強さと、いつ尽きるとも分からない自分の命に翻弄される弱さを併せ持つ主人公を熱演しています。
そんな修治に愛される妻・三村彩子役に、いまもっとも輝く女優のひとり、吉田羊。
奇想天外な企画を実行しようとする夫に寄り添う姿は、まさに妻の鑑!?
男性ならば「こんな奥さんが欲しい!」と思う人も多いのではないでしょうか。
ほか、修治が見初めた“結婚相手”伊東正蔵役に原田泰三、結婚相談所の社長役に高島礼子と魅力的な顔ぶれがズラリ。
心温まる大人のラブストーリに仕上がっています。
終活にフォーカスしながら、同時に婚活事情を描いているのも本作の面白いトコロ。
婚活パーティーに潜入しながらも、修治のお目当は“わが妻に相応しい男性”。
だから当然女性には目もくれず、候補の男性を見つける度にロックオンしてしまう。
コミカルなシーンには思わず笑みがこぼれ、笑いながらも胸の奥がギュッと締め付けられるこの感覚は、本作ならではの愛情の描き方によるものなのでしょうか。
日ごとに寒さが増して人肌恋しくなる季節。
そう言えば、本作の公開月となる11月は「いい夫婦の日(11月22日)」もありますね。
是非、映画館で温かな夫婦愛に触れてみて下さい!
ボクの妻と結婚してください。
2016年11月5日から全国東宝系にてロードショー
監督:三宅喜重
原作:樋口卓治「ボクの妻と結婚してください。」(講談社文庫刊)
出演:織田裕二、吉田羊、原田泰造、高島礼子 ほか
©2016映画「ボクの妻と結婚してください。」製作委員会
公式サイト http://bokutsuma-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/