9/29の各紙朝刊、そしてテレビなどで大きく取り上げられたニュース「日本初!脱獄で富山の男を逮捕」。
この見出しだけ聞くと、ほとんどの人は刑務所からの脱獄のニュースだと思いますが実は、あの「脱獄」とは違います。
ここで使われている「脱獄」という言葉の発祥はアメリカ。
様々な制限を設けている携帯電話やゲーム機などに対して、独自にその制限の抜け道を開発することを英語で脱獄を意味する「Jailbreak(ジェイル ブレイク)」と呼んでいることから、日本でもそれを「脱獄」と言うようになりました。
ちなみに今、インターネットの検索サイトで「脱獄」と入力すると、下に出てくる「検索ワード」の一番最初に出てくるのは「刑務所」ではなく「iPhone」です。
今回、逮捕された富山の男は、スマートフォンのiPhoneを改造しインターネットのオークションサイトで、およそ200人に1台1万5千~3万円で売っていたとされています。
では具体的に、iPhoneを脱獄させると何ができるのか?
iPhoneの「アプリ」はApp Storeというところからしかダウンロードできないようになっています。
そしてそのApp Storeは極めて厳しいチェック体制を敷いているため、違法性のあるアプリは存在しないようになっています。
しかし「脱獄」をしたiPhoneでは、App Store以外の場所から違法アプリがかんたんにダウンロードできてしまうのです。
さらに、もともとあるiPhoneの設定や機能もすべて変えることができてしまい、盗撮防止のためのカメラのシャッター音を消すことや、iPhoneの画面自体のレイアウトを好きなように、例えば通常四角いアプリが縦横きれいに並んでいるのを、真ん中に「大きな時計」の配置にするとか、アプリの形を「四角」から「丸」にするとか、もうなんでも出来るようになってしまいます。
でも、「脱獄」行為自体はアメリカでも日本でも、違法ではありません。それを取り締まる法律はないからですが、iPhoneの規定では禁止されているので、脱獄してiPhoneが壊れたとしても自己責任。
違法アプリをダウンロードしたことで、個人情報が盗まれたりしても、当然自己責任となります。
ちなみに冒頭で紹介した、今回逮捕された男。罪状は「商標法違反」の疑いで、千葉県警本部・サイバー犯罪対策課によると内部を不正改造した別物なのに外観はiPhoneそのものだったため「ニセモノを販売した」という解釈です。
さらにサイバー犯罪対策課は、この男から脱獄したiPhoneを購入した男4人も「不正作出電磁的記録供用罪」で逮捕しました。これは簡単に言うと、課金などで遊ぶスマホのゲームのデータを書き換えた罪。わかりやすく言うと課金の仕組みを弄って実際に払っていないお金を払ったように見せる詐欺に近いのでしょうか?
今回の脱獄者の逮捕の本当に狙いは、芋づる式にスマホのゲームのデータ改ざん犯を逮捕することにあったといわれています。
「脱獄」行為は、違法ではないからと言ってお薦めはできませんが、アメリカでは新作のiPhoneが発売されるたびに天才ハッカーたちが、競って「脱獄」に挑戦するとのこと。
ことしの9月に発売されたiPhone7も、19歳のハッカーが発売24時間以内に脱獄に成功したと報道されるなど、まるで難攻不落の刑務所から、脱獄した裏世界の英雄のように扱われているそうで、なかには脱獄したiPhoneの動画を、YouTubeなどで公開する輩もいるそうです。
11月7日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より