知っているようで知らない人気のお出掛けスポット『海の駅』。
旬の魚や海産物はもちろん、ボートや釣りといったマリンレジャーを楽しめ、今の時期だと「牡蠣食べ放題」もやっている海の魅力を満喫できる施設です。
パッと聞くと『道の駅』と間違えてしまいそうですが、それも仕方のないこと。
『道の駅』がスタートしたのは1993年で全国に1,107ヶ所、『海の駅』は2000年で161ヶ所。歴史も浅く、今は成長過程にあるスポットです。
きょうはそんな「海の駅」をググッと掘り下げてみたいと思いますが、まず『海の駅』ができた背景には、瀬戸内海の「離島振興策」がありました。
瀬戸内海地域は、プレジャーボートなどのクルージングが盛んでしたが、自由に島に接触できる場所が少なく、船やボートが離島に上陸する機会も少なかった。そこで「海からでも気軽に立ち寄れる休憩施設」はできないものかと考えて「海の駅」という構想が生まれていきました。
そして、最初は、大型のヨットやモーターボートを利用する人が立ち寄れて、離島周辺の情報を発信できる場所という位置づけでしたが、せっかくなら海の魅力を伝え、地域の盛り上げにも活用しようということで、単なる係留施設ではなく、総合的に海の魅力を発信するスポットへと発展します。
ですから、「海の駅」の認定には、「一時係留施設があること」というのが絶対条件。
陸地からクルマで行けることはもちろん、さらに海からも利用できる、そこが「道の駅」とは決定的に違うところですね。
また「海の駅」は、既存の施設を活用するというのが前提。
そのため、現在の「海の駅」は、すでにあったマリーナや漁港を発展させて利用しているところがほとんど。そう簡単に新設できるわけじゃないのです。
ですから、「道の駅」に比べて数が少ないのも仕方のないことです。
そんな「海の駅」、楽しみ方も「海」ならではです。
最大の特徴は「マリンレジャーと海の幸を存分に楽しめること」。
何と言っても、「海の駅」は海に隣接していますからね。
「道の駅」でも海の幸は取り扱っていますが、「海の駅」の場合は、産地直送もなにも、目の前で捕れた魚介類がすぐにやってきます。
またヨットやボートといった海の乗り物は、なかなか体験する機会が少ないですが、海の駅では、ヨットやボートの貸し出しや体験教室、船舶免許を取得するための教室や漁業体験ができるところもあります。
こうした普段は味わえない海の楽しみ方も含めて、一般の人たちに海の魅力を伝えて行こう!…というのが、「海の駅」の考え方。
また海の魅力とともに「地域活性化の拠点」にしていこうという動きもあります。
例えば、神奈川県の場合、三浦半島に海の駅が6つ点在していますが、その立地を生かして、それぞれの海の駅が協力をして「海の駅」と「海の駅」をつなぐクルージングを定期的に開催。三浦半島そのものの景色の良さや歴史を知ってもらい、地域活性化につなげていこうという動きがあります。
地方の“海の街”を活性化していくにはどうすればよいのか。
その1つのツールとして「海の駅」が活用されているというわけです。
また「海の駅」の中には、「道の駅」と併設されている場所もあります。
例えば、静岡県の「道の駅・伊東マリンタウン」。
ここは陸から見れば「道の駅」ですが、海から見れば「いとう海の駅」。
海からでも立ち寄ることができる珍しい施設になっています。
さらに意外なところでは、長崎の「ハウステンボス」も海の駅。
テーマパークの印象が強いですが、ハウステンボスには大型船を係留する設備もきちんと整備されていて、立派な「海の駅」なんですね。
もともと漁港だった場所や、マリーナだった場所が「海の駅」になっているので、ハウステンボスのように「海の駅」という名称を知らないまま訪れているケースも結構あります。今後、海沿いに行くときは注目してみてはいかがでしょうか。
2000年に本格的にスタートした海の駅。
今後は、高速道路ならサービスエリア、一般道なら道の駅、海のそばなら海の駅と訪れるスポットを変えていくのがスタンダードになるかもしれません。
秋の行楽シーズン、是非、海の駅にも足を運んでみてください。
11月3日(木・祝) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より