札幌~旭川間をおよそ1時間25分で結ぶ特急「スーパーカムイ」。
789系(1000番台)、785系電車の5両編成が充当され、4両が自由席、残り1両が指定席「uシート」となっています。
指定席はほぼ全席に電源があり、私自身、北海道の移動ではいつも重宝しています。
この「スーパーカムイ」は、平成19(2007)年から運行され、来年で10周年。
「スーパー」と名乗るからには元の「カムイ」があった筈ですよね!?
北海道の電車を語る上で外せないのが「711系」電車。
昭和43(1968)年、函館本線・小樽~滝川間の電化に伴って登場した北海道初の電車にして、在来線営業用車両では初めての交流専用電車です。
国鉄時代はこの車両が普通列車から急行列車まで充当されていて、小樽~札幌~旭川間の急行の愛称が「かむい」でした。
「かむい」とはアイヌ語で「神格を有する高位の霊的存在の高いこと」の意で、北海道を代表する優等列車にふさわしい愛称。
なお「711系」電車は、平成27(2015)年3月をもって引退しています。
(参考:JR北海道ホームページ)
昭和50年代に入って登場したのが、北海道初の電車特急「いしかり」。
抜擢されたのは、おでこが2つ目ライトの「485系」電車1500番台です。
本州で活躍していた車両を北海道向けにアレンジして登場しました。
しかし、北海道の厳しい冬の前に故障が相次ぎ、5年ほどであえなく撤退。
近年まで、羽越本線の特急「いなほ」などで活躍した車両もあります。
この反省を踏まえて登場したのが、日本初の交流専用特急電車「781系」。
昭和55(1980)年以降、主に特急「ライラック」として室蘭~札幌~旭川間で活躍しました。
国鉄末期の昭和61(1986)年からは、停車駅を絞った特急「ホワイトアロー」にも充当。
1990年代には、新千歳空港直通の快速「エアポート」として走ったこともありました。
長年、北海道の顔だったこの車両も、平成19(2007)年に引退しています。
JRになって、平成2(1990)年に登場したのが「785系」電車です。
これに合わせ「ホワイトアロー」が「スーパーホワイトアロー」にバージョンアップ。
札幌~旭川間を最高時速130キロ、最速1時間20分(当時)で結び、日中は781系「ライラック」と交互に30分毎で運行されました。
2007年に781系電車が引退、新たに789系(1000番台)が投入され、車両性能が概ね揃ったことから「ライラック」と「スーパーホワイトアロー」を統合。
愛称も原点回帰して、今の「スーパーカムイ」となりました。
「スーパーカムイ」の“スーパー”には、厳しい気候と闘う北海道電車特急40年のバージョンアップの積み重ねの意があると解釈することも出来そうですね。
札幌から旭川方面へ向かう特急は「スーパーカムイ」を含め車内販売がありません。
道北へ向かう時は、札幌で駅弁を買いこんでおくのが鉄則です。
札幌~旭川間は1時間半弱で、食事を済ませるにはちょうどいいくらい。
今回は、札幌駅立売商会(弁菜亭)の定番「海鮮 えぞ賞味」(1,000円)。
昔は「すし処 えぞ賞味」だったのですが、若干リニューアルされています。
ふたを開けると、酢の匂いと一緒に磯の香りが・・・。
酢飯のご飯の上に、北海道らしい海鮮がいっぱいです。
イクラ醤油漬、ズワイガニ、サーモン、焼帆立、蒸しうにまで。
玉子そぼろの上には、北海道形の昆布も載っています。
1,000円で北海道を満喫した気分になれる、まさに「えぞ賞味」です。
2000年の冬至の日、ふとした思いつきで「北緯45度の冬至とはどんなものか」見たくなって、当時あった「ぐるり北海道フリーきっぷ」で冬の北海道に出かけたことがあります。
東京7:40発の「スーパーやまびこ」、盛岡から「はつかり」、函館で「スーパー北斗」と乗り継いで、札幌から夜行列車の「利尻」(現在は廃止)で稚内へ。
「利尻」は札幌23:00発と遅い時間でしたが、ホームには「札幌駅立売商会」の駅弁の台車が・・・。
この台車売りのオジさんに「夜中、お腹空くよ?」と勧められて手にしたのが「えぞ賞味」でした。
年の瀬の深夜、札幌駅の冷たい空気の中で冷え切った駅弁だったのに、猛烈に暖房が効いた車内では、冷たい酢飯が妙に心地よかった思い出があります。
以来、札幌駅に立ち寄ると思わず「えぞ賞味、今日もあるかな?」と売店をのぞき込んでしまうんですよね。
ロングセラー駅弁には、旅の思い出をふと甦らせてくれる魔法のような力もあるように思います。
今後、30年近く活躍してきた「785系」電車も引退へと報じられています。
代わりに青函特急「スーパー白鳥」として活躍していた789系電車(0番台)が札幌圏へ転属。
15年近く青森や函館で見ていた顔が、札幌周辺で見られるのは、ちょっと新鮮です。
間もなく、北海道のJR(国鉄)で電車が走り始めて半世紀。
今後の動きが注目される「北海道の電車」です。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/