外交ジャーナリスト手嶋龍一に訊く!米大統領選 最終局面の展望と今後【ひでたけのやじうま好奇心】

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ようやく決着のときが訪れた、アメリカ大統領選挙。
果たして凱歌を挙げるのは、民主党のヒラリー・クリントンか?はたまた、共和党のドナルド・トランプか?
最終局面の展望と今後について、元NHKワシントン支局長で外交ジャーナリストの手嶋龍一さんに話を伺いました。

手嶋龍一1

さっそくですが、こたびの大統領選をどのように捉えていますか?

手嶋)ひとことでいうと、異例の“波乱含み”の大統領選ですね。まさに、開けてみなければ分からない、プロ泣かせ、予測不能の対決となりました。なにしろ、事前の世論調査に正直に答えていないヒトが多数存在する… という話もあるくらいで。

確かに、“隠れトランプ支持者”が500万人いる、との報道もありました。競馬好きでも知られる手嶋さんですが、今回ばかりは“この馬券で決まり”とは言えない感じですか。

手嶋)そうですね(苦笑)。2000年の「ブッシュ対ゴア」では、本当に髪の毛一本まで争うような“大接戦”で、票の数えなおし(リカウント)まで行われ、最高裁までもつれこむ騒ぎとなりました。ただしあの時は、どの選挙のプロも、“これは大接戦になる”との予測ができていました。ところが今回は、プロによって読みがバラバラ、てんでマチマチ(笑)。このあたりが、プロ泣かせと言われるゆえんでしょう。

アメリカの大統領は、「選挙人」によってえらばれますよね。今さらですけど、どうしてこんなややこしい選挙の仕方になったんですか。

手嶋)アメリカの国土が、建国当時から「広すぎた」のが原因です。昔のアメリカ国民は、直接選挙で大統領を選ぼうにも、余りに遠すぎて、おいそれとワシントンDCまでは投票に行けなかった…。そこで、代表者=(選挙人)に自分たちの願いを託して投票に行ってもらったんです。その頃の名残りが、今も続いているというわけなんですね。

もしもトランプが大統領になったら、どんなことをやり始めますか?

手嶋)あくまで可能性ですが、メキシコとの国境に万里の長城を作る…くらいのことは、本当にやっちゃうかもしれません。トランプの標榜する「アメリカ・ファースト」(アメリカはアメリカのために)という考え方でいくと、入国を厳しくするのはもちろん、海外のアメリカ企業を本土に戻しにかかるでしょう。もっとも怖いシナリオは、日米安保条約の見直し、あるいは破棄です。東アジアはもとより、世界じゅうの安全保障の在り方が根本から変わってくる可能性さえあります。

ヒラリーが大統領になったら、どうなりますか。金持ちに増税を課す、なんてことを言ってますが?

手嶋)ヒラリーのいちばんの泣き所は、なにしろ、人気のないところです。人気のない大統領に増税を課せられるのって、金持ちは嫌がりますよね(笑)。そうそう思惑通りにはいかないかもしれません。

女性候補の頭の上にある見えざる壁… いわゆる“ガラスの天井”をヒラリーさんが突き破ったとしても、その後は茨の道が待っているということですね。どちらが大統領になったとしても、タイヘンそうで(笑)。

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11月9日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

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