さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回の「しゃベルシネマ」は、心も小腹も満たしてくれる人情物語『続・深夜食堂』を掘り起こします。
ついつい立ち寄りたくなる、あの食堂が帰ってきた!
世間では“飯テロ”なる言葉が流行ってますが、誰かれ構わず食欲を掻き立ててやまない映画と言えば『続・深夜食堂』。
路地裏にたたずむ深夜営業の小さな食堂「めしや」を舞台に、個性豊かな客たちが織り成す悲喜こもごもを描いた本作は、観る者の五感をダイレクトに刺激して空腹をもたらす一方で、心の隙間も埋めてくれる作品です。
マスターの作る味と居心地の良さを求めて、夜な夜な賑わう小さな食堂「めしや」。
春夏秋冬、ちょっとワケありな客が訪れては、マスターの作る懐かしい味に心の重荷を下ろし、胃袋を満たして明日への一歩を踏み出して行く。今夜も喪服姿の常連客が訪れる中、同じく喪服を着た範子が来店。
彼女は喪服を着て街を徘徊することでストレスを発散するという変わった趣味の持ち主。
しかしこの夜は、本当の通夜の席で出会った渋い中年男性に惹かれていく…。
「めしや」を切り盛りするマスター役は、小林薫。
深夜ドラマからスタートした本シリーズで、足かけ7年同じ役を演じているだけあって、カウンターの中で黙々と調理する姿を観ると、それだけでホッコリと心が和むファンも多いのではないでしょうか。
ドラマシリーズから“常連”の松重豊、オダギリジョーらキャストに加え、佐藤浩市、池松壮亮が今作から参加。
“レギュラーメンバー”という安定の定番メニューに加え、“新キャスト”というスペシャルメニューが加わることで、ひと味もふた味も違う、新たな『深夜食堂』が完成しました。
忘れちゃならないのが、もうひとつの主役である、おいしそうな料理たち。
「食べたいものがあったら、何でも言ってよ」というマスターのお馴染みの言葉に誘われて登場するのは、素朴なメニューでありながら、誰もが食べ慣れたものばかり。
香ばしい匂いが漂ってきそうな焼肉定食、つやつやモチモチのうどんの上で踊る鰹節が踊る焼うどん、ゴロッとした具材と味噌が絶妙に絡み合う豚汁。
スクリーン一杯に映った瞬間、口の中にジュワジュワと唾液があふれ、お腹がグルグルと鳴ってしまいます。
そう、「めしや」のメニューって、どこかしら“おふくろの味”を彷彿させるような懐かしさがあるんですよね。
派手な演出があったり奇抜なストーリー展開があったり…というワケではなく、地味に淡々とストーリーを積み重ねていく本作。
それでもで私たちが「めしや」の暖簾をくぐりたくなるのは、食を通じて伝わる“懐かしい温もり”に触れたいからなのかもしれません。
食欲の秋、あなたの食欲を刺激して心の疲れを癒してくれる、究極の“飯テロ”映画を堪能してみてはいかが。
続・深夜食堂
2016年11月5日から全国東映系にてロードショー
監督:松岡錠司
原作:安倍夜郎「深夜食堂」(小学館ビッグコミックオリジナル連載中)
出演:小林薫、河井青葉、池松壮亮、小島聖、キムラ緑子、松重 豊、光石 研、多部未華子、余貴美子、佐藤浩市、オダギリジョー ほか
公式サイト http://www.meshiya-movie.com/
©安倍夜郎・小学館/「続・深夜食堂」製作委員会
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/