全国のラーメン店から熊本へ!義援丼(どんぶり)が繋いだ希望【10時のグッとストーリー】

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番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

今日は、熊本地震で丼(どんぶり)の8割が割れてしまった中、全国のラーメン店から届いた「義援丼(どんぶり)」で営業を再開した、熊本のラーメン店をめぐるグッとストーリーです。

熊本市の南にある、おいしい湧水で知られる嘉島町(かしままち)。今年4月の熊本地震で震度7の揺れに見舞われた益城町(ましきまち)の隣町で、大きな被害を受けました。

その嘉島町に「ら〜めん陽向(ひなた)」というお店があります。
あっさりしていながら、旨みの強い豚骨スープは、ベースになるスープを煮立てて、そこに新しいスープを、何度も何度も継ぎ足しながら味を深めていく「呼び戻し」という手法で作られています。

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店主の 内田哲史(てつし)さん32歳は、さまざまな店で修業を重ね、2013年10月に独立。研究に研究を重ねて作り上げたスープは、ラーメン好きの間でも「これこれ!こういうラーメンを待ってたんだよ!」と、高い評価を得ていました。

しかし、オープンから2年半経った今年4月…二度にわたって大きな揺れがお店を襲い、電気・ガス・水道もすべてストップ。お店にあった丼の8割が割れてしまいました。

「本震が来た後は、とにかく避難することで精一杯で、お店どころじゃなかったですね」という内田さん。
いったいいつ営業を再開できるのか、まったく見当が付かなかったそうです。

一番の問題はスープ。「ら〜めん陽向」の命である、継ぎ足し継ぎ足しして作ってきたスープは、毎日火を通さないと腐ってしまい、ダメになってしまいます。それは分かっていましたが、ガスが通っていない状況ではどうしようもありません。

被災状況

被災状況(4/14当時)

被災状況

被災状況(4/21当時)

途方に暮れる中「大丈夫か?」と手を差し伸べてくれたのが、内田さんが最後に修業した佐賀のラーメン店「いちげん」の店主・内田健市さんでした。

「『いちげん』のラーメンが一番好きです。ここで修業させてください!」と弟子入りを志願してきた内田さんを受け入れ、ラーメンのことだけでなく、接客姿勢も教えてくれた“恩師”。愛弟子の営業再開に向け、さまざまな手助けをしてくれました。

まず「うちのスープを使え」と、ベースとなるスープを分けてくれただけでなく、丼の調達にも一役買ってくれたのです。普通に営業するには丼が200個は必要ですが、残った丼は数十個で、とても間に合いません。
内田さんは再発注を覚悟しましたが、それを聞いた「いちげん」の店主が「それだと何十万もかかるやろ。ちょっと待っとけ!」と、普段から交流のあるラーメン店に丼を提供してくれるよう呼び掛けてくれました。

さらに、東京に本部がある日本ラーメン協会の理事長にも協力を依頼。またたく間に、全国から500個を超える「義援丼」が集まり、その中には東日本大震災で被災した、東北のラーメン店の丼もありました。

義援丼

「いちげん」の店主は、その丼と支援物資を大型トラックに積み、佐賀から5時間かけて熊本へ。
「『行くよ』とは聞いてたんですが、まさか、こんな大きなトラックで来てくれるとは思ってなかったので、ビックリしました。本当に有り難かったですね」。

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この「義援丼」のお陰で、「ら〜めん陽向」は、地震から2週間後に営業を再開。
「この日を待ってたよ!」と嬉しそうにラーメンを食べるお客さんたちの姿がありました。
毎回、出てくる丼が違うので「きょうはどこの丼?」と楽しみにしているお客さんも多いとか。

義援丼

現在はお店の玄関に飾られている「義援丼」

半年経った今は、震災前よりお客さんが増えたそうです。内田さんはこう言います。

「ラーメンを作るたびに、丼を見て、これだけたくさんの人が支援してくれたんだと勇気づけられます。これからも感謝の気持ちを忘れず、ラーメンを作っていきたいですね」

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八木亜希子,LOVE&MELODY

番組情報

LOVE & MELODY

毎週土曜日 8:30~10:50

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