年々大きくなる空き家問題。
いや待てよ!それ以外にも、使い手がいない“空き空間”はたくさんあります。
会社の空き会議室に、営業時間以外は使われていない空き飲食店。
こうした空いているスペースを、ネット上でまとめて公開し、借りたい人が借りられるようにしたところ・・・これが大当たり。
けさは、この“空き空間がカネとビジネスを産む!”という、『意外な場所のレンタルサービス』についてお話していきます。
この意外な場所のレンタルサービスを始めたのは、「スペースマーケット」という会社で、2014年スタート。
取り扱っているのは“古民家、お寺から野球場まで”、“そんなところ借りられるの?!”という驚きの場所を提供することで、ぐんぐんと業績を伸ばしています。
インターネットで「スペースマーケット」と検索して、サイトを見ると・・・
古民家に飲食店、会議室、なんとアメリカの人気マイナーリーグの球場までもが載っています。
ちなみに・・・このマイナーリーグの球場は、サイトが話題を呼ぶよう社長の作戦で契約、掲載しています。
東京湾に浮かぶ、唯一の自然島として有名な横須賀の猿島も、12月から2月の平日限定で1日7万円で貸切が出来ます。
今までの利用は1回だけですが、120人のコスプレ撮影会が行われました。
島の緑深い木々の中や、レンガ積みのトンネル、砲台跡などの旧軍施設で、雰囲気のある写真が撮れたと大盛況だったようです。
なぜ横須賀市は猿島を貸し出しているのか?
猿島は夏場、海水浴やバーベキューの客でにぎわいを見せますが、12月から2月は閑散期で、文字通り無人の空き空間。
なんとか需要を生みたいと、サイトで利用者を募っているのです。
「スペースマーケット」に人気のレンタルスペースを聞いたところ、まず挙がったのは、
『町田の150年の古民家』。
この古民家を「貸したい」と登録したのは、親から築150年の物件を相続して途方に暮れていた若い持ち主。
そんなときスペースマーケットのサイトに出会い、登録。
利用者は “着付けや生け花、書道などの和の教室”かと思ったら・・・
フタを開けてみると、ここでも「コスプレ写真撮影会」で大人気に。
『刀剣乱舞(とうけんらんぶ)』という、古い日本家屋や武士が出てくるアニメなんですが、この世界観にそっくりということで、若者達がこぞって借りる結果になりました。
サイトでは、空き空間を使った人が感想を書き込むレビュー欄がありまして、町田の古民家にはおよそ100件、「雰囲気が良かった」「他の人にも喜ばれた」などのいい書き込みがたくさん。
こうした感想で、コスプレーヤーのみならず、「外国人のおもてなしのために」とか「うちの会社の商品の撮影で!」「ヨガ教室をやりたい」などと、さらに利用者が増えていく、という仕組みです。
古民家の他に、カネを稼ぐスペースは「キッチン付きの空き空間」。
たとえば、普通のマンションの一室や、営業していない時間帯の飲食店などです。
これもご時世なのだと思いますが、今や「イベント・パーティ」流行り全盛期。
グループで、会社で、友人同士、誰もかれもがパーティをするのが世の流れです。
「商品の発表会」「業績の打ち上げ」「研究発表会」などの会社利用から、気の置けない親子が集まっての交流会、趣味の仲間たちが集まってのオフ会。
とにかく、あらゆる会合が行われています。
しかし、“居酒屋”のような場所を使うと「2時間で出なければいけない」。
ところが、レンタルスペースを借りれば、「4時間」「1日」など、長い時間居られて、割安になるという計算。
キッチン付きですから、「社長が腕を振るう」ということもありますし、近くの店からケータリングを取る、ということもあります。
こうした手間はかかりますが、『その分手作り感が楽しめる』『部の若手が張り切って、いいところが見せられる」、これが今の主流となっているのです。
このキッチン付きの場所を借りて、「企業が戦略を練る会議を行う」、というパターンも実に多いそうです。
社外に行くことで、「市井の人たちと感覚が近づく」「普段と違うアイデアが出る」という効果が生み出される、というのが理由です。
ところで、「スペースマーケット」の社長はなぜこうした「空き空間を利用するビジネス」を考え付いたのか?起業当時30代だったという重松大輔(しげまつだいすけ)社長に聞いたところ・・・
以前「結婚式の写真ビジネス」を立ち上げ、平日の結婚式場に打ち合わせで通っていたところ、ガラガラなのがとても気になった。
そこで、「こうした空間を貸し出す気はあるか?」と聞いたところ、式場側は「ぜひやりたい!」。
この言葉で独立を果たし、「空き空間を貸し出す」ビジネスに身を投じたのです。
このビジネス、おカネの流れも実にうまくできています。
場所は全部ネット上で募集し公開しますから、不動産屋のように、実店舗が必要ありません。
さらに、「貸したい側」と「借りる側」の両方からマージンを取ります。
月間の取引量は数千件ですから、ダブルのうまみです。
今流行っている、民泊のサイト「Airbnb」(エアビーアンドビー)も同じ仕組みで、サイト運営者は部屋を提供する側と部屋を借りる側の両方から、手数料を得ています。
こうした「マッチング」のビジネスは、結び付ける両方の側から手数料を取るのが基本でして、アイデアさえあれば“結び付け”ることでお金を得られるのです。
さて、2年前にスタートした当時は、空きスペースは数百だったのが、いまや1万もの場所が登録されていて、2020年には10万件を目指していると言います。
結論!持て余している空間を上手にアピールして個人が稼げる、という時代なのです。
安倍総理・政府が勧める「副業歓迎」ではありませんが、空間を持てあましている人こそ、自分でも簡単に副業が出来るのです。
ただし人気の場所をよく見ると、貸し主が空間にちょっとした工夫や努力をしています。
感じのいいデコレーションをする、印象的な家具を置く、冷蔵庫にちょこっと飲み物を入れておく、などの“ホスピタリティを強化”していたり、“お試し価格キャンペーン”を張ったりと、工夫する人ほど、面白いほど稼働率が上がっていきます。
重松社長いわく、「今後はもっと自治体がこうしたビジネスに取り組むべきではないか」と言います。
たとえば、私の地元横須賀にある戦艦三笠。東郷平八郎が指揮を執った司令官室を、会社の会議に貸し出せば、 きっと普段とは違ういいアイデアしかでてこないではないか?!
腰の重い自治体や公の機関がこうした「レンタルスペース」登録を行うようになれば、収入の点でも成果があると考えられますが、いかがでしょうか。
11月29日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より