さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
12月1日は「映画の日」。
1956年に一般社団法人 映画産業団体連合が、日本における映画産業発祥(日本で初めての有料公開)を記念する日として定めました。
そこで今回の「しゃベルシネマ」は、2016年12月1日に全国ロードショーとなる映画の中から『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』を掘り起こします。
実在のソプラノ歌手をモデルにした、笑いと涙の人生オペラ
ニューヨーク社交界のトップとして華やかな生活を送るマダム・フローレンスの夢は、ソプラノ歌手になること。
しかし彼女には、本人だけが知らない致命的な欠陥があった。
それは、絶世の“音痴”だということ。そこで夫のシンクレアは、愛する妻に夢を見続けさせるために奮闘。
お人好しなピアニスト、コズメを伴奏者に雇い、マスコミを買収し、理解者だけを集めて小さなリサイタルを開催する。
しかしそんなシンクレの苦労をよそに、フローレンスは世界的権威のあるカーネギーホールで歌いたいと言い出して…。
音痴のソプラノ歌手として知られる実在の女性、フローレンス・フォスター・ジェンキンスをモデルに描いたヒューマンドラマ『マダム・フローレンス!夢見るふたり』。
“絶世の音痴”という役どころを威風堂々と演じてるのは、名女優メリル・ストリープ。
そしてメリル演じるフローレンスと共に夢を追いかける献身的な夫・シンクレアを演じるのは、ラブコメの帝王ヒュー・グラント。
本作が初共演となる二人、とてもチャーミングな夫婦愛を体現しています。
メガホンを取ったのは『クィーン』などの名匠スティーヴン・フリアーズ。
今なおカーネギーホールで伝説として語り継がれる、笑いと涙で包まれた奇跡の物語を愛情豊かに描き出しました。
メリル・ストリープと言えば、実はハリウッドでも屈指の“歌うま女優”。
『マンマ・ミーア!』や『イントゥ・ザ・ウッズ』ではミュージカル・ナンバー、『幸せをつかむ歌』ではギターをかき鳴らしながらロックナンバーと、幅広いジャンルのものを歌いこなすことで定評があります。
本作ではオペラのアリアを超絶音痴に歌い上げるために、まずは楽譜どおり完璧に歌えるようにトレーニングし、その後、フローレンス歌唱(?!)を習得したとのこと。
音楽への強い想いと愛情が込められた歌声は、一度聞いたらクセになる不思議な歌声。
同時に、観る者を幸福へと導いてくれることでしょう。
夢を持つことの尊さにしみじみ心が温まる、寒い冬にほっこりできる一作です。
マダム・フローレンス! 夢見るふたり
2016年12月1日からTOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:メリル・ストリープ、ヒュー・グラント、サイモン・ヘルバーグ、レベッカ・ファーガソン ほか
©2016 Pathé Productions Limited. All Rights Reserved.
公式サイト http://gaga.ne.jp/florence
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/