キテます、スウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第120回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、『幸せなひとりぼっち』を掘り起こします。

スウェーデンを舞台に繰り広げられる、ご近所ヒューマンストーリー。

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愛する妻に先立たれ、孤独に暮らすオーヴェは、近所でも有名な偏屈じいさん。
年齢を重ねるほどにその頑固さに拍車がかかり、最近では厄介者扱いされるほどの存在に。
おまけに43年間努めてきた鉄道局からは突如、クビを宣告されてしまう。

オーヴェは亡き妻の後を追うため首つり自殺を図るが、向かいに引っ越してきたパルヴァネ一家の出現によって、彼の生活は一変。
車の駐車やハシゴの貸し出し、娘たちの子守など、オーヴェに疎ましがられようと罵声を浴びせられようと、動じることなく次から次へと厄介事を持ち込んでくる。

オーヴェも次第に、隣人に心を開いていき、やがて愛する妻との思い出を話し始める…。

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スウェーデンのアカデミー賞と言われるゴールデンビートル賞で、主演男優賞と観客賞をダブル受賞し、大ヒットを記録したスウェーデン初のヒューマンドラマ。

主人公・オーヴェを演じるのは、『アフター・ウェディング』のロルフ・ラスゴード。
孤独や悲哀を感じさせつつ、頑固だけど何故か憎めない老人を巧みに演じています。
監督を務めるのは、1980年代から映画・テレビドラマなどの演出を手掛けるベテラン ハンネス・ホルム。
孤独な老人が隣人一家との触れあいを通して再生していく姿をユーモラス、かつ表情豊かに描いています。

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いま世界的にも熱視線が注がれている、スウェーデン映画。
スウェーデン作家による大ベストセラー小説を映画化した『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』がハリウッドリメイクされ、世界的にヒットしたこと、またスウェーデン出身の女優 アリシア・ヴィキャンデルが『リリーのすべて』で、第88回アカデミー賞助演女優賞を受賞したことも、記憶に新しいのではないでしょうか。

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日本でも年々公開される作品数が増え、映画ファンの間でも注目を集めている理由は、その作品性の高さ。
本作では、スクリーンの色使いがとても印象的でした。
物語の序盤は人生に失望するオーヴェの心を象徴するかのように、青みがかった抑えたカラーが中心。
しかしストーリーを追うごとにスクリーン全体から華やかさが感じられ、まるでオーヴェの心情の変化を映し出しているよう。
ホルム監督による“色の魔術師”とも呼ぶべき演出は、実に映画的です。
なんとなく気ぜわしい年の瀬、ヒューマンドラマでほっこりしてみては。

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幸せなひとりぼっち
2016年12月17日から新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
監督・脚本:ハンネス・ホルム
出演:ロルフ・ラスゴード、イーダ・エングヴォル、バハー・パール ほか
©Tre Vänner Produktion AB. All rights reserved.
公式サイト http://hitori-movie.com/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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