昨年30日に開幕した第95回高校サッカー選手権。5日は準々決勝4試合が行われ、優勝候補の本命、東福岡が敗れる波乱がありました。
開会式の選手宣誓で注目を集めたのが住永選手。通常、宣誓といえば型通りの言葉を並べるがパターンですが、住永はそんな慣習を打ち破って「パルティード ア パルティード」と、「目前の試合を集中して戦う」という意味のスペイン語を使いました。実はこれ、スペインリーグ、アトレチコ・マドリードのディエゴ・シメオネ監督の名言として知られます。
続いて、高校サッカー選手権に出場し、世界へ雄飛した先輩たちへ、感謝を述べ、東日本大震災に。事故や災害のため、サッカーを続けられなくなった選手のことを思いやり、家族をはじめ、仲間との絆を語りました。ちなみに、震災時、住永は小学生でした。
さらには、11月、ブラジル、シャペコエンセがジェット機墜落事故に遭い、Jリーグでも活躍した選手にも触れ、
「犠牲者全員へご冥福をお祈りします」。
時間は2分50秒、久々に感銘を受けたスピーチでした。
しかし、この住永選手、エリートではありません。北海道出身、地元のコンサドーレ札幌の下部組織でプレーしていました。ところが、ユースチームの昇格テストで落選。青森山田は中高一貫教育で有名ですが、高校から編入した経緯がある。
「自分のように、ユースを落ちたやつが奮起しないと、高校サッカーはダメになる」
と、いわゆるサッカーエリートを見返すために粉骨砕身、努力を続けてここまできました。
ポジションはアンカーとも呼ばれる、守備的ミッドフィルダー、ボランチです。天皇杯で優勝した鹿島の主将、小笠原は「いいボランチがいるチームは負けない」と語っていますが、まさにその通りでしょう。住永がいるからこそ、今大会も多くのチャンスが生まれました。
青森山田のサッカー部員は165人。11人で行うスポーツに、それだけの人数が集まることに驚いてしまいます。が、高校サッカーで優勝するのは、だいたい200人以上の部員がいる。きのう敗れた東福岡は約300人。
かつて、大会をみたジーコさん、オシムさんなど、歴代の日本代表監督は、そのレベルの高さを大絶賛しました。とはいえ、
「どうして、ここから伸びないんだ」
と共通の疑問を口にしたことを思い出します。
1月6日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」