J1大久保嘉人選手ゼロ円移籍のわけ【ひでたけのやじうま好奇心】
公開: 更新:
きょうは「スポーツにまつわるお金の話」。
今月の25日からJ1リーグが開幕、目玉はなんといっても大久保嘉人選手。
おととしまで3年連続Jリーグ得点王。
去年、4年連続はならなかったものの日本人最多得点を記録、まさに日本人Jリーガー、No.1の点取り屋です。
その大久保選手が川崎フロンターレからFC東京に移籍しましたが、なんと「移籍金がゼロ円」でした。
サッカーの移籍金というと「数十億円」というのがよく報道されます。
げんに去年の夏、フランス代表の「ポール・ポグバ」という選手がユヴェントスから、マンチェスター・ユナイテッドに移籍した時の移籍金が、サッカー史上最高額の1億500万ユーロ(日本円で119億円)。
「ポール・ポグバ」は現在23歳。
4年前の19歳の時、今回移籍するマンチェスター・ユナイテッドからユヴェントスに移籍。この時は大久保選手と同じ「ゼロ円移籍」。
4年間でフランスのフル代表になるまでに成長。
マンチェスター・ユナイテッドは「ゼロ円」で出した選手を119億円で買い戻したそうです。
なんで「ゼロ円」と「119億円」ということになるのか?
そもそもサッカーの世界では「移籍金」というのは厳密には存在しません。
正式には「違約金」で、契約書には「移籍金」の文字は一切ありません。
というのはサッカーの世界では3年契約なら、3年経ち、その契約が切れれば、自由にゼロ円で移籍できるシステムです。
3年連続得点王の大久保嘉人選手がゼロ円で、川崎フロンターレからFC東京へ移籍したのも川崎フロンターレとの契約が切れたからです。
逆に「移籍金」つまり「違約金」が派生する場合はまだ所属クラブとの契約が残っているにも関わらず移籍する場合に支払うお金のこと。
しかし、どうでしょう?
せっかく手塩に掛けて育てた選手、契約が切れたので「はい、ゼロ円で移籍!」と、持っていかれるというのは、少し悔しいですよね。
まるで仕事のノウハウを教えて、30歳くらいでライバル社に転職されるようなもの!
実は、FIFAもいろいろ考えていて「賢い制度」仕組みを準備しています。
まずひとつが「連帯貢献金制度」
これは2001年から始めた制度で、サッカー選手が国際移籍する際、新たに獲得したクラブ側が、その選手が12~23歳まで所属していた各クラブに育成の対価として支払うというもの。
たとえば香川真司選手は「ゼロ円」で、セレッソ大阪からドイツのドルトムントに移籍しました。
そしてその後、ドイツのドルトムントから、イングランドのマンチェスター・ユナイテッドへ移籍。
この時の違約金が、推定でおよそ「15億円」。
その後、マンチェスター・ユナイテッドからドルトムントへ再び移籍。
この時の違約金が、推定でおよそ「11億円」。
合計26億円の違約金の5%、およそ1億3,000万円を香川選手が12~23歳まで所属していたクラブチームで年齢に応じて分配。
香川選手が中学1年生から高校2年生まで所属していた「FCみやぎバルセロナ」には、およそ5,000万円の連帯貢献金を支払われました。
去年、この5千万円の中から2,100万円が仙台市内にある専用グランドの改修工事費に使われたそうです。
最後になりましたが、今年の夏、所属クラブのACミランとの契約が切れ「ゼロ円移籍」で放出されることが確実となっているのが、日本代表の本田圭佑選手。
本田選手は今年に入ってほとんどの試合がベンチスタート。
イタリアの名門ACミラン入りで騒がれた本田選手ですが、ロシアのチームから「ゼロ円」で移籍。
この時、辛口で知られるセルジオ越後さんは「ゼロ円になるまでACミランが待ったことを日本のマスコミは報じないといけない」と語っています。
そして今回、違約金2億円で同じイタリアのチームへの移籍が噂されましたが、結局まとまりませんでした。
イタリアの新聞は本田について「ゼロからゼロへ」との見出しとともにシーズン終了後のゼロ円移籍でACミランを退団すると報じています。
今年のヨーロッパの移籍期間は1月31日で終了、シーズンが終了する6月まで飼い殺し状態になってしまいました。
移籍先としてはイタリアのチーム以外には、中国やアメリカのリーグなどが報じられています。
サッカー選手にとって「ゼロ円移籍」は簡単に海外のチームに挑戦出来る!といういい点もあれば、違約金を払ってまでは獲得する選手ではない!という烙印を簡単に押されてしまう厳しい面もあります。
2月6日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より