みなさんの愛犬の体型は理想的だと思いますか?
万病のもとである肥満の予防に気遣っている方も多いかと思いますが、取材先の獣医さんとの雑談で「最近は、健康的に気になるほど痩せている犬が増えているんだよね」と聞くことが増えてきました。
そこで今回は、愛犬の痩せすぎのリスクや理想的な体型についてなどをお話できればと思います。
愛犬の背中を触ってみよう!
我が家のノーリッチ・テリアは単脚でずんぐりむっくり体型のため「ちょっと太ってる?」などと聞かれるのですが、いえいえ、背中を触ると肋骨がちゃんと「1組、2組……」と数えられる理想体型です。
ただし、避妊手術をしてシニアの域に入ってきたので太りやすくなったのも事実。肥満にならないように気をつけてはいます。
ネットで「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」と検索すると、犬の理想体型の絵と解説が出てくるかと思います。これは、犬の体を触ったり、横から見たりすることで、犬の肉付きの状態を把握できる評価を5段階にまとめたもの。
BCS3のスコアが犬の理想的な体型です。肋骨が薄い皮下脂肪で覆われていて、飼い主さんの手で触ると肋骨が確認できる状態。愛犬を真上から見ると、腰はゆるやかにくびれていて、横から見ると腹部が後脚の付け根にかけてつり上がっているのがわかります。
肋骨が少し浮き出て見えたり、簡単に肋骨を触れるのは痩せ気味の状態。これはBCS2のスコアになります。
さらに、肋骨や腰椎や骨盤の形がはっきり浮き出て見え、手で触るとゴリゴリした感触とともに骨格がわかるようであれば、痩せすぎだといえるでしょう。BCS1のスコアの状態です。
プードルのように毛質がカーリーでフワフワしている犬種だと、一見すると痩せているかわかりにくいかもしれません。
ぜひ、愛犬を触って確認してみてください。尻尾の付け根の延長上にある腰骨が、猫の耳のように2つ、ゴツリと尖っているようであれば明らかに痩せています。
痩せすぎだと免疫力が低下する
多少は犬種特性や生まれつきの体質なども影響するので、痩せていることが必ず問題とは限りませんが、痩せすぎのリスクには次のようなものが挙げられます。
ひとつは、免疫力が低下すること。それにより、感染症などにかかりやすくなります。
もうひとつは、肝機能の低下を招くこと。
子犬のうちから痩せすぎていて、食欲がないとか食べても太らない場合、生まれつき肝臓の機能が弱い場合もあるそうです。
子犬で痩せすぎている場合、身体の発育が健全に進まないことは想像できると思います。
そのほかにも、痩せている子犬では低血糖に陥る危険性が高くなります。低血糖症になると、元気がなくなり、症状が進むとけいれんが起こったり、最悪のケースでは命を落とすことも。
消化機能が未発達な子犬に1日に3~4回に分けてゴハンを与える理由のひとつは、低血糖を予防するためでもあるのです。
ブリーダーさん取材ではよく、「パピーのうちはフードの給与量を気にせず、うんちがゆるくならなければ食べたいだけあげて」と聞きます。
子犬は成犬より筋肉量が少なく、体内の水分量が多いのでぽっちゃりしているように感じてもOKなのだとか。
このように、痩せすぎによる悪影響も気になるところ。
愛犬に必要な量の摂取カロリーを満たさせて、理想的な体型と体重を健康のためにキープできるようにしてあげたいものです。
ゴハンの与え方で痩せさせない!
実は寒い時期ほど、犬たちはカロリーをたくさん消費するといわれています。人間ならば衣服で暖かくできますが、我が家の愛犬のように洋服を着ない犬も多いからでしょう。
そのため、筆者は獣医さんから「冬は少しフードの量を増やしてあげて」といわれたことがあり、なるほどと納得! それをずっと実践しています。
また、愛犬のテリアと同様、運動欲求が高くボールが大好きな筆者は、テニスやバレーボールに興じることもしばしば。運動するとお腹がすくので、モリモリと食べます。
活動量によって消費カロリーが違ってくるのは愛犬も同じだと考え、我が家ではロング散歩をした日は給餌量を増やし、雨で散歩に出られなかった日は逆に少し減らしたりしています。
愛犬の痩せすぎや太りすぎを招く理由は、飼い主さんの給餌量によるところが大きいはずです。
ドライフードのパッケージに記載されているのは、犬の「適正体重」における給与量。
すでに痩せている「体重4g」の犬に「4kg」の表示にあわせた量では足りません。
愛犬が先述のBCSスコア3の理想体型かどうかを、ときどき飼い主さんが見たり触ったりしながらチェックしつつ、ドライフードの増量や減量を調整できれば理想的。フードのパッケージに書かれているのは、あくまでも目安です。まずは愛犬のそのときどきの状態を見ながら、いつも適量を与えられるようにしたいもの。
そもそも「お腹すいたよー」といつも愛犬が思っているとすれば、それは精神的なストレスになります。イライラ、キリキリして、荒れてしまうかも……。
愛犬に心身とも健康的でハッピーに過ごしてもらえるよう、愛犬が理想的な体型をキープできるようにしてあげたいと筆者もあらためて感じています。
連載情報
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著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。