衆議院小選挙区定数“0増6減”~区割り改定案を安倍総理大臣に勧告 高嶋ひでたけのあさラジ!

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4/20(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

注目される施行後の衆議院選挙の時期
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)

衆議院区割り審勧告案ポイント 資料提供:共同通信社

衆議院区割り審勧告案ポイント 資料提供:共同通信社


7月の都議選に合わせた衆議院選挙は極めて難しい

衆議院の小選挙区の定数について、いわゆる“0増6減”を実施して、一票の格差を是正する、区割り改定案を、衆議院の選挙区画定審議会が安倍総理大臣に勧告しました。新たな区割りによる一票の格差は、最大で1.999倍となり、最高裁判所が違憲状態と判断した2014年の衆議院選挙の2.13倍を下回る見通しとなりました。

高嶋)人数優先というか、生活圏をグチャグチャにされそうという意見も出ていますが、詳しいところを、ニッポン放送報道部、森田耕次解説委員です。

森田)衆議院の選挙区画定審議会は、総理大臣の諮問機関で、委員は7人です。今回は衆議院選挙制度改革関連法を受け、小選挙区の定数を“0増6減”とする改定案を作り、昨日、安倍総理に勧告しました。1994年の小選挙区制度導入以来、区割りの改定は3回目で、いまの295の小選挙区のうち、およそ3分の1、97の選挙区が見直し対象で、これは過去最大の改定です。2020年の見込み人口で最も多い東京22区と、最も少ないと鳥取1区の格差が、1.999倍となります。また、小選挙区の定数が1つ減るのは、青森、岩手、三重、奈良、熊本、そして鹿児島の6つの県で、与野党は各県で候補者調整をこれから本格化させることになります。また、別々の選挙区に分割されてしまうという市区町村の数は、これまでの88から105に増えることになります。一方、比例代表も、東北、北関東、近畿、九州の各ブロックで、定数を1つ減らすことになります。今回の改定で小選挙区は定数がいままでの295から6減って289に。比例代表がいまの180から4減って176となります。衆議院の定数全体ではいまの475から465に10議席減るということになります。昨日勧告を受けた安倍総理大臣と菅官房長官の記者会見です。

安倍総理)内閣としては、勧告を直ちに国会に報告するとともに、速やかに必要な法制上の措置を講じて参ります。

菅官房長官)現行の公職選挙法との規定の下で、内閣が衆議院の解散を決定することは、否定されるものではない。そこに縛られるものではないと思っています。

森田)今回の勧告を受けた公職選挙法改正案が、5月のGW明けにも国会に提出されて、いまの国会中に成立する方針です。1ヶ月の周知期間を経た7月ごろに新たな区割りが施工される見通しで、菅官房長官は「解散権に縛られない」と言っているのですが、自民党の二階幹事長は「解散は新しい区割りで実施した方が望ましいだろう」と述べています。自民党関係者の一部で取り沙汰されている7月2日の東京都議選に合わせた衆議院選挙というのは極めて難しいという見方が広まっています。


都議選で自民が大敗ならば直後に衆議院選となる

高嶋)森友問題があったり、奥さんの問題があったり。安倍総理も自分の専売特許である解散権というのをいつ使うか。伝家の宝刀。これ、今度7月ごろにこれが成立すると、非常に縛られますよね。

佐藤)施行をどういう風にするか……周知期間が1ヶ月ということで。5月にもの凄い駆け足でやれば、7月2日にギリギリで突っ込めるかもしれないですね。
しかし、いずれにせよ問題は都議会選挙なのですよ。やはり政治の世界ではいま小池旋風が吹いているので圧勝するでしょう。その小池さんは都議会の頭は公明党だと言っているのです。ということは、自公ではなくて、“都民ファースト公明”……あるいはいままでの経験からすると“公明都民ファースト”で、こういう体制ができるかもしれない。そうなると、その体制ができて、オリンピックも睨んだ、都のいままでのいろいろな利権構造が変わる中で、時間が経てば経つほど、自公というのは面倒臭くなってくるわけですよね。だから、東京だけでは留まらない可能性が出て来る。そうすると、だんだん選挙では売り言葉に買い言葉みたいな話が出て来て、かなり緊張してくる。それなら、早くやった方がよい、そう思うでしょうね。東京都知事選の結果が、目に見えて自民党が減る、ということになった場合、全国で勢いに影響があります。それで、安倍さんはすごく合理的な方だから、いま、2つのことをやりたがっていると思うのです。世の中で言われている憲法改正とかはもっと先の話で、いまはオリンピックを自分の手でやりたい。となると、続投しなければいけない。次の選挙では必ず議席が減ると思っているのです。その議席が減るのをどこでやればミニマムにできるか? 合理的に考えると、そこのところで、東京都議会戦に充てる、ということなのです。

高嶋)まだその話は死んでいないのですか?

佐藤)完全には死んでいないと思います。ただ、その国会運営というのは相当のウルトラCを使わなければいけない。

高嶋)森田さんはどう思いますか?

森田)スケジュール的には無理ですね。陛下の法案も通さなければいけませんし、退位の問題もこれから国会で通さなければいけないので、国会日程的にはかなり厳しいと思います

高嶋)佐藤さん、もしそれが無理だと思ったとき、先ほどおっしゃった「マイナスのミニマム化」を次の選択としてはどうですか?

佐藤)それは都議会選挙の結果次第ですが、自民党が意外と残っていた、ということなら、しばらく時間を置くと思います。自民党が大負けだったら、世の中の人は逆に「そんな負けたイメージの直後に」と思うかもしれませんが、そうではない。負けたというイメージの直後でも、地方における自公体制のところは、いまの流れでもぐっと行けるという、そのタイミングですね。ただ、東京の選挙区調整が大変になりそうですね。


小池百合子に“腹”はない

高嶋)小池さんの腹の内はどうですか?

佐藤)小池さんの重要なところは、「腹が無い」ということす。小池さんの凄いところは、戦力の逐次投入を続けていくこと一度に大きな戦力ではなく。ある臨界点でどうしようもないとところに来たところで、「はい、こっち」と決めるから。だからあの人に戦略とか腹を求めても、腹はない。

高嶋)はなから「こうしよう」と手を打って来るのではなく……

佐藤)局面で上手に積み重ねて。あの人は“失敗の本質”、日本軍の失敗の研究が大好きだから。「ガダルカナル戦のところで、戦力の逐次投入と、ドラスティックに撤退するのなら、撤退の方が陸軍内を説得するのに時間が掛かるからダメだった、だから日本の組織はダメ」というのが普通の見方なのだけど、彼女は逆だと思う。「日本の組織文化は陸軍と変わりません」と。だから戦力の逐次投入で、臨界点で「もうこれじゃダメでしょう」と言われたところで始めてガーンと。豊洲もそう。だから都議会戦も選挙が終わって「さてどうなるか」というところで、「これ以上私、自民党籍あると、無理だよね」となったところで、党籍離脱する、とか。そういう考えだと思います。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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