東京以外の開催費用の一部は自治体負担で大枠合意 高嶋ひでたけのあさラジ!

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6/1(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

ハイブリッドな小池都政
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)


東京以外の開催費用~警備や輸送などは開催自治体負担で大枠合意

2020年東京オリンピック・パラリンピックの東京以外の開催費用について、警備や会場への輸送などは開催自治体が担うことで大枠で合意しました。ただ350億円と見込まれる東京以外の会場の運営費は、他の団体が負担に反発し割り振りを先送りしました。

東京都と政府、大会組織委員会、そして開催自治体、この4者による連絡協議が昨日開かれまして、予備費を除いたオリンピック・パラリンピックの開催費用の総額が1兆3,850億円ということが試算で発表されました。東京都と組織委員会がこの内6,000億円ずつを負担し、国が1,500億円を負担します。
東京都以外の会場の経費については当初の400億円から350億円に圧縮されたのですが、埼玉県などが金額面での合意に反発しまして、結論が先送りされました。一方で警備や会場への輸送については開催自治体が担うなどとしたオリンピック招致段階の立候補ファイルに則って費用を分担するという原則が確認されました。
東京都以外の会場があるのは7つの道や県ですが、昨日の合意文書では「東京都以外の自治体が持っている施設の賃借料、借り賃などは東京都が負担する」と明記されました。この中には福島のあづま球場や幕張メッセ、埼玉スーパーアリーナなどの会場使用に伴う営業補償も含まれている他、セーリング会場の江ノ島周辺海域の漁業補償なども含まれているということです。
丸川オリンピック担当大臣も「国としても東京都以外の自治体への補助金とか財政措置が可能か検討する」という考えを昨日明らかにしています。昨日記者団に答えた東京都の小池知事と神奈川県の黒岩知事です。

小池知事)試算として350億円という規模は明示させていただいたところであります。準備を急がなければならないという現実がございます。政局で弄ぶようなそういう時間は無いということです。

黒岩知事)なんでこんなに遅れたのかということが本当に理解不能ですよね、我々が見ていてね。ミステリーとしか言いようがないですよね。

森田)黒岩知事は「ミステリー」と言って、小池さんは「政局にすることではない」と言っているのですが、そもそもは去年の9月小池知事が設置しました都政改革本部が、仮設整備費や組織委員会が負担だとしたオリンピック招致段階の原則を覆して、東京都以外の会場については自治体や国に負担を求めるという構想を示したことが事態を混乱させたわけですね。ですから都議会の自民党などはこれまでの小池知事の対応を批判しまして「決着が遅すぎた」と言っており、7月の都議選を控えて対立が激しさを増しています。


小池都知事の手法は「戦力の逐次投入」

高嶋)私素人考えですけど、最初「コンパクトなオリンピックをやる」と言っていましたよね。それで昔ですけど石原慎太郎さんが「いやあ、東京都は4,000億円現ナマがあるんだ」というようなことを言って胸叩きましたよね。そんなこんなで考えると、何でこのちまちまの、こう言っちゃあ怒られるけど、350億円を小池さんが「払うわよ」って言わないのだろうと、これが不思議で。それで食い下がる知事も、知事って偉いはずなのだけど、ちっちゃく見えますね皆。あれどういう風に判断していますか(笑)?

佐藤)正に私も同じ印象で、要するにオリンピックを真面目に成功させるか本当に時間が迫っているわけですよ。その感覚が極めて希薄で、自分たちの小さいゲームでどういう風にして得点を得られるかというポピュリズムしか考えていないですよね。
特に小池さんの手法の特徴というのは戦力の逐次投入なのですよ。少しずつ少しずつ、豊洲でもオリンピックでもそうでしょ。全部小出しなのです。彼女は大胆な改革と言う割には大胆なことをしない人なのです。

高嶋)確かに、風向きを多少見ながらやっている。

佐藤)それは、彼女の愛読書が「失敗の本質」という本だと。これはガダルカナル島の戦いのことなんかを書いているのです。
何で、ガダルカナルで逐次投入だったら負けるのは分かっているじゃないかと。大規模な撤退を早くしないのかということに対して、その分析を、少しずつやっていくことと大きく転換していくことで組織の中を説得することで、どっちが楽かと。大きな転換では大変。だから逐次投入を続けて、もう駄目だと皆が思うところまで逐次投入であると。
普通はそれだから日本の組織はトップダウンでもっと重要な決断をしなければいけないと、あの本から勉強しているのだけども。
小池さんは逆なのですよ。「文化だから変わらない。旧日本陸軍と東京都も一緒だ」と。だからちょこちょことやって、皆の動きを見て「もうこれで大丈夫だ」ってなった所で自分は方針を決めると。


小池都知事は大きな問題になると“決められない政治”になる

高嶋)それ言葉を変えれば「石橋を叩いて渡る」ということですか?

佐藤)その通り。こういうやり方なのですよ。だから彼女が実際にやっていることというのは全然大胆じゃない。だから実際に豊洲であるとかオリンピックっていう大きい問題になると、“決められない政治”になるのです。

高嶋)じゃあ世間でそういう印象を持たれているというのも、これはやむを得ないことだという様な感じですよね。

佐藤)というか、小池さんの権力の本質を見なきゃいけないのですよね。例えば彼女があそこまで自民党と対立するのだったら、党籍は抜くべきなのですよ。

高嶋)そうですよね、私もそう思います。

佐藤)ところがそうしない。そこもハイブリッドなのですよ。だからそういう意味においては、もしかしたら都民ファーストでずっといけないのではないかと。

高嶋)どっちに振れてもみたいなことですか? 保険を掛けているということですか?

佐藤)そういうことです。保険を掛けています、あちこちに。だから言葉で威勢の良いのと実態とは逆でジグザグになると。そうするとジグザグになるから表面上喧嘩しているように見える自民党の人たちでも「いや小池さんは実際大したことをしてないからいつでも手を握れるだろう」と、こういう風に思っている。

高嶋)ということは、足元を見られているということですか?

佐藤)その通りです。足元見られています。
それで実際何かを動かすということになったら350億東京の予算規模、それからオリンピックということの、東京都にとっても国策にとっても経済政策にとっても重要性を鑑みたときに“決められない政治”が起きているということですよね。
彼女は決めることはできるのです。しかし決めることによって得られる得と損を彼女の中でバランスを取ると、今のところマイナスが大きいのですね。それは豊洲も一緒です。だから豊洲とオリンピックはそっくりの構造になっています。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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