7月は革命の月!花の都パリが呼んでいる!【雑学と音楽 ザツオン Vol.24】

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音楽にまつわる雑学を楽しむコラム【ザツオン】

7月は…“何の月”でしょうか? それは…“花の都パリが呼んでいる月”です!

人は権利において、生まれながらにして自由かつ平等である。
これは1789年8月26日フランス人権宣言の言葉。

その1ヶ月半前の7月14日。国王ルイ16世による専制政治の象徴であったバスティーユ監獄が、パリ市民たちによって攻め落とされました。そう、フランス革命!
…で、7月14日はフランス共和国の成立をお祝いする“パリ祭”です!
首都だけではなく国中で祝賀行事が開催されますし、39歳という若き大統領の誕生もあってメチャメチャ盛り上がることでしょう!

そんなわけで、今回の『雑学と音楽 ザツオン』は「パリ」がテーマです!
ルーブル美術館も7月14日は無料開放だそうです!ボン・ジュ~ル、Paris!!

ハイ!パリジャン/パリっ子と言ったら…このオジイちゃん!
ミシェル・ルグラン『THE NEW I LOVE PARIS』2006年。

THE NEW I LOVE PARIS,MICHEL LEGRAND

1932年2月24日パリ生まれ、アカデミー賞とグラミー賞に輝くインターナショナル人間国宝なミシェル・ルグラン先生!名作だらけの人生です!コール・ポーター曲を楽団演奏した1954年の『Columbia Album Of Cole Porter』!あのマイルス・デイヴィスやビル・エバンスを迎えてのリーダー作『Legrand Jazz』をリリースしたのは1958年26歳!バイオリンのステファン・グラッペリとの1992年アルバム『Legrand Grappelli』、1920~50年代にラジオから流れたスタンダードナンバーを集めた1998年作『Happy Radio Days』、2002年の自作自演ピアノ初ソロ『Michel Legrand Plays Michel Legrand』、トリオ編成で女性オペラ歌手ナタリー・デセイとコラボした2013年『Entre Elle et Lui』、御存知名作映画の音楽は『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』『華麗なる賭け』『おもいでの夏』など×など×など!う~ん、迷いに迷って決めました!1954年録音のモノラル盤がオリジナルなのですが、2006年にステレオリメイクされたコチラのジャケットの素敵さが個人的ナイスで選びました!(パリの“P”文字に見える眼鏡ムッシュがオリジナル盤では全面メインのデザイン)2012年の来日公演を青山Blue Noteで観たのですが、超エネルギッシュでチャーミングな眉毛鼻毛ボ~ンの80歳ジイちゃんだったです!夢中になると口を開けて舌も出したりでピアノを弾くクセがあって超可愛い。そして!今年リリースされた最新作は84歳で初めての本格クラシックアルバム!それも新作の交響曲2曲ですよ!いつまでも元気でいて下さい!ディ・グ・ディン・ディン♪

続いては…“エッフェル塔”を背景したモノクロ男ざんす!
マルコム・マクラーレン『PARIS』1994年。

MALCOM MCLAREN,PARIS

ファッションデザイナーとしてキャリアスタート。ニューヨーク・ドールズ、セックス・ピストルズ、その他の個性的バンドの仕掛け人として活躍して自らソロへ。その6作目がコチラ!カトリーヌ・ドヌーヴが朗読したりやフランンソワーズ・アルディがアンニュイ歌唱したで創り上げたモノクロームで静かな閑かなパリ賛歌集です。マイルス・デイヴィスに捧げた5曲目「ジャズ・イズ・パリス」は、1950年代のサンジェルマンやサンミッシェル界隈のパリのジャズシーンを妄想させるナンバーです。小雨の夜、部屋の灯りを消してアルバムを聴けば、我がココロはエールフランスでもって「翼よ、あれがパリの灯だ!」とシャルル=ド=ドゴール空港にフワリフワフワと脳内着陸です。それにしても、パリ好きイギリス奇才のマルコム氏!あの赤塚不二夫サンの名作漫画『おそ松くん』(最近のリメイク版『おそ松さん』ではなく)に登場する、ナイスキャラなフランスかぶれ男“イヤミ”にダブって見えるのはワタクシだけでしょうか?!

もうひとり、シャイヨ宮の広場に佇む男。パリの日本人、大江千里さん。1986年の通算5枚目アルバム『AVEC』は初のセルフ・プロデュース作品です。当時26歳のピアノ詩人が歌い上げる言の葉は、今でも聴く人それぞれの孤独なココロを揺さぶります。2008年47歳でニューヨークへ渡りジャズ名門音楽大学を卒業して、現在はジャズピアニストとして活動。2012年から3枚のジャズアルバムをリリースしています。そして、7月19日リリースの石川さゆりさんアルバム『X -CrossⅢ-』の中で「ワインを選んで」を楽曲提供されています。詞曲はモチロン、アレンジやピアノ演奏も!なんともかんともイイ雰囲気でホロ酔い気分です。この『AVEC』の黄色いフィルターをかけた写真を撮影したのは、数々のアーティストを撮り続けているフォトグラファーの大川直人さん。四半世紀後に自らがジャズピアニストになる未来を知っていたのかも知れませんね、この広場へ来た瞬間に千里さんは。

大江千里『AVEC』1986年。

AVEC,SENRI OE

渡辺美里『Baby Faith』1994年。

Baby Faith,MISATO WATANABE

巴里の屋根の下にセーヌは流れ、そしてパリの屋根の上に…?!渡辺美里さん10作目の『Baby Faith』は「真夏のサンタクロース」「SHOUT(ココロの花びら)」など名曲11曲で構成されたアルバムです。ラスト曲「I Wish」の♪風よ、キミのそばへ今すぐボクを連れてって…♪♪あ~、切なくて泣きそうになります。ライナーは“写真集”と言っても過言ではない内容でもってフランス各地やパリの名所でのフォトがいっぱい!そんな写真の中に俳優/監督のジャック・タチにソックリのナイスな叔父さんが写っているのです。そのことを美里さんに質問したことがありました。「偶然、パリの街角にいたフツーの紳士」だそうで、絵になる街角と絵になる人々なパリの魅力を再確認したことを記憶しております。
デビュー32年目、この7月5日にシングル「ボクはここに」をリリースした美里さん!
7月から11月まで全国ホールツアーを開催です。もう、行くしかありませんね!さてさて、Baby Faithなカノジョが大きな目をクリックリして見つめる先には何があるのか?!それは…ひょっとして…街中の“SOLDES”の文字かも?!そうです、 6月末からフランス国内の店で6週間に渡って“夏のセール”が一斉にド~ン!デパート、大手チェーン、小さな店まで…シーズン限りのサマーファッションや季節アイテムなどのセールですよ!もう、行くしかありませんね!

そして!パリなジャケットと言えばコチラも!
ザ・スタイル・カウンシル『CAFÉ BLEU/カフェ・ブリュ』1984年。

CAFÉ BLEU,THE STYLE COUNCIL

TGVに乗ってロンドンからパリにやってきましたフレンチフェチなイングランド男は25歳!1983年当時、人気絶頂だったザ・ジャムを電撃解散したポール・ウェラーが新規結成したザ・スタイル・カウンシルです! 相棒の鍵盤名手ミック・タルボットと共に創り上げた1枚目のアルバムは懐かしのモータウン調ありヘビーファンクあり小粋バラードありと音楽好きのツボ押しまくりのサウンド全13曲!33年後の今でも胸躍る名作ですね!ジャケも超フレンチクール(?!)で最高!ステンカラーコートにスカーフ、ロールアップジーンズの若者がシブヤに溢れました!ザ・クラッシュのジョー・ストラマーやマドンナを撮影しているピーター・アンダーソンの写真です。さてさて、パリ市内で花火見物が出来るのは、“パリ祭”の7月14日だけだそうです!トロカデロ広場の噴水近辺からエッフェル塔を囲むようにドッカンドッカン打ち上げられ、塔自体も綺麗にライトアップ&尖塔からは光ビーム!ならば、花火はエッフェル塔近くから見上げる?モンパルナスの丘から見る??セーヌ川のポンヌフ橋から見る???クルーズ船から見る????いえいえ!やっぱり、お気に入りのオープンカフェ『カフェ・ブリュ』の椅子に座って、カフェオレなんか飲みながら、花火見物いたしましょう!

最後に御紹介したいのはレコではなくて…地図!
帝国書院『旅に出たくなる世界地図』。

旅に出たくなる世界地図

コレ、面白い企画の地図本!メルカトル図法などで描かれたフツーの地図帳ではなくて、世界各地を自然や観光旅行や音楽/映画/文学/芸術/建築という切り口で特集編成した目的別の地図帳なんです。なんかもう楽しいんですよ!沢山の鳥瞰図やイラストと解説もあって、ただゆっくりと見ているだけでも旅した気分!フランスは“パリのファッションと芸術”“モンマルトル散策”“セーヌの流れと近代絵画”“ワイン街道の旅”等々…という視点での地図的紹介!もちろん他の国々の特集視点も定番あり変化ありで楽しいです。この“旅に出たくなる地図”は、シリーズものでして「日本地図」もあり!実は…ラジオ番組の構成をするのに大変役立ちまして、個人的にも生放送スタジオでの参考資料として活用しています!是非オススメしたいです!

貴方を呼んでいる7月のパリ!既に、この1日からは104回目となる伝統の自転車レース「ツール・ド・フランス」も開幕しております!1日(土)第1ステージはドイツのデュッセルドルフから、23日(日)第21ステージはフランスのパリ!シャンゼリゼまで3500㎞の激走の果てに、ディフェンディングチャンピオンのクリス・フルームは?!そして、2012/2016年にはステージ敢闘賞を獲得している新城幸也選手は日本人初のステージ優勝なるか?!期待したいですね!さてさて!ウッディ・アレン監督の“現代と1920年代のパリを結んだ”タイムリープな映画『ミッドナイト・イン・パリ』(2011年)や、クロード・ルルーシュ監督の“パリ市内早朝のファラーリ爆走”なドキュメント短編『ランデヴー』(1976年)のこと!そして、シトロエンの名車2CVやDSのことも書きたかったのですが、ソロソロFinの時間となりました!

そんなこんなで、『雑学と音楽 ザツオン』第24弾でした!いろいろな“音楽のもうひとつの楽しみ方”を御紹介してきましたが、今回を持ちまして最終回となりました。これまでお付き合い下さいましたこと感謝いたします!また、いつかどこかでお会い出来れば幸いです。では、お元気で~♪

神部恒彦(a.k.a 北大路おさんどん)
1960年北海道生まれ。
1981年「オールナイトニッポン」のADとして放送業界で活動開始。
音楽やドキュメンタリーを中心としたテレビ・ラジオの構成/選曲を担当する。
1992年いったん全ての仕事を終了してシベリア鉄道で渡欧。
1年間に渡りフランス/スペインを拠点に欧州各国の景勝地や美術館を見て回る。
さらに渡米、自動車でアメリカ大陸を横断しながら様々な音楽聖地を巡って帰国。
幅広い音楽/雑学知識と好奇心でジャンルを問わない番組/イベント構成を手がける。
趣味:大相撲/F-1観戦、全国各地の居酒屋訪問と見知らぬ人々との会話。

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