北朝鮮が深夜にICBM発射「でまかせを言うアメリカを厳しく警告するため!」【高嶋ひでたけのあさラジ!】

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7/31(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

北朝鮮の脅威は増すばかり
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

PAC3

【北朝鮮がミサイル発射】防衛省の敷地内に配備されているPAC3=2017年7月29日、東京都新宿区の防衛省 写真提供:産経新聞社

異例の深夜に発射されたICBM~着実に進む北朝鮮の軍事力

菅義偉内閣官房長官)我が国としては、このような北朝鮮による、度重なる挑発行為に断じて容認できず、北朝鮮に対し厳重に抗議を行い、最も強い表現で非難しました。

北朝鮮が今月28日深夜、弾道ミサイル1発を発射しました。今回のミサイルはICBM(大陸間弾道ミサイル)と見られ、深夜という異例の発射時刻と合わせ、国際社会に波紋を広げています。

「火星14型」と呼ばれるミサイルが発射されたのが7月28日。日本時間の午後11時42分。北朝鮮だと、11時12分ということになります。いずれにしても、夜が深まった時間での発射という、異例の事態となりました。
防衛省やアメリカ政府によると、およそ45分間で、約1,000キロ飛行し、北海道奥尻島の北西およそ150キロ。日本のEEZ(排他的経済水域)内に落下したとのことです。
軌道は「垂直に近い角度で大気圏に突入させる」という、「ロフテッド軌道」と呼ばれる軌道で打ち上げられ、その高度は過去最高の3,500キロ以上に達したとのことです。
こういった情報から、アメリカ政府はICBM(大陸間弾道ミサイル)と断定しました。「通常の軌道で打ち上げた場合は、射程は10,000キロ以上に達する」と。これは、専門家によると、アメリカの中西部シカゴや西部のロサンゼルスにも届く可能性があるとのことです。
さらに、発射場所ですが、北部の舞坪里(ムピョンリ)という、中国にも近い場所です。これも日米にとっては想定外の場所ということになりました。
発射を受けて北朝鮮の国営メディアは、発射の映像を放送するなど、発射の成功を伝えています。以下は、平壌放送の日本語版です。

平壌放送)金正恩元帥は、大陸間弾道ロケット「火星14型」の第2回テスト発射を命令。英雄の朝鮮の底知れない力が込められた大陸間弾道ロケット「火星14型」が、夜の帳を吹き飛ばしながら、空中へと発射されました……

畑中秀哉デスク)北朝鮮は「ミサイル」ではなく「ロケット」という言い方をしていますが、「夜の帳を吹き飛ばしながら発射された」と、このような表現を使っています。
この「火星14型」ですが、平壌放送では「最大高度3,724.9キロまで上昇」と。「998キロメートルの距離を、47分12秒の間飛んだ」と報じています。「アメリカ本土全域が、我々の射程圏内にあることがはっきりと立証された。ICBMを任意の地域と場所で、任意の時間に奇襲発射できる能力が示された」と伝えています。つまり、「いつでもどこでもできますよ」ということです。
発射した理由については、「最近分別を失って、でまかせを言っているアメリカを、厳しく警告するため」と。「アメリカが共和国の重なる警告にも関わらず、またもやこの地に、悪臭漂う顔を出して、核兵器をふるいながら、間の抜けた戯言をするなら、我々がこれまで着実に見せた、戦略、核武力で厳しく躾てやるだろう」と、このような表現を。これはラジオで8分30秒以上にわたって、この事実を伝えております。
一方、以下は日本政府としての、安倍総理大臣の反応です。

安倍総理大臣)今回のICBMミサイルの発射は、日米双方にとって、北朝鮮の脅威が増した。そのことが明確になったことを認識するに至ったわけであります。

畑中)これを受けて、アメリカ空軍と航空自衛隊が、昨日、九州西方から、朝鮮半島沖の空域で、共同訓練を実施しております。これは取りも直さず、金正恩体制への牽制の狙いがあるようです。


現状は、「米ソ冷戦時代」の報復攻撃の恐怖に近い

高嶋)映像でみる限り、4日のICBMと、それから、この間の金曜28日のICBMですが、上がっていく速度が明らかに違いますよね。
それで、専門家の解説によると、「今回の方が、遠くへ飛べるように、燃料を多く積んでいる。だから重く、速度が遅い」と言っていますが。
私が素朴に心配なのは、アメリカはトランプさんですよね。ちょっと首を傾げます。
日本は稲田防衛大臣が、事実上の更迭ですが、ちょうどお辞めになったその日。ちょっと首を傾げますよね。
韓国の文在寅さんは日本憎しで「五カ年計画」とか、いろいろやっていて。THAADについては考え方も変わってきたようですが……何となく、迎え撃つ側の「日米韓」が、ちょっと纏まってないな、という感じがします。

須田)思惑にばらつきがあるのかな、という感じはしますけれども。
今回のミサイル発射を受けて、段階的には新たな段階に突入したと思うのです。
どういうことかというと、話が少しそれますが、かつて「米ソ冷戦時代」がありましたよね。そのときに、米ソ両国とも核兵器を持っているのだけど、結果的には使えない状況になった。何故かというと、先制攻撃をしても、確実に報復攻撃を受けることになる。報復攻撃というのは、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)という状況なのですよ。
今回の深夜、そして場所を問わずに北朝鮮が、ミサイルを発射できる状況が整ったということは、まさに潜水艦からミサイルが発射できる状況と、ほぼ同じ意味合いを持ってくるわけです。
ですから、仮にアメリカが先制攻撃をして、地上基地を破壊してみたところで、結果的に北朝鮮は、間違いなく、場合によってはアメリカ本土に届くようなミサイルで報復攻撃ができる。そういう状況になったわけです。
なので、果たしてそれをどういう形で使ってくるのか? 金正恩のことだから、場合によっては先制攻撃もあり得ると見るべきか。
それで、先ほどの高嶋さんの話に戻りますが、ではトランプ、安倍総理、文在寅。この3者の思惑は、そこでもばらつきが出てくるはずなのですよ。つまり、「北朝鮮もそこまでバカじゃないだろう」、「金正恩もそこまでリスクは冒さないだろう」と見るのか、それとも先制攻撃のリスクを過大に評価し、むしろ先制攻撃を米日韓でやるのか、どうなのか。というせめぎ合いがこれから始まるのでは、と思います。
ただ、トランプにしても安倍さんにしても文在寅にしても、その辺の思惑は全然ばらつきがあるでしょうから、なかなか話は纏まらないと思います。

高嶋)とにかく、アメリカも兵隊とはいえ、命を失うような戦闘は絶対に避けたい、と。これをやると一気に世論が「その政権を許さない!」というような感じになってしまうので。
ということは、トランプさんの発言を見ていると、「中国にあれだけ頼んだのに、何もやっていない。冗談じゃない!」というような感じです。
だから、「今度は中国が経済的に困るような制裁をやってやるぞ」というような。
何となく、北朝鮮には直接仕掛けるような、そういったものは全然出てこない感じですね。

須田)ただ、ここに来て、このミサイル発射を受けて、トランプさんは米軍に対して、「北朝鮮に対する具体的な軍事攻撃のオプションを立案しろ」という指示は出していますからね。やはりアメリカ側の対応も、ワンランクアップしたのでは、と思いますけどね。


もはや北朝鮮の核を認めざるを得ない状況になってしまっている

高嶋)私の素人考えですが、北朝鮮の人というのは、指導者があんなのですから、ひょっとしたら、アメリカに攻撃されて「俺たち死ぬかもしれない」ということに現実感を持っているでしょうね。ですからその辺で言うと、本当の意味で、戦時中の日本ではありませんが、「撃ちてしやまん、1億火の玉」みたいな。ああいう部分と、それから民主国家、「国民の命は1人でも失ったら大変だ」と言うような兵隊もいる。全然違ってくるのではないかと……

須田)次元が違いますからね。

高嶋)ということは、最後は困って、インドやパキスタンのように、「北朝鮮の核を認めてしまう」というような。どうでしょうか?

須田)いや、その辺りがやはりいちばん穏当な、現実的な落としどころになってくるのではと、私は思います。

高嶋)でもそうなると、北朝鮮に喉元に刃をずっと突きつけられたまま、という事態になりますよね。

須田)そうですね。だからといって、所有、保有を諦めさせることはできないのですから。ここまで来た以上は……
北朝鮮側からすると、「完成させたもの勝ち」みたいになりますからね。いまこの段階に及んで、たとえば経済支援で「じゃあ、諦める」というのはあり得ないし、軍事的なプレッシャーで諦めるよりも、「それより早く完成させる」というところに入ってくると思います。


韓国に実質的な人質がいる以上、アメリカは容易には動けない

高嶋)ということは、北朝鮮のスケジュールに乗っ取ったまま、たとえば大気圏に、核を装填したものをどうやって再突入するかとか。そういう段階を経て行くものを、ただ指をくわえて見ているという、そんなことに……

須田)そうですね。ほぼ完成状況になってきているわけですから。
だからといって、冒頭の話ではないですが、「アメリカが完成させる前に、軍事攻撃を行うことができるのかどうか?」です。北朝鮮は通常兵器(大砲やロケット砲)で、ソウルを火の海に出来るのですよ? しかも韓国には、在韓米軍がいて、家族もまだいるわけですから。アメリカとしては軽々には……

高嶋)では、完璧に北朝鮮にナメられている?

須田)してやられた、という感じになってきていますよね。

高嶋)考えてみれば、日本は全地域が射程距離ですからね。

須田)しかも「ロフテッド軌道」と言って、マッハ15を超える高速スピードで、日本に着弾する。いまの日本には迎撃する体制がないのですよ。イージス艦もダメ。

高嶋)そういう緊迫感が、まだ無いのですよね。だけど向こうは、「戦争体制」みたいな立場でずっとやっていますからね。どうなっていくのでしょうか、一抹の恐怖を感じます。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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