レジャー先での愛犬と飼い主の感染症を予防するには

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【ペットと一緒に vol.42】

夏休みや秋のシルバーウィークに、愛犬を連れての旅行やレジャーを計画されている方も多いと思います。お出かけ前には、ぜひ、愛犬のために感染症対策を忘れずに行ってあげたいもの。後悔をしないために、今回は愛犬と飼い主さんのために大切な感染症の知識と予防策をご紹介します。


水辺ではレプトスピラ症に注意

ネズミなどの保菌動物の尿や、尿中に排出された病原性レプトスピラに汚染された水や土壌から、皮膚や粘膜を経して感染するレプトスピラ症。人獣共通感染症のひとつで、日本では1970年代前半まで年間50名以上の死者が出ていましたが、現在では患者数は減っています。

とはいえ、国立感染症研究によると、2007年1月から2016年4月までに30都道府県から284例のレプトスピラ症の届出がありました。2016年の8月には、沖縄県本島で川のレジャーを行った12名の集団発生も起こっていて、無関心でいられる感染症とは言えません。

3~16日の潜伏期間を経て人が発症すると、発熱、頭痛、結膜充血、嘔吐、咳などの症状が現れます。犬の初期症状としては、発熱、食欲不振、嘔吐、脱水などが見られ、人も犬も重症化すると腎不全や肝不全になります。

レプトスピラ

レプトスピラは水中で長く生き続ける菌。淡水でのレジャーにはご注意を

発症は通常は7~10月に集中しています。
レプトスピラに感染した犬が人への感染源となることもあるので、要注意。
飼い主さんも愛犬も、外傷がある場合は川遊びを控えるのが予防のための第一歩。ネズミが多い地域では、水たまりの水を愛犬が口にしないように注意してください。

インフルエンザ同様に、血清の型が違うと予防効果を発揮できませんが、犬にはレプトスピラのワクチンによる予防接種も可能です。レジャーに出かける前に、かかりつけの獣医師と相談しておくのも予防策のひとつになるでしょう。


北海道ではエキノコックス感染症に注意

北海道のキタキツネ、ネズミ、犬などの糞から排出された、エキノコックスという寄生虫の卵を経口摂取することで感染するのが、エキノコックス症。
人が発症するまでは通常は10年以上かかりますが、肝臓の腫大や腹水や貧血などが起こり、放置すると死に至ります。

ある調査では、北海道にいる犬のうち1%はエキノコックスに感染したことがあると報告がありました。

エキノコックス症の発生地域(とくに北海道)では、愛犬が知らない間にキタキツネなどの動物の糞と接触しないように気をつけましょう。
ロングリードを装着している時も、飼い主さんの目の届く範囲に愛犬を留めておくように心がけたいものです。

キタキツネ

餌を求めて路上に出てくるキタキツネも多いので要注意


マダニとノミの寄生を徹底防御

マダニ(人の命も脅かすマダニの恐怖!ペットについていても取らないで!【ペットと一緒に vol.26】)やノミ(ノミが室内で増殖して人も皮膚炎に(筆者の体験談)!愛犬と愛猫の寄生予防は万全に【ペットと一緒に vol.24】)の寄生に関して以前紹介したとおり、飼い主さんも愛犬も、これらの寄生虫には注意が必要です。

飼い主さんは、草木の多い公園や野山のハイキングなどに出かける際には、長袖と長ズボンを着用してマダニに刺されないようにしたいものですが、必要に応じて愛犬にも寄生虫予防のために洋服を着用させると良いでしょう。

洋服の上や愛犬の体表に、レモングラスやティーツリーなど虫除け効果のあるアロマスプレーをかけておくのも、害虫を遠ざける一助になります。

マダニ ノミ

動物病院をとおしてしっかりと、マダニとノミの予防策を

実は、予防薬を投与していた犬が、レジャー後にマダニやノミに寄生されて動物病院を訪れるケースもあると聞きます。

獣医師によると、その理由のひとつは、動物病院で処方されるタイプの予防薬を使用していなかったこと。効き目を考えると、市販されている安価な予防薬ではなく、獣医師によって処方されるものを投与するのが予防のためには確実です。

ところが、動物病院で処方されたスポットオンタイプの予防薬をつけていても、薬効が足先まで及んでいなかったと考えられ、足先にマダニが寄生していた例も。
レジャー先に向かう前には、全身をくまなくカバーできるスプレータイプの駆虫薬を、動物病院で予防のために投与してもらえば安心です。

屋外で過ごしたあとは、愛犬の体を要チェック。寄生虫がついていないかをくまなく見て、もしマダニを見つけたら、飼い主さんがマダニを引っ張って取るようなことはせず、動物病院へ向かってください。

愛犬とのレジャーを感染症知らずで安心して楽しめるように、準備を整えて、外出先でも多少の注意をしながら過ごしたいものです。

連載情報

ペットと一緒に

ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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