準備は万全?そろえておきたいペットの防災グッズ
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【ペットと一緒に vol.46】
みなさんは、ペットの防災グッズの準備は万全ですか? 今回は、筆者が実際にそろえているものをご紹介しながら、災害時への備えについて考えてみたいと思います。
まずはフードの備えから
被災した際、生命の維持に必要なのは水と食糧です。
筆者が2004年10月に発生した新潟県中越地震のあと、小千谷市の獣医さんや新潟県庁への取材、東日本大震災の被災者の声を聞いたなかで感じたことは、ペットフードが被災後いつ手に入るかは翌日~1週間以上という大きな差があり、不確実だということです。
そこで、体重5.5キロの犬2頭と暮らしている筆者は、とりあえず常に2週間分(=約3キロ強)のドッグフードを、持ち運びやすい1キロ入りパックで備蓄しておくようにしています。
それから、様々な匂いのフードで楽しい食生活が送れるようにであったり、栄養素や食材が偏らないようにという目的も大きいのですが、愛犬たちには複数のメーカーの3~4種類のフードを日頃からローテーションで与えています。実はこれ、食べ物の選り好みがある犬や猫への災害時への備えとしておすすめです。ペットが特定のフードしか受け付けない場合、被災時に手に入ったフードを食べてくれないかもしれません。どんなフードでも食べられるように日頃からしておけば、被災時の心配もひとつ減ると言えるでしょう。
水に関しては、被災時に限っては人間用のミネラルウォーターをペットに与えても仕方がないと思います。ミネラルウォーターは、その名のとおりミネラルの含有量が高め。ペットが人間用のミネラルウォーターを常に飲水した場合、ミネラル成分によって尿路結石ができる可能性が高くなります。けれども、十数年の生涯のうち数週間位やいざというときは、ミネラルウォーターを飲ませてでも水分補給を優先してあげたいものです。
ところで、水のボトルは棚の中などに入れておくと、家具が転倒するといざという時に取り出せないケースが多いのだとか。各部屋、すぐ手の届くところに常備しておくのが良いそうです。
自宅を離れるときに必要なもの
筆者の愛犬は一昨年、膝の靭帯を損傷しました。しかも12歳半の老犬なので、がれきの中を一緒に歩きながら同行避難をするのは困難かと思い、リュック式のキャリーバックを備えています。
ペット用の非常用持ち出し袋には、以下をそろえています。
・ドッグフードと水
・携帯用フードボウル
・薬
・予備の首輪(リードの持ち手部分に通して使用すれば一時的な係留用にも便利)
・予備のリード
・ペットシーツ(ペット用以外にも応用範囲が広い)
・ウンチ袋
・ウンチが臭わない袋
・除菌できるウェットティッシュ
・愛犬の写真
・ワクチンの接種状況や、かかりつけ病院の情報
この中で裏ワザ的な使用方法ができるのが、ドッグフードの外袋です。チャックをきっちり締めれば、臭いが外に漏れることがないので、避難所で汚物を捨てる際に重宝するはず。災害時にはゴミとして捨てずに有効利用を。
また筆者は、戸棚などが災害時に開かないと困るので、リードと首輪は玄関横の壁に常にかけておくようにしています。首輪には、犬鑑札と狂犬病注射済票も装着済み。災害時の移送の際などには、犬鑑札と狂犬病注射済票がついている犬から優先される可能性もあると言われます。
万が一に備えて、犬鑑札の裏には筆者の携帯電話番号を記載した紙を、セロハンテープで貼っています。以前は迷子札をつけていたのですが、電話番号を変えてから前述の犬鑑札併用式にしました。
首輪を装着していないで愛犬が外へ飛び出してしまう危険性もあるので、愛犬にはマイクロチップ(マイクロチップで迷子対策)の装着も忘れていません。
ちなみに、人間用の避難用持ち出し袋には以下の写真のものを入れています。
クレート好きにしておこう
避難所では、どうしてもクレートに入って過ごす必要が出てきます。その時のために、日頃からクレートに慣らしておけば安心です。クレートレッスンの方法は、筆者の過去記事(「ハウス」ひとつで愛犬のお悩み行動が解決!?)もぜひご参照ください。
被災すると飼い主さんも不安が多くなるもの。飼い主さんが不安そうにしていると、犬も不安になります。クレートから、外の慌ただしい様子が見えて愛犬が落ち着かなくなる可能性があるならば、クレートにタオルをかけて(熱中症の危険性がある環境を除く)あげましょう。
避難所へは、ペットからしてみても自分のにおいのついたクレートを可能な限り持参してあげたいものです。
避難生活では、ほかの人の迷惑にならないように、排泄や吠えのトラブル知らずに、日頃からトレーニングを重ねて、ソフト面でも万全に備えておきましょう。
連載情報
ペットと一緒に
ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!
著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。