愛犬の健康促進に!身体のバランスを整える手技
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【ペットと一緒に vol.43】
猛暑や雨で外出できない日は、ご自宅で愛犬とのスキンシップを兼ねて、愛犬の身体のケアをしてあげてはいかがですか? 今回も、ぱれっとの、なかしまなおみ先生にレクチャーしていただきます。テーマは、身体のバランスを整える! です。
足先のマッサージで蹴る力と踏ん張る力を養おう
愛犬へのマッサージを始める前は、まず飼い主さんがリラックスしましょう。愛犬には「待て」などの指示は出さないで。無理強いをせず、愛犬がゴロンと横になっていてもOKなので、愛犬が気持ち良さそうにしているのを見ながら施術を行ってください。
では、地面にしっかりと足をつけられるようになり、脚のバランスを整えられる足先のマッサージを行ってみたいと思います。
まず、愛犬がリラックスできる姿勢になったところで、身体全体を撫でてあげます。これは、「これから始めるよ」という愛犬への合図を行っているようなもの。
次に、指の根元より少し上の方に飼い主さんの手をセットします。親指の腹で愛犬の指の根元を、ゆっくりと、飼い主さんが息を吐きながらやさしく圧します。皮膚から手を離さず、毛並みに沿って指をずらしながら、指先まで親指の腹で圧しましょう。
すべての指を、1本1本バラバラにほぐすようなイメージでマッサージしてください。
飼い主さんが施術中に愛犬を支える力は、なるべく弱めにしておきましょう。強い力で肢などを握っていると、チャイム音などの刺激で愛犬が急に動いた際、捻挫などのケガをしてしまう可能性があるからです。
愛犬が、指の1本1本を意識できるようになれば、地面を踏ん張る力も強くなり、蹴る力も増します!
ボディラップで心身のバランスを整える
以前の記事(『愛犬の健康促進にマッサージとTタッチを!』)でご紹介した、神経に働きかける「Tタッチ」のひとつに、ボディラップという手法があります。
これは、伸縮性のあるバンデージ(Tタッチ用)を、犬の身体に巻くというもの。
ラッピングをされると、これまで意識していなかった部位に意識を向けられるようになるので、犬自身が身体を調整しようと考えたのちに、身体のバランスが整うのです。
一般的な巻き方をひとつご紹介します。
バンデージがたるみすぎていては効果が期待できないので、巻き終わったら、愛犬の肩などの身体の丸みのある部位でボディラップの強さを確認します。
初めてラッピングされた場合、戸惑って走り回ったりするかもしれません。パニックになるようであれば、ほどいてあげてください。けれども、愛犬がしばらくして落ち着いてくるようであれば、動き回っても寝ていても問題ないので、20分程度ラッピングをしたままにします。
ラッピングされている時、愛犬は身体に対して意識が向くので、脳を使っている状態になります。
「雨で散歩に行けなかったので、ボディラップをして過ごさせたら、その後よく寝ていたわ」ということも多々あると言います。それは、頭を使うから。
愛犬がラップをしたまま、あるいはボディラップをほどいたあとに寝てしまっても問題ありません。眠るのは、愛犬が自分に起きた変化をインプットする「学習の時間」。なので、そのままそっとしておいてあげてください。
ただし、ラップを巻いている時は飼い主さんはその場を離れず、愛犬がラップをどこかに引っ掛けたり噛んだりして事故が起こらないように見ておいてあげましょう。
なかしま先生によると、ラッピングをされるときゅっと抱きしめられているような感覚になり、愛犬が安心するとも言います。その結果、雷などの音に対する恐怖感が軽減したり、初めての場所を訪れてもソワソワせずに落ち着いていられるようになったり、苦手なことを受け入れられる自信がついたり……。精神面にも良い働きかけができるそうです。
「身体の中の細胞が目覚めるのか、バンデージをほどいたあとに大量のうんちが出たりすることも!」と、なかしま先生。
身体のバランスを整えることの大切さ
犬は4本脚で地面に立ちます。頭部がある上半身にどうしても重心が偏りがちになるのですが、下半身に力が入らないと、身体のバランスが崩れてしまいます。
そこで、下半身を意識させて、姿勢を正し、全身のバランスを整えることが重要になってくるのです。
しっかりと4本脚で地面を踏みしめられれば、それだけで、どっしりと構えられる気持ちも伴ってくるはず。
ぜひ、身体だけでなく心のバランスも整えるために、今回ご紹介したマッサージやボディラップを活用してみてください。
連載情報
ペットと一緒に
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著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。