【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第279回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、9月23日公開の映画『プラネタリウム』を掘り起こします。
カンヌが認めた女性監督のもとで、人気女優が美しく輝く。
ハリウッドが誇るアカデミー賞受賞女優ナタリー・ポートマンの最新作は、野心的な異色作『プラネタリウム』。
死者を呼び寄せる“降霊術”で人気を博す、スピリチュアリスト姉妹による夢と狂気の物語で、映画ファンを虜にします。
1930年代、もっとも華やかだった頃のパリ。アメリカ人のスピリチュアリスト、ローラとケイトのバーロウ姉妹は降霊術のショーのため、パリへと向かう。美しく聡明な姉のローラは、ショーを仕切る野心家。一方、妹のケイトは純真無垢で自分の世界に閉じこもりがちな少女だった。そんな2人の才能に魅せられたのが、パリで活躍する大手映画会社のプロデューサー、コルベン。彼は世界初の心霊映画を撮影しようと姉妹と契約する。映画制作に向けて動き出すなか、やがて姉妹の運命が狂い始める…。
姉ローズにナタリー・ポートマンが、妹ケイトにジョニー・デップとバネッサ・パラディの娘リリー=ローズ・デップが扮するミステリー・ドラマ。初共演となる二人ですが、とにかく美しすぎる姉妹です。彼女たちがスクリーンに映し出されるだけで華やか。さらに妖しい色香が画面いっぱいに立ち込め、もうこの二人の並びを観るだけでも眼福、満足の一言。
1930年代のパリが舞台ということで、当時流行のオシャレなファッションに身を包む姿も見逃せません。メガホンを取ったのは、レベッカ・ズロトヴスキ監督。長編デビュー作となった『美しき棘』がカンヌ国際映画祭でセンセーションを巻き起こした女性監督で、本作でもその隅々まで独自の美意識を貫いた作風となっています。
スピリチュアリストとして人々を虜にする美人姉妹。彼女たちは本物か、それとも稀代の詐欺師か…。
観る者を試し、惑わせる一方で、姉妹の数奇な運命が持つ光と闇を映し出した本作。観終わって、いま一度『プラネタリム』というタイトルを思い返してみると、人生の生々しさと切なさを感じずにはいられなくなるでしょう。
プラネタリウム
2017年9月23日から新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督:レベッカ・ズロトヴスキ
出演:ナタリー・ポートマン、リリー=ローズ・デップ、エマニュエル・サランジェ、アミラ・カサール、ピエール・サルヴァドーリ、ルイ・ガレル、ダーヴィット・ベネント、ダミアン・シャペル ほか
©Les Films Velvet - Les Films du Fleuve - France 3 Cinema - Kinology - Proximus – RTBF
公式サイト http://planetarium-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/