吉高由里子×松坂桃李×松山ケンイチ、切なくも美しい愛『ユリゴコロ』

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第276回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、9月23日から公開の『ユリゴコロ』を掘り起こします。


一冊のノートに記されたもの、それは殺人者の記憶。

吉高由里子×松坂桃李×松山ケンイチ、切なくも美しい愛『ユリゴコロ』
亮介は余命わずかな父の書斎で一冊のノートを見つける。「ユリゴコロ」と書かれたそれは、美紗子と名乗る女性による手記。

「私のように兵器で人を殺す人間は、脳の仕組みがどこか普通と違うのでしょうか…」。

異様な一文で始まるその内容は、ある殺人者の記憶だった。その内容は事実か創作か、そして自分の家族との関係性は…。亮介は疑念を抱きながらも、ノートに秘められた真相に迫っていく…。

吉高由里子×松坂桃李×松山ケンイチ、切なくも美しい愛『ユリゴコロ』
タイトルとなっている『ユリゴコロ』とは、人が生きていくうえでは欠かせない、誰もが持つ心の“拠りどころ”のこと。人を殺めることを心の拠りどころとして生きる女性の悲しき宿命と葛藤が、過去と現在を交錯させながら描かれています。

原作は2011年に発売された沼田まほかるの小説「ユリゴコロ」。第14回大藪春彦賞受賞、「このミステリーがすごい」で5位にランクインするなど“まほかるブーム”の火付け役ともなった同作を、熊澤尚人監督が映画化しました。近年手がけてきた爽やかな青春映画とは打って変わり、ショッキングな世界観を幻想的な映像美で撮り上げているのも大きな見どころです。

吉高由里子×松坂桃李×松山ケンイチ、切なくも美しい愛『ユリゴコロ』
数奇な運命をたどるヒロインの美紗子を演じるのは、キャリア初の殺人者役に挑んだ吉高由里子。静かに冷ややかに死の淵にたたずむような存在感が素晴らしく、美しき殺人者ぶりは必見。

ノートの秘密に迫る亮介に松坂桃李、美紗子と運命的な出会いをする洋介に松山ケンイチ。三者三様の心の変化を繊細に巧みに演じ、ストーリーに深みを与えています。

さらに佐津川愛美、清原果耶、清野菜名、木村多江らが名を連ね、見えない糸でつながった凄惨なドラマが完成しました。

吉高由里子×松坂桃李×松山ケンイチ、切なくも美しい愛『ユリゴコロ』
ミステリーを入口に、悲しみの連鎖に巻き込まれていく男女の宿命。生々しくあぶり出される登場人物たちの感情に胸をかき乱され、どこか“引っかかり”があるのは、これが愛の物語だからでしょう。

切なく哀しい“容赦ない愛”の世界に、どっぷり浸って下さい。

吉高由里子×松坂桃李×松山ケンイチ、切なくも美しい愛『ユリゴコロ』
ユリゴコロ
2017年9月23日から全国ロードショー
脚本・監督:熊澤尚人
原作:沼田まほかる『ユリゴコロ』(双葉文庫)
出演:吉高由里子、松坂桃李、松山ケンイチ、佐津川愛美、清野菜名、清原果耶、木村多江 ほか
©沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会
公式サイト yurigokoro-movie.jp

連載情報

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シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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