ソフトバンク・内川 FAでパ・リーグへ移籍した理由とは?
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日本一へあと1勝。ヒーローインタビューで内川は、
「じじい2人が頑張れて良かった」
と笑いを誘いました。お立ち台に並んだ捕手の高谷も35歳。若手、ベテランも一丸となっている証明です。それにしても、内川のバッティングは素晴らしい。史上最高の右バッターといわれることはある。クライマックス・シリーズ ファイナルステージで4戦連続ホームランを放ってMVP。その勢いを日本シリーズでもキープし、昨日の第3戦も初回、先制タイムリーを含む、2安打、1打点の活躍でした。あくまでも、第4戦以降の成績しだいですが、史上初のCS、日本シリーズでともにMVPを獲得する可能性がふくらみます。
ちなみに、CSのMVP賞金は100万円。内川は日本シリーズ開幕前、選手、スタッフ50人を引き連れ、焼き肉店で決起集会を行いました。当然ながら、100万円では足りないところですが、
「追加注文、オッケー。ぼくが負担します」
と気前の良いところを。工藤監督は、それを知って、「本当にありがたい」。心の中で手を合わせたことでしょう。
強烈なオーラを放つわけではありません。しかし、リーダーとしての統率力に加え、意気に感じるタイプです。工藤ホークスが誕生し、
「つらいことを1人で背負い込んでもらいたい」
と4番と主将を任せたのは大正解でした。今回は、古巣・横浜との頂上決戦。内川へはスタンドからブーイングが巻き起こっています。とはいえ、それは、強打者の宿命です。
転機は2010年の交流戦。横浜で毎年、コンスタントに打撃3割をマークしながら、チームは最下位に低迷を続けていました。とりわけ、ソフトバンクと対戦すると、完成度に、カルチャーショックを受けたそうです。
「パ・リーグはもっと強くなる、と感じた。ピッチャーもすごい。バッターだって、右打者なら右中間スタンドへ軽く放り込んでしまう」。
というわけで、さらなる高みを目指した。国内FA権を獲得し、移籍を決意。ソフトバンクと広島からオファーを受け、パ・リーグへ挑戦しました。11年には史上2人目の、セ、パ両リーグで首位打者を獲得しています。
今回のシリーズは、
「ドキドキも、ワクワクもしていない。とにかく、4勝することだけを考えている」。
真のプロフェッショナルです。内川は、3種類、多い時に5種類のバットをベンチへ持ち込む。それも、重量や、太さを変えて。たとえば、3打席凡退、思ったように打球が飛ばない時はスイッチします。
「毎打席が真剣勝負。まぁ、いいかということで、同じものは使わない」。
それでもダメなら、チームメートのバットを吟味する。
「調子がいいと思う時は、どのコースへボールが来ても、打てる気がする」
と言います。今季は7月23日、ロッテ戦の守備で左手親指を骨折。不本意なシーズンとなったものの、9月30日に復帰すると、ブランクを感じさせない活躍で首脳陣もホッと胸をなでおろした。通算2000本安打などの個人記録は、来季へ持ち越しとなったものの、やはり日本一奪回が究極の目標。今シリーズでは、一気の4連勝を狙っています。
11月1日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」