2005年に「おひとりさま」という言葉が流行語にノミネートされて以降、世の中は“おひとりさま”で溢れています。最近では「ひとり焼肉専門店」や「ひとり鍋用の具材」などの市場も年々拡大していますが、2017年現在、さらに進化しています。
言葉も、「おひとりさま」だけでなく、「ソロ活動」とか「ソロ活」とも言われるようになってきています。
そこでけさは、“一人でも楽しく年を越せる方法”や、“ソロというジャンルに踏み込んだ企業側の思惑“を探っていこうと思います。
まずは「ディズニーランド」。
ディズニーランドに行く人たちは、家族連れか、カップル、友達同士。・・・と思いきや、一人で行って、好きなルートで、好きなだけアトラクションを楽しみ、好きなだけキャラクターを追いかける、といった過ごし方をするソロ活動組がいるのです。
そういう人たちが恩恵を受けているのが、「シングルライダー」というシステム。一部のアトラクションですが、グループ客が半端な数でぽっかり空いてしまった一人分の席を、“おひとりさま”に優先的に座らせてくれるというもの。長い行列を尻目に、「スプラッシュ・マウンテン」や、ディズニーシーの「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」などにさっさと乗れるのです。
施設側としても席を空にしておきたくない。一方で、一人客はさっさと乗れて楽しめる。どちらもウィンウィン、ということで大変好評なシステムとなっています。
さらに、広く“ソロ活動”に取り組んでいるのは、旅行業界。20年前の1997年から「おひとり参加限定ツアー」を行っているのは『クラブツーリズム』です。
参加者は右肩上がりで、今では年間48,000人以上。一緒に行く人が見つからなくても、参加者全員がひとり参加なので、実に気兼ねがない。座席は1人で2席分を使い、1人1室で泊り、秘境や高級グルメなど、個人では行きにくい場所にも行ける。
最初は初対面ですが、旅で同じ感動を共有できるので打ち解けるのも早い。そんなわけで、一人旅の魅力にはまり、リピーターを生みやすいのが特徴。
さらに、「はとバス」も一人参加が増えています。ほとんどのツアーで一人参加大歓迎、という「はとバス」ですが、一番の強みは、バスガイドが「一人参加者」に気配りを心掛けている点。女性一人客の場合、申し込みがあれば、隣の席が女性同士になるサービスもあります。
また、ひとりを十分に楽しんでもらおうと、最上級の豪華な3列シートのバスを導入。はとバスといえば黄色ですが、最高級らしく、なんと“黒いはとバス”! 誰かに肘が当たることもない独立型の座席に座って、行先は高級温泉旅館。ホームページを見ますと、多少お高くても、軒並み「満席」。はとバス進化版と言えます。
さて、今までは外でのソロ活動の話。室内でもソロを楽しむアイテムもいろいろと出てきています。
一時期話題になったのが「一人こたつ」。彼女のいない若者がさみしい部屋に置くために買っているのかと思いきや・・・意外に中高年が多い! 一人こたつは、地べたに座るのではなく、“机といす”というスタイルが多くて、足腰が弱い中高年には有難い。値段も1万円台が主流。そんなわけで、家で作業することが多いお母さん、おばあちゃんが購入するパターンが多くなっています。
一人用こたつに続いて、室内用の“一人を楽しむ”新しいアイテムとして、注目されているのが、「一人用 室内テント」。立っても机を入れても楽々、の四角いテントで、この中でネットやゲームをしたり、受験勉強をしたりすると、集中できるんだそうです。
3年前から売り出したところ、狭くて薄暗い空間に安心感を覚える人から支持されて、今年バージョンアップ。特に受験生は、自分の部屋にこのテントを設置して、中に机を入れて密閉された暗い空間を作り上げれば、つい手に取りがちな漫画や遊び道具を遠ざけられるらしい。
また、デザイナーやプログラマー、漫画家といった集中力が求められるクリエイティブな職業から好評なんだそうです。また顕微鏡用の簡易的な暗室や、天体観測など、室内用の一人テントは様々な用途で広がりつつあります。もしかすると、今後は災害時の避難所で、プライバシー確保のために使う方法もあるかもしれません。
最後に・・・年末年始、映画を見に行くという方も多いことでしょう。映画館でも“ソロ活動”に特化した座席が次々に誕生しています。
私もそうですが、映画館はもはや誰かと一緒に行くだけではありません。むしろ、一人で見たいと思うことも多い。TOHOシネマズの7つの映画館で、そうしたニーズを取り込んで、「プレミアボックスシート」という特別な座席を設けています。
どの辺がプレミアなのかと言いますと・・・ひとりひとり仕切り板を設けて隣が気にならない。椅子も1.5倍の広さでゆったり。さらには荷物を置くスペースがあるので、膝に乗せることもない。しかもスクリーンの中央に位置している。豪華な席でありますが、プラス1,000円で使える。
なぜこうした席を設けたのか? 映画に没頭したい、泣きたい! 笑いたい! のに隣がいると集中出来ずにストレスになる、そうした声にこたえたと言います。
今ではリピーターの心をつかみ、たとえ誰かと一緒に来たとしても、プラス1,000円払って、この仕切り板のついた個室感覚の席で別々に映画を見る人も多いそうです。
ディズニーランド、旅行、スポーツ、室内。おひとりさま、ソロ活動をにらんだ様々な仕掛けは進化が止まりません。来年はどんな業界が一人客の取り込みを図ってくるのでしょうか。
12月26日(木)高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より
高嶋ひでたけのあさラジ!
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