年齢層広がる使用者、進化する機能・技術、眼鏡業界を席巻する“老眼鏡”の今!

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年齢層広がる使用者、進化する機能・技術、眼鏡業界を席巻する“老眼鏡”の今!

人間誰しも、歳を重ねてきますと衰えてくるのが“眼”。「見えづらくなった」「メガネが必要になってきた」と実感する方も多いのではないかと思います。

市場調査会社の矢野経済研究所によりますと・・・2016年のメガネ市場は、5年連続プラス成長で、5,087億円。そのうち、「老眼鏡」の売り上げはどのくらいの割合だと思いますか?

なんと、7割が「老眼鏡」なのです!近視の視力矯正のメガネの方が多いだろう、と思っていませんでしたか?繰り返しますが、7割が老眼鏡、です!

なぜこれほどまでに老眼鏡が売れているのか?理由は大きく2つ。一つ目、「老眼鏡を必要とする年齢層が拡大した」こと。そしてもう一つ、「老眼鏡自体の機能や技術が進化した」こと。

ではそれぞれの現象について、詳しくお話ししていきましょう。

年齢層広がる使用者、進化する機能・技術、眼鏡業界を席巻する“老眼鏡”の今!

まず、老眼鏡を必要とする年齢層の拡大について。

人口統計からみて、中高年が増えていることによって、老眼鏡を必要とする人たちも増えている。専門的に言うと、いわゆる“ボリュームゾーンの増加”。これはまあ予想がつきますね。

実は、老眼鏡が売れているのは中高年ばかりだけではない!老眼が始まるのは40代半ばくらいが一番多いのですが、それが低年齢化している。40代前半はもちろん、30代後半でも「老眼鏡」が必要な人が増えているのです。

簡単に、老眼のメカニズムについてお話ししますと・・・加齢によって眼の水晶体などが硬くなって、その調節機能が低下することで、近くのものにピントが合いにくくなる状態のことを老眼、と言います(※近視や遠視は、老眼とはメカニズムが全く異なる別の症状)。

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「スマホ老眼」という言葉を聞いたことがありますか?これは、20~30代のスマホを多用する層に「文字が見づらい」「ピントが合わず、視界がぼやける」と老眼のような症状が見られることをいいます。 長時間にわたってスマホを使用することで、近くにピントが合ったままで元に戻りにくくなり、スマホから顔を上げると、一瞬、遠くがぼやけてたり、見づらいと感じたりする。つまり、近距離のスマホを見続けることによって、一時的に老眼のような症状が起こるのです。

厳密にいうと、これは“いつも近くが見えにくい”老眼とは、違います。「スマホ老眼」は一時的なもの。スマホを使わなければ、よく見えるわけですから。つまり、「スマホ老眼」イコール「老眼」ではないのですが、繰り返すうちに重篤化したり、老眼を早める危険性を指摘されているのです。

眼の負担増によって老化を促進するため、老眼の若年化も進んでいるという説を裏付けるかのようなデータもあります。45歳以上で60%以上の人が老眼の症状を自覚し始めますが、これまでになかった、早い人では20代から老眼と診断されるケースもあるのです。その辺はこれからの研究になるのでしょうが、老眼鏡を使い始める年齢が下がってきているのは間違いありません。

さて、世間では「老眼」についての基礎知識が間違って認識されていることが多い、と眼科医とメガネ販売店は言います。

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まず、「一度老眼が始まれば、治ることはありません」その対応として有効なのが老眼鏡

しかし、需要が多い半面で、名前のせいもあるでしょう、ネガティブなイメージもあります。「老眼鏡をかけると、老眼が進行する」という思い込んでいる人もいます。眼科医いわく、これは全くあり得ない話。老眼鏡をかけ始める時期が、老眼が進行する時期と重なっただけのことです。

50代の人たちは老眼を自覚しているので老眼鏡を使うことにそれほど抵抗感はないのですが、40代は手元が見えづらくなってもなかなかカミングアウトしない。検査した時に、「遠くは1.2見えていますが、近くは0.6しか見えてませんよ」と指摘しても、なかなか受け入れないという頑固さを持っているそうです。

とはいえ、メガネ市場売り上げの全体の7割も占めている「老眼鏡」。その背景には、進化している老眼鏡のレンズ、という事情もありました。

年齢を重ねたことで、遠くを見るときと、近くを見るときの視力が違う。こういう人は「遠近両用レンズ」というのを使います。遠近両用と言いますと、昔はその境目に筋が入っていて、なんともダサかった。ところが、いまはそんな筋など入っていません。はたからは一切そんなことはわからない。

年齢層広がる使用者、進化する機能・技術、眼鏡業界を席巻する“老眼鏡”の今!

一見で老眼鏡とわからない、主流となった筋ナシのレンズが普及した理由は・・・「累進屈折力レンズ」の開発です。

老眼鏡をすでに使っている人はもうすでにご存じかと思いますが、このレンズがすごい。上の方と下の方の度数の違いを、昔は線を入れてカクッと分けていた。ところがこのレンズは、中間の部分からゆるやかに度数が変化する、という仕組み。

ですから、変に顔を上げたり下げたり、目を上げたり下げたり、という、いかにも“老眼鏡を使ってます”“遠近です”という動きがなくて済むのです。

さらにこのレンズのおかげで、度数にさまざまなバリエーションが出来たのです。「遠近両用」だけではなく・・・「中近」「近近」というレンズも出来て、これが非常に売れている。

どういうことか?遠近というのは、近くと遠く、ですよね。「バスが来たかな」と遠くを見たり、近くで値札を見たり、外出が多い人はこれがいいでしょう。
「中近」というのは、40センチくらいの近くと、部屋の中という中距離。つまり、部屋で作業する仕事をしている人や、家庭の主婦などにはピッタリ。少し離れたテレビもよく見えるわけです。
「近近」というのは、40センチくらい離して新聞や本を読むときと、20センチくらいの距離でスマホを見るとき。それぞれ度数が違うので、目に負担がかからない。

年齢層広がる使用者、進化する機能・技術、眼鏡業界を席巻する“老眼鏡”の今!

こうした老眼鏡のニーズは、人それぞれによって違います。また、見える範囲もそれぞれの眼によって違う。よって、これらに応える形にシフトしているメガネ店が売り上げを伸ばしている、と言えます。

老眼鏡なら、100円ショップでも買える。実際使っているし問題ない。・・・と考えている方も多いかもしれません。当然、そうしたメガネのほとんどはメガネ全体が「全部同じ度数」なので、遠くを見たいときなどは、視力が合わずに、結果的に目に負担がかかることをお忘れなく。

老眼鏡などを、既製品ではなく、一人一人のニーズに合わせて売り上げを伸ばす量販店というのが増えている、と言いましたが、その筆頭が、大手の「メガネスーパー」

一時期は店舗を増やしすぎたり、低価格の店舗に追い上げられ、売り上げをガクッと減らしたりしたのですが、ここ数年、右肩上がりの二けた成長で復活。

その理由が、「なかなか簡単にはメガネを作らない方法を取っている」ということ。どういうことかと言いますと・・・店舗に行きますと、検査機で何十項目にも渡って、徹底的に調べる。どんなメガネを必要としているか、シチュエーションを詳しく聞く。こうして、本当に必要なメガネをオーダーして作る、という方法が功を奏している。

年齢層広がる使用者、進化する機能・技術、眼鏡業界を席巻する“老眼鏡”の今!

先週はついに、「次世代型店舗」まで高田馬場にオープン。「マッサージ」などを経て、リラックスしてから視力の測定を始める、という“アイケア”という付加価値までつけた店舗をスタートさせて、絶好調なんだそうです。聞けば、単価の平均は35,000円と決して安くない。ところが、目の健康寿命を延ばす、という取り組みが受け入れられているとのこと。

こうした、老眼鏡のレンズ自体の進歩や、店舗の進化で、老眼鏡の売り上げはさらに加速しそうだと業界ではみています。

今後はどういった層を狙っていくのかと聞いたところ・・・主要なターゲット層である団塊世代に加え、老眼が始まるといわれる40代=団塊ジュニア世代をさらに取り込む、とのこと。老眼鏡のデザインを中心に、各社とも、このミドルシニア層を想定した商品開発に取り組んでいるそうです。

その前に、「老眼鏡」という名前を変えるともっといいのではないかと思うのは私だけでしょうか?

11月28日(火)高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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