イランでの反政府デモ~その実態とは?
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1月5日(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
イラン政府と多民族多宗教な国民とのねじれ
6:32~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・元外交官)
イランでの反政府デモはなぜ地方から起こっているのか
地方から始まった反政府デモが年をまたいで続いているイラン。そのイランにおける国民の内情や、国民と政府の間でのねじれと関係の悪化、デモの行く末と日本への影響の可能性について元外交官の宮家邦彦に訊く。
高嶋)今年も凄く忙しい1年になろうかと思いますが、宮家さんの専門であるが国際情勢で、イランのニュースがいつも新聞に出ていますが、本当のところがよくわかりません。
宮家)この反政府デモは年末に地方で暴動が起き始めたわけですよね。テヘランでは全然起きてない。2009年のときには、テヘランの知識層、若い自由を求める声がSNSのいろいろな仕掛けを使って運動が起きたのですが、今回はテヘランではなく地方で起きている。しかも生活の問題でも反対はあまり無い。その意味で地方になりますと一体誰がどのような形で動いているかまだよく分からないですね。イランというのは実はペルシア人だけじゃなくて、多民族国家であり、多宗教国家ですから。イスラム共和制を批判したとか言っていますが、どのような人が行っているのか、そもそもムスリムじゃないかもしれないしね。
イラン国民の内情
高嶋)イランっていうとイコール、シーア派みたいに思っていましたが、それだけではないのですか。
宮家)必ずしもそうではありません。しかも、その程度の規模のものを起こせる人たちがいるかもしれませんから。詳しく調べないとまだ結論を出すのは早いと思っています。ただ、言えることはいずれにせよこの程度のものであれば、革命防衛隊を使わなくてもイランの当局がとりあえずは鎮圧できるでしょう。
それから第2に、これがイランの内政で大きな混乱になるかと言うと、必ずしもそうではないと思います。イランの関係者が、これはアメリカの陰謀だとか、いやいやこれは強硬派な陰謀だ、保守派の陰謀だと言っているのは、大体眉唾だと思った方が良いです。皆勝手なことを言って、自分が一番良いと思っているわけですから。事実関係を詳しく調べないといけませんが、突然イランがおかしくなるような、そんなやわな体制では無いと思います。高嶋)いわゆる宗教指導者に対して、あのような反抗的なことを言うのは昔だったら考えられないですね。
宮家)昔でしたらね。でもその前だったら考えられましたから。79年の革命までは。
高嶋)ああそうか、パーレビさんの。
宮家)しかもパーレビさんのやったのはある意味で一種の革命ですから。イスラム国家でありながらかなり自由な。
世界一反米の政府と世界一親米の国民でできているイランのねじれ
高嶋)あのときはもうアメリカとべったりくっついていたのですね。
宮家)べったりどころかべちゃべちゃでしたね。
高嶋)今どうなんですか?
宮家)アメリカとの関係は政治的には良くないですね。ただ私はいつも言うのですが、イランという国は世界一反米の政府と世界一親米の国民でできている国なんですよ。
高嶋)国民が親米。
宮家)国民が親米です。革命があったせいもありますが、イランの人たちは恐らく各家庭で必ず親戚の1人や2人はアメリカに亡命したりして、アメリカ人になっていますから。アメリカとの関係は民衆レベルでは近いんですよ。だからこそかもしれませんが、政府との関係は良くない。
高嶋)大変なねじれ方ですね。
宮家)その矛盾というか、ねじれをよく理解しないとイランという国は理解できないと思います。
高嶋)宮家さんとしては様子を慎重に眺めてるところですね。
イランでのデモの行く末と、日本への影響の可能性
宮家)少なくとも、79年のような大きな政治的な変革になるかどうかと言われれば、もう少し様子見なければいけないのではないかと思っています。
高嶋)トランプ大統領で独自の動きは考えられますか?
宮家)あの人が喋ったらかえって逆効果になるのではないですかね。静かにしていてくださいと言いたいですね。せっかく民衆で動いているのだから。本当にそうだったらね。
高嶋)日本では株価が上がって喜んでいますが、不安要素にこういうのも挙がっていますからね。
宮家)一つ間違えたら石油の値段がバンッと上がりますから、それは気を付けなければいけないとは思います。
高嶋)その辺は、我々もよく見ておかなければいけないですね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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