2月14日（水）のニッポン放送の番組『垣花正 あなたとハッピー！』で、経済アナリストの森永卓郎が『年収10万円時代！　異次元格差社会にはベーシックインカム！』と題して特集。

先週、当番組では年収10万円時代がくるかもしれないという話を森永は解説した。

これまでの話をざっくり振り返ると・・・

近い将来、導入されるかもしれない“成果主義”って？

安倍総理が働き方改革国会と名付けた今国会で、高度プロフェッショナル制度の導入法案がかけられる。これは、「労働時間でなく成果で評価される」賃金制度を導入しようというもの。当面は、高給サラリーマンが対象だが、いずれ一般サラリーマンにも適用が拡大されるだろう！

成果主義とは、世の中が、プロ野球化、吉本興業化していくということ！　トップはめちゃめちゃ儲けて格差が大きくなる！　吉本興業の場合、全体のうち、10％の売れっ子芸人達が、よしもとの売り上げの80％をギャラとして持って行ってるという。

そう、これが“成果主義”！　その結果、日本の社会は、年収10万円の異次元の格差社会に突入するおそれがある…というのがこれまでの話。今回は、年収10万円時代に突入した場合、私たちはどうすればいいのか!?　という話だ。

と、解決策の前に、今の世の中についても話をしなければいけない。年収10万円社会にさらに追い打ちとなるのが、第4次産業革命とも呼ばれるAI（人工知能）の発展！　人の仕事がどんどんロボットに置き換えられてしまう。野村総合研究所は10～20年後、日本のおよそ2人に1人はAIに仕事を奪われると算出している。

森永）たとえば、トラックドライバーのお仕事もAIがやるようになると言われています。例えば“ゆりかもめ”はドライバーがいない。これが自動車の世界にもドンドン拡がってくるのでは・・・と言われています。

事務作業のような知的労働も例外ではない。三井住友銀行がAIを使って顧客ごとに最適な金融商品を提供していけるよう研究開発中。このままいくと、失業者は確実に増えてしまう。AIに仕事を奪われた人間はどうすればいいのか・・・それはAIにはできない仕事をすることが重要と森永は語る。

森永）AIにできないこと・・・それは芸術的なこと、つまり“アーティスト”ですよね。つまり、第4次産業革命が始まったら、人間は“アーティスト”になるべきです。

しかし、国民全員が“アーティスト”を目指すには、無視できない問題がある。

森永）漫画家、小説家、画家、ミュージシャンと、国民がすきなことを仕事にすればいいんです。しかし、アーティストはすさまじい収入格差がある。例えば漫画家でいうと、ワンピースの著者・尾田栄一郎さんは家の中にATMがあるという噂がたつくらいのお金持ち。一方、売れない漫画家は丸1日かけて四コマ漫画を書いて2,000円のギャラ・・・という話も聞きます。

そう、国民全員が“アーティスト”を目指すのはいいが、いかんせん、収入格差が生まれてしまうのだ。そこで、森永は、ベーシックインカムという社会保障制度の導入を勧める。

森永）お笑い芸人さんはお金がなくても、先輩芸人がごちそうしてくれます。でも、一般人はそうはいかない。そこで私は“ベーシックインカム”の導入をすべきと考えています。

『ベーシックインカム』とは・・・

政府が毎月、国民に一定額の現金を無条件で支給する制度。世界各地で議論され、試験導入はフィンランドをはじめ、欧州や米国の一部地域で実施されている制度。

無条件で、一定額の現金を支給してくれるのはありがたい！・・・が、もし、生活するのに問題がないような額が支給されたら、誰も働かないのでは？ 財源はどうするのか？　いろいろ問題が聞きたいことがでてくるが・・・。

森永）働きたくなくなることはないと思います。というのも、ウチの大学のゼミ生に、“生きるために働かなくてもよくなったら、あなたはなにもしませんか？”って聞いたら、そんなことはない。みんな、やりたいことがありました。

ベーシックインカムが導入されれば飢える心配がないから余計なストレスがない。贅沢をしたいなら、頑張って働けばいい！　しかし、その財源はどこからもってくるのか？

森永）現在、不公正税制といって、お金持ちほど、税率が低いというおかしな状況なんです。これを累進課税に戻すことで、40兆円分、予算ができる！

実際にベーシックインカムを導入するには、60兆円～80兆円かかると言われている。森永は、実際に導入可能と話すが、今後、果たしてどうなるのか・・・。

垣花正 あなたとハッピー！
FM93AM1242 ニッポン放送 月～金 8:00～11:30