黒田総裁再任へ~懸念される二つの問題
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2/19(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
出口の見えない出口戦略
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)
政府が黒田総裁再任案を提示
日銀の黒田総裁は4月8日に5年間の任期が満了となるが、政府は再任する人事案を進めている。金融緩和によって雇用情勢は改善され、GDPも2年連続でプラスとなっているが、
一方では公約していた物価上昇率2%は現在も達成時期を先送りされている。再任後、金融緩和には二つの問題があるという。
菅官房長官)もはやデフレではない状況まで作り出せた。そのことに大きな貢献をしたと思っています。今日までの実績を踏まえ、引き続き黒田総裁の、金融のかじ取り政策をまかせることが最適であると判断をした、ということです。
高嶋)上記は菅官房長官の言葉です。実は4月8日に任期満了となる日銀の黒田東彦総裁の再任というか、続投。これについては学者によって本当に意見が反対で。どちらが正しいのかいつも分からないのですが。
副総裁のところに早稲田の教授でもある若田部さんを持ってきて、アベノミクス継続のようです。よく「リフレ派」と言われますが、簡単に言うとどういう意味ですか?
須田)金融緩和。つまり「お金をジャブジャブ世の中に流し、そうすることにより好景気に、インフレを起こしていこう」という人たちですね。
長期金利の上昇と株価の大幅下落が懸念される
高嶋)だけど、いままで2%の数字すら実現できない。本当に決死の覚悟で国債を買ったり、株を買い支えたりして株高に持って行ったり、円安に持って行き輸入したり、いろいろやってきたアベノミクスですが、他国ではアメリカなどを中心に、「出口戦略」とよく言われます。「そろそろ抜け出そう」と言っていますが、日本だけはどっぷり浸かったまま、これからも行くということですよね。
須田)そうですね。しばらく続けていく、ということです。
高嶋)これについて須田さんはどう思いますか?
須田)「止め方」ですよね。つまりリフレ派は金融緩和政策からどうやって脱却していくのか、非常に不安です。つまり出口戦略が明確に描けていない。「いまは描くタイミングではない」というのは仰るとおりですが、出口に向かったときに予想されるのは何かと言うと、たとえば国債を買わなくなると、国債価格は下落する。それはすなわち、長期金利が上昇していく、ということなのですよ。私たちに直接影響があるのは、たとえば住宅ローン金利が大幅に上がる可能性もある。これが1点。
もう1つは、日銀が金融緩和をすることにより株価が下落することです。「午後2時過ぎの日銀」と呼ばれていて、株価が下がってくると、午後2時過ぎに日銀が買って株価を戻す。それがなくなると、当然ながら株価は下落する。
なので、長期金利の上昇と株価下落が出口の際には予想されるのです。そうならないために、どのような戦略・作戦があるのか、不安だからぜひ聞きたい。その辺がきちんと示せていないのが不安です。
リフレ派は「消費税増税の凍結」と「十分な財政出動」を求めているが、それだけでは難しいと推測される
高嶋)須田さんの見方によれば、「アベノミクスはずっと続ける。金融緩和だよ。株も買い支えるよ」と。だけど、止めたときのその副作用が酷いことになるかもしれない。
安倍さんは自分の手柄だから、いまのところはずっとやっていきますよね。それで、次の内閣とか、大波が来たときに、これの副作用は、最大ではどのようなことが考えられますか?
須田)いま申し上げたように株価下落して日経平均株価は2万円を割るでしょう。1万9000円を割ってしまうかもしれない。その心配が1つ。
もう1つは、長期金利が跳ね上がったら国の財政にも大きな影響を与えるだろうし、国債の利払いが増えますからね。それに加え、私達の生活にも影響してきます。預金を預けている人はハッピーかもしれないけれど、そうではない、預金のない、借金を多く抱えている人たち。こうした人たちには非常に厳しい状況になると思います。
高嶋)先ほど言ったリフレ派の人たちが固めているようですが、その方たちは「これをやっていけば日本の経済がよくなる」と確信があるのですか?
須田)金融緩和政策だけではダメで、あと2つ条件がある。「消費税増税の凍結」と「十分な財政出動」です。公共事業投資などの財政出動をやるべきだ、という主張に若干変わってきているのです。
高嶋)須田さんは、率直にどう思っているのですか?
須田)それだけでは難しいのでは、と思いますね。
高嶋)各国、特にアメリカの動き。向こうが先に行った後だと周回遅れみたいで、最後に割を食うのでは、と嫌な感じが付きまといますよね。どうでしょうか……
須田)その辺を安心して貰うためにも、きちんと戦略を立てるべきでしょうね。