ソメイヨシノを守れ! 短命説に害虫・観光客と受難続き

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今週来週にも東京の桜が開花しそうですが・・・今回は、私も大好きな桜=ソメイヨシノについてのあれこれを。この時期になると、“数が減っている”とか“どんどん見られなくなっている”とか、「ソメイヨシノの寿命」について毎年のように話題に上ります。

そもそもソメイヨシノは・・・これまで、そのルーツがずっと“謎”とされてきました。意図的に作られた種類なのか、偶然発見された木を基にしているのか? 今もそこはわからない。ただ、江戸時代、植木職人が多く暮らしていた染井村、現在の豊島区駒込付近で売り出された桜が始まりと考えられています。ソメイヨシノという名前は、奈良県の桜の名所・吉野山にちなんだ名前で、いわゆる“ブランド戦略”ですね。JR駒込駅の近くには、発祥の地をPRする記念碑もあります。

さて、ソメイヨシノの増やし方がまた特殊。“接ぎ木”でしか増やせないのです。DNA検査によって、いま全国にある木は全部同じ遺伝子を持ったクローンばかりだと判明しました
さらに…母は「エドヒガン」系で、父は数年前「オオシマザクラ」系であることがようやくわかった。これで、明治時代からの様々な起源説に決着がついたのです。

起源説の一つにこんなのも。韓国が「ソメイヨシノのルーツは、韓国の桜である」と言い張っていたのですが、それがここ数年で、「DNA上、別の種である」と国際的な学会で発表され、日本固有の種であることが証明されています。

さきほど、全国のソメイヨシノがクローンであると言いましたが、クローンであるがゆえに、同じ性質なので、同じ環境になったときに開花する。ですから、『桜前線』が存在する、というわけです。しかしクローンは、病気の流行に弱いと弱点を持っています。

また、ソメイヨシノの成長はとても早い。ソメイヨシノ登場以前に桜の代名詞だったヤマザクラは、成長するのに10年はかかりますが、ソメイヨシノは5年ほどで見栄えのするサイズに育ちます。成長が早くて花が大きくて見栄えがいい。しかし成長が早い分、寿命も短いのではないか?

こうした「成長の早さ」と「クローンであるが故の弱点」と、さらに「戦後にソメイヨシノが大量に植えられた」という理由が重なって、毎年のように、「大半のソメイヨシノが寿命を迎えている」とか「寿命は60年だ」などといったことが、話題になるのです。しかし、ほかの品種の桜なら樹齢1,500年、2,000年という老木もあるのですが、ソメイヨシノは江戸時代に誕生した新しい品種。まだ寿命についてよくわかっていない、というのが本当のところです。

科学的に寿命についてはよくわからないものの、ソメイヨシノの生命を脅かす大きな存在が2つ、あります。
まずは、人間。ソメイヨシノは街路樹として植えられている場合が多いですが、根の近くまで舗装されていたり、排気ガスに晒されていたりする。これが木の健康に悪影響を与え、木の成長の勢いを削ぐのです。また花見の際、根に近い土壌を過剰に踏みしめられたり、花見客に枝を折られることはもってのほか。

今年の花見シーズン、日本の旅行を予約している中国人観光客が去年より6割多くなっている。欧米の客も年々増加している。そこで、ワシントンホテルなどを経営する藤田観光は、3年前から「お花見の正しいマナー」を説明したリーフレットを、日本語版、中国語版、英語版で配布しています

これになかなかいい事が書いてありまして・・・「可憐に咲き乱れるも、わずか2週間ほどで散るため、日本人の季節感を形成する重要な風物となっている」だから、『桜の枝を引っ張ったり、折ったりしない』『ゴミは持ち帰るか、分別して所定の場所に廃棄する』『トイレ以外の場所で用を足さない。トイレットペーパーは持ち帰らない』と書かれている。外国人からは「なぜその行為が禁止なのか理由がよく分かっていい」と好評です。

日本人の我々もそうだなと思う注意点は、「場所取りは最低限に」とある。その理由としては「桜の木の下でのお花見はとても気持ちの良いもの。ただ、桜がきれいに見ることができる場所は限られている。みんなが気持ちよく花見を楽しめるように、必要な分だけの場所を確保しよう」。言われれば当然のことですが、広く場所を取っている人が多いと感じずにはいられません。

人間に加えて、桜の命を脅かしているのが、今大変な被害をもたらしている害虫の存在です。我々のソメイヨシノの敵の名前、ぜひ覚えておいてほしいのですが、首の辺りが赤く艶があるので、「クビアカツヤカミキリ」。外来種のカミキリです。

老齢化した木の割れ目から中に侵入し、1回卵を産み落とされると、幼虫が中の木を食い荒らす。被害のほとんどはソメイヨシノ。5匹から10匹でサクラの木を枯死させるといわれているのです。

日本へは、外国産の資材に紛れて侵入してきたと考えられ、2012年に愛知県で初めて報告されました。翌2013年には埼玉県草加市内で、国内二例目として見つかり、さらに行田市や熊谷市など県北部の利根川流域でも急速に生息域を拡大。群馬県館林市は関東で最も深刻な被害が広がっていて、東京都、栃木県、大阪府、徳島県でも確認されています。関東で最初に見つかった草加では、1,500本のうち、食害にあった40~50本伐採を余儀なくされ、まだ楽観はできない。

ひどいのは、群馬県。桜並木で有名だった舘林高校の桜31本全部が被害にあい、何本かは伐採の運命に。また、この“珍しいカミキリ発生”のニュースがネットで流れ、昆虫採集家が反応して、喜んでカミキリを取りに来るという現象も起きた。こんなことをされて、昆虫を増やされてはたまらない、と地元では大変困っている。

猛スピードで被害が拡大しているので、環境省が「特定外来生物」に指定して、駆除を呼び掛けています。このカミキリが木の中に侵入すると、根元にフンと木くずが混ざったものが散らばっているので、そういったものを見つけた場合は、すぐに役所に届け出てください。まさに、一刻も早く「クビアカツヤカミキリ対策」を行わないと、春のサクラの景色が一変する事態になりかねないと危惧されているのです。

こうして、高齢化や害虫などへの対応が迫られることから、ソメイヨシノ一辺倒を見直そうという動きも出てきています。桜の名所・目黒川のある目黒区は、2013年度に「サクラ基金」という寄付金を活用して、高齢化した区内のサクラの再生を進めています。区は、枯れるなど「状態が悪い」木を順次伐採し、ソメイヨシノ以外の品種に植え替える計画です。また、東北地方ではどんどん開花が早まる傾向なので、ゴールデンウィークに見ごろになるような品種改良の研究も進んでいるそうです。

いずれにしても、専門家によると・・・「ソメイヨシノは必ずしも管理しやすい品種ではない」のが現実なのです。だからこそ、私なんかは心が惹かれるのですが、今後、数が減ってどんどん儚い存在になる運命なのは間違いないようです。

3月13日(火)高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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