東日本大震災から7年 ペットの防災はどうなっている⁉
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東日本大震災では、人のみならず、多くのペットも被災しました。地震や津波の犠牲となった命もありますし、飼い主と離れ、放浪状態になった犬や猫も多く、係留したまま避難せざるを得なかったケースもありました。当時、被災地では自治体や地元の獣医師会、NPO団体などが中心となって、被災したペットの救護活動も行われましたが、多くのペットの命が失われたという現実は残りました。
あれから7年。政府では「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成。東日本大震災を教訓に、より一層ペットへの防災対策を進めていくことになりました。
ガイドラインで重視されているのは「同行避難」と「飼い主の責任」。同行避難というのは、「災害発生時には、ペットを連れて避難場所まで安全に避難しましょう」ということ。政府ではこれを推奨しています。
もちろん災害の非常時には、自分の命を守ることが第一ですから、ペットを置いて避難せざるを得ない場合もありますが、同行避難をしなかった場合、放浪状態のペットが増える可能性もありますし、去勢手術を行っていないペットが放浪状態になると、どんどん繁殖して、住民の生活や環境にも影響が出る可能性があります。そうした社会的影響もあって、今は「同行避難」が推奨されるようになっています。
飼い主には「ペットの寿命まで適切に飼育する」という努力義務もありますから、非常時でもペットの命について考えることが求められているというわけです。
ただ同行避難ができても、避難所で同居できるかどうかは自治体などの判断です。大切なのは、同行避難をするという飼い主の責任を果たしつつ、地域の避難所がペットに対してどのような対策をしているのかを確認すること。同行避難を受け入れているのか、室内で一緒に過ごせるのか、別々の場所になるのか、外で飼うことになるのか・・・トラブルを避けるためにも、避難所のペット情報を確認しておくことが大切です。
またガイドラインで重視されている「飼い主の責任」も大切です。多くの人と共同生活になる避難所では、「災害時の準備」や「しつけ」、また「マナー違反」によってトラブルが発生することがよくあります。
「においや鳴き声が気になる」「避難所内で犬を放し飼いにしている」「子供や高齢者に危害を加えるのではないかと心配」「ノミやダニの予防をしていない犬や猫がいる」…など、東日本大震災や熊本地震の避難所では実際にトラブルが発生しました。
そうしたトラブルを回避するためも、「事前準備」や「しつけ」は大切です。一部の飼い主がそれを疎かにしてトラブルが発生するようなことがあると、ペットそのものを毛嫌いする人が出てくる可能性もあります。避難所には動物が苦手な人もいれば、アレルギーを抱えている人もいますから、安心して共同生活を送るには「事前準備」や「しつけ」が大切なんですね。
万が一の備えとして、飼い主がやるべきことは多岐に渡ります。ペットと一緒に避難できる「避難所や避難ルートの確認」。約1週間分の「水や食料の準備」。ペットを安全に避難させるためのリードやキャリーバック。そして、それを嫌がらないようにする「しつけ」。また「迷子札」を首輪などに付けておくことも大切で、最近はペットや飼い主の情報を記録した「マイクロチップ」の活用も進んでいます。
ほかにも常備薬や食器、ペットシーツやトイレ用品など、避難所での生活を想定して、常に準備しておくことが大切です。人の防災袋とともに、ペット用の防災袋も用意して、いざという時に備えておくようにしましょう。
そして「しつけ」でいえば、特に大切なのは『ゲージを嫌がらないようにする』こと。避難所では、犬や猫はゲージの中に入って生活することが一般的。ペットの中にはゲージに入るのを嫌がって、吠えたり・暴れたりする犬や猫もいますから、周囲に迷惑をかけないように慣れさせておくことが大切です。
また避難所で生活すると、いつもと違う環境であったり、飼い主以外の人と接する機会も増えるので、ペット自身がストレスを抱えてしまうケースもあります。普段から外に連れ出し、多くの人に会わせるなど、環境の変化を体験させて、慣れさせておくと、ストレスの軽減につながると言われています。
ほかにも飼い主がやるべきことはいろいろありますが。まずは災害への備えを考えることが大切です。東日本大震災を機にペットの防災対策が進んでいますが、まだまだこれからというところもあります。飼い主の皆さんには、東日本大震災から7年を迎えるのを機にあらためて、ペットの防災対策を確認していただきたいと思います。
3月8日(木)高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より
高嶋ひでたけのあさラジ!
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