米朝首脳会談~現実的な和解にはまだ遠い米朝の間

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6/11 FM93 AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!②

米朝首脳がシンガポール入り~明日首脳会談
7:10~お早う!ニュースネットワーク その1:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

金正恩 朝鮮労働党 委員長 シンガポール 北朝鮮 平壌 国際 空港

2018年6月10日、北朝鮮・平壌国際空港からシンガポールに向け出発する金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信撮影・共同) 写真提供:共同通信社

拉致問題~テロ行為の清算と決着がどういう形でテーブルに上がるか

史上初の米朝首脳会談を明日に控え、アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の両首脳がシンガポールに到着した。北朝鮮の核放棄と合わせて拉致問題が提起され、解決への道筋がつけられるのか大きな関心事となっている。

飯田)安倍総理はこれに先立って、先週末G7の前にトランプ大統領とホワイトハウスで会談をしています。拉致についてもう一度確認したということです。今後についてですが、まずは非核化がどこまでということになりますか?

須田)どの程度のレベルまで北朝鮮がカードを切ってくるかということと、拉致の話が出ましたけれど、これはテロ行為ですからね。アメリカと北朝鮮の間でのテロ行為の清算と、決着というのがどういう形でテーブルに具体的に乗っかってくるのか、というのが一つ注目なところですね。

飯田)朝鮮中央通信が11日に報じたところによると、新たな米朝関係樹立、それから朝鮮半島の恒久的な平和体制構築、朝鮮半島の非核化などについて幅広く意見交換するということです。。ここでは拉致については入っていない。これは朝鮮中央通信のある意味公式発表みたいなものですよね。

須田)そうですね。ただそうは言っても、国交正常化へ持っていくためには、そりゃ決着つけなければいけませんからね。

飯田)そして朝鮮半島の非核化と北側はそう言っています。これは前から言っていることですが、在韓米軍をはじめとする北朝鮮以外の核も含めてということですね。

須田)そういうところを考えてみると、長距離のICBM以外の中距離、短距離のミサイルについてもどうするんだと。つまり日本に向いているミサイルですよ。それについても全ての非核化という点で考えてみると、必ずしもそれはハードルが高い話ではなくて、日本にとってみると非常に注目すべき点ではないかと思います。

飯田)日本にとって一番良くないのがICBM、大陸間弾道弾だけで手を打たれるということだと前々から言われていますがどうでしょう、この可能性というのがまだまだわかってはいないのでしょうか?

須田)どうでしょうそれは北朝鮮の置かれている立場、要するに交渉としてアメリカに対してカードをたくさん持っているのであればそういうこともありえるでしょうけど。どうもこの一連、トランプ大統領が今回の首脳会談を拒否して慌てて北朝鮮が膝を屈してきた流れを見ると、北朝鮮にはそういう行動の余裕、安全保障上だけではなくて経済的な余裕がないのではないかなと思いますけどね。

米朝首脳会談~直前にどちらかが席を立つということも考えられる

飯田)この朝鮮半島情勢ですが、小泉総理時代に北朝鮮を訪れ拉致問題解決に力を注いだ元外務省の北朝鮮問題専門家である原田武夫さんとお電話がつながっています。
今回の米朝首脳会談、これが実りのあるものになるかどうか、原田さんはどうご覧になっていますか?

原田)私はまだギリギリのところではないかと思います。通常はそれだけ忙しいはずの両首脳が二日前から現地入りするというのは異様なんですね。

飯田)なるほど。

原田)なので、トップ同士本当に会うのかどうか。その判断を時差のないところでギリギリ事前交渉も、まあ事実上陣頭指揮を裏側から執る形で交渉しないと会っても意味が無いということになるのではないかと。

飯田)ではもう本当の直前の直前でどちらかが席を立つということもありえると。

原田)そうですね、あるいは本当にもう儀礼的に会って、あとはもう次回どこかで会いましょうとなるかですね。

飯田)これはやはりそのくらい事務方同士では詰められないものが多いということですか?

原田)そうですね。トランプ大統領の顧問弁護士をやっているジュリア―ニという元NY市長がいますが、数日前に講演で、「北朝鮮側が未だに、何だったら戦争やってもいいんだよということを言っている」とリークしているんですよね。北朝鮮側がやはり交渉のなかで、まだまだこなれていないのかなと。そんな感じがしますね。

飯田)まだそれほどおりてきていないというか。

米朝の和解にはまだ遠い

原田)そうですね、今回はCIAが中心となって交渉を進めたにも関わらず、北朝鮮のメディアは未だにCIAを名指しで批判したりしていますので、ちょっと米朝の和解というのはまだ程遠いという感じがしますね。

飯田)これはCIAという諜報機関がアメリカ側でやっているということになると、北朝鮮側も諜報機関がカウンターパートとして今回やっていることになるんですか?

原田)もちろんですね。表向きは基本的に外交ルートではなくて、インテリジェンス機関同士でやると。このインテリジェンス機関は、外交ルートを相手にして話をするということは絶対にありませんので。

飯田)そうすると、水面下、秘密裏にやって行く、そうすると核とかミサイルとかも機微に触れる部分まで交渉ができるということになるわけですか?

本当の米朝の狙いは非核化ではない?

原田)私はいわゆる外交ルートで対外発表されている非核化というのは本当の米朝間の問題ではないと思っています。諜報機関が出てきているというのは、もっとより北朝鮮の今の金正恩体制の根幹に関わること、要するに彼らは経済的に潤うためにミサイルを諸外国に売ったり、麻薬を作ったりいろいろやっているわけです。そういった一連のアメリカが言うところの「不法な経済活動」を包括的に解決したいというのがアメリカの狙いなんじゃないかなと思います。これは北朝鮮にとっては簡単に飲めないことだと思います。

飯田)スタジオにはジャーナリストの須田さんもいらっしゃいます。

須田)原田さんにお伺いしたいのですが、当時拉致の交渉にあたっていたということなのですが、北朝鮮サイドは赤十字社の名前で、拉致の調査結果を日本に伝えてきましたよね。当時は人道的な問題として扱ってきたのですが、やはり外交交渉上の材料として持っていかなければならないと思うのですが、このあたりのスタンスは今後どうなっていくのでしょうか?

拉致被害者が生存しているということは金正日時代の調査結果を覆すことになる

原田)北朝鮮は常にこの話を人道上の問題なので、それなりに人道上の配慮でやっていると。言わば恩情でやっているのだと、そういう感じのニュアンスなんですね。それでかつ調査結果としましても小泉政権時代にきっちりとこれ以上はもういませんと一応表向きは言いましたので、後は仮に拉致被害者が生存していたということを出すのであれば、「金正日時代の調査がいい加減だった」ということになるので自分の父親のことを否定する、あるいはその時の中核的なメンバーを、今はまだ権力の座にいるメンバーを粛正するということになるので、かなりの内政上の混乱を招くことだと思います。そこまでの力を金正恩が持っているのかということが鍵となりますね。

須田)一説には、ストックホルム合意の後に北朝鮮サイドは拉致問題、これは特定失踪者の問題も含めて、何らかの情報を日本側に提供したと言っていますが、この真偽はどうなのでしょうか?

原田)私もそれは随所から聞いています。ただ外交ルートではなくいわゆる非公式のルートですね。民間人で北朝鮮と関係のあるルートで日本側に聞こえるように伝えてきているのは確実だと思います。

日本の国益を考えると米朝会談が破談になるほうが良い?

飯田)今回の首脳会談で他国に下駄を預けるのは忸怩たる思いがありますが、どうですか、進みますか、日本人拉致問題。

原田)私はですね、これは逆説的なのですが、仮に安倍さんとの約束を守ってトランプ大統領が拉致問題のカードを切ると、これまでの流れのなかで金正恩との関係を考えると、金正恩が怒らざるを得ない。そうなると、米朝の会談というのが破談となる。そうなるといつものパターンだとアメリカと仲が悪くなると日本カードを切ってくるんですよ。そこから日朝首脳会談という流れになるかもしれないですね。

飯田)なるほど、ここがうまくいくことが果たして日本にとっての国益かということを考えなくてはいけないわけですね。

原田)そうですね、逆に米朝が仲良くなっちゃったほうが、皆がいるところで拉致問題が軽く扱われて、解決が遅くなっちゃう可能性もありますよね。

飯田)なるほど。原田さんありがとうございました。やはり日本の国益とアメリカの国益では突き詰めたところでは違うところだって当然あるということですね。

須田)ですからね、日朝平壌宣言が結ばれた小泉訪朝も、実は北朝鮮サイドの本意というのがアメリカとの仲立ちだったんですよ。米朝の仲立ちを日本に要請したというのが本意ですからね。

飯田)今の文在寅さんみたいな役割を小泉さんに求めた。ところが小泉さんはそれをやらなかった。

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