【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第435回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、6月23日に公開された『ブリグズビー・ベア』を掘り起こします。
世界中の映画祭で話題をさらった、可笑しくてちょっぴり切ないハートウォーミング・ストーリー
『テッド』や『パディントン』など、ここ数年続く“しゃべるクマ映画”ブーム。
そんな中、サンダンスやカンヌなど世界中の国際映画祭で話題沸騰となったのが『ブリグズビー・ベア』。
映画愛に満ちたお宝ムービーが、日本でも公開となりました。
外界から遮断され、小さなシェルターの中で両親と3人だけで暮らしてきた、25歳のジェームス。
彼は子どもの頃から毎週届く教育ビデオ「ブリグズビー・ベア」を見て育ち、今ではその世界の研究に没頭する日々を送っていた。
しかしそんなある日、シェルターに警察がやって来て、両親は逮捕されてしまう。
なんと、ジェームスが両親だと思っていた男女は、25年前に彼を連れ去った誘拐犯だったのだ。
ニセの両親によって作られた「ブリグズビー・ベア」から得た知識しか持たないジェームスは、突如、外の世界に放り出されて、“本当の家族”と一緒に生きていくことに。
新しい家族とのぎこちない生活の中で、彼の人生のすべてであり、夢と想像力を与えてくれた番組をもう二度と見られない現実に気づいたジェームス。
そこで、未だ完結していない「ブリグズビー・ベア」の続編を自ら作ることを決意する…。
幼い時に誘拐され、25年間も監禁されていた青年が、 “本当の家族”の元に戻ってから自分を取り戻して行く様子をコメディかつハートウォーミングに描いた物語。
本作は、アメリカで絶大な人気を誇るコメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」のメンバーが集結して制作されました。
監督を務めたのは、同番組の常連でYouTubeチャンネルでも人気のコメディユニット「GOOD NEIGHBOR」のメンバーでもあるデイヴ・マッカリー。
脚本のケヴィン・コステロ、主演のカイル・ムーニーもこのコメディユニットのメンバーで、オリジナリティあふれる世界観を作り上げました。
主人公ジェームス役のカイル・ムーニーを取り巻く共演陣も、実に豪華。
育ての親テッド役に『スター・ウォーズ』シリーズのマーク・ハミル、カウンセラーのエミリー役に海外ドラマ「HOMELAND」でゴールデン・グローブ賞とエミー賞をW受賞したクレア・デインズ、刑事のヴォーゲル役に『リトル・ミス・サンシャイン』のグレッグ・キニア。
さらに「サタデー・ナイト・ライブ」つながりで、ベック・ベネットやニック・ラザフォード、アンディ・サムバーグなどがカメオ出演しているのも、ファンにとっては見逃せませんよ。
そして本作を語るに外せないのが、ブリグズビー・ベアの存在。
お世辞にも可愛いとは言えないビジュアルですが(失礼!)、大きな瞳と太い眉毛をクルクル動かしながら話す姿に、じわじわと愛着が湧いてくるから不思議です。
傑作SF映画へのオマージュやアナログ感あふれるテイストも、映画好きならば痺れんばかり。
そんな本作を通じて、愛すべきクマが届けてくれるのは、“真の優しさ”とは何かということ。
良作がひしめく本年度公開作品の中でも、屈指の名作です。
ブリグズビー・ベア
2018年6月23日からヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほかロードショー
監督:デイヴ・マッカリー
出演:カイル・ムーニー、マーク・ハミル、ジェーン・アダムス、グレッグ・キニア、クレア・デインズ、マット・ウォルシュ ほか
(c)2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.
公式サイト http://www.brigsbybear.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/