西日本豪雨~災害時における現場主義の重要さと問題点
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月12日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。西日本豪雨を例にあげ、災害時の現場主義の大切さと現状の問題点について解説した。
現地にもう1つの政府を作り総理がバックアップするような体制が理想的
記録的豪雨による甚大な被害を受け、安倍総理大臣は昨日岡山県倉敷市で、決壊した堤防の状況などを視察した。
安倍総理)先ほど被災現場を訪れ、今回の豪雨のすさまじい被害の爪痕を目の当たりにいたしました。政府としては、国として、激甚災害の指定については、迅速な指定をするように作業を進めて参ります。被災地一帯の皆様には安心していただき、そして財政上躊躇することなく応急対応・復旧対応に全力で取り組んでいただきたいと思います。
飯田)激甚災害指定を受けると、復旧事業に対する国庫補助率が1~2割程度引き上げられます。通常は7割程度ですので、8~9割が国庫から出ることになります。先週木曜日から激しくなった雨でしたが、一連の対応はいかがですか?
鈴木)災害で一番大事なのは現場主義ですよね。これまでの災害でも常にそうですが、現地に政府をもう1つ作るくらいのつもりで。つまり、現地のことは現地が一番分かる。だから、そこで判断して、多少の法律違反とか、たくさんあるのです。「いまこれをやったらマズい」とか、「ルールに反する」とか。でも、そういうことも現場第一主義でやっていく、安倍さんがそこにずっといるわけにはいかないので、そういう決断のできる人をそこに配置して、もう1つ政府を作り、権限を与える。バックアップをたとえば総理がする。多少の法律違反も、現地で大事だと思ったら、「優先しろ」と言うような、そんな体制を作るのが大切です。今回は、それを作るのが少し遅かった感じがします。小此木防災担当大臣が入ったのも、少し後だったし。
飯田)月曜日でしたよね。
鈴木)そういう意味では、7日土曜日の午後くらいには、そういう体制に移行して良かった気はします。
現地の行政官だけでは公平性や法律問題に対処できない
飯田)倉敷の真備町の辺り。あの堤防が決壊したのが、6日夜から7日未明にかけてなのを考えると、7日午前中には、1面水浸しになっている映像はおそらく官邸にも上げられていると思います。
鈴木)上がっているし、7日午前中には会議しているでしょう。結局対策本部ができたのは翌日ですから。7日午後くらいには、永田町の議員たちもそうですが、「対策本部を作らなくてもいいのか?」とあの日の取材中にかなり出ていたのです。
半日遅れただけでも災害の被害は全然変わってくる。だから、もう少し早くても良かったという印象があります。
飯田)平時はトップダウンの形のような、ある意味の縦割り行政でも機能する気がしますが、有事となると、そこを突き破る力が必要であるということですね。
鈴木)そうですね。「法律で決まっている」とか。たとえば「行政の公平性」の問題がある。
いままで災害を取材していつも思うけど、たとえば支援物資です。避難所はたくさんある「届いたし、配ろう!」とすると、「ちょっと待て。行政としては、ここに先に配ったら、別の場所から文句を言われるから、全部の数がそろってから配ろう」ということがよくあります。こういうことは打ち破らなければいけない。まさに今回、プッシュ型支援もそうだけど、できるところからどんどん送っていく。それは現地の行政官はなかなか決断できないのですよ。
飯田)後で「平等かどうかと、文句を付けられたらどうしよう」となってしまう。
鈴木)そこを、まさにトップである総理が「いや、優先していいぞ、責任は俺がとる!」みたいな。この辺が、現場主義のコミュニケーションや体制というのが、防災ではカギを握るのです。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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