概算要求基準~公共事業に関する経費は増やすべき
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月11日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。予算規模の膨張を避けるための重要なプロセスの1つ、概算要求基準を解説した。
青天井を避けるための概算要求基準が正式に決定した
政府は昨日、来年度の予算編成で、各省庁が予算要求を行う際のルールとなる、概算要求基準を正式に決定した。各省庁は基準に基づき、8月末までに財務省に予算を要求。要求総額は5年連続で100兆円を超える見通し。
飯田)財務省が予算編成に当たって示す、要求のルールだそうですね。
高橋)昔はシーリング(天井)と呼ばれていました。「これ以上要求するな」ということですね。
飯田)ここしばらくはシーリングは撤廃されていた。よく概算要求は「100兆円突破した!」とか「無駄遣いだ!」みたいな話が出てきますね。
高橋)シーリングは撤廃していますが、それぞれの省庁の会計課職員は税務署の人がやっているから、そういう意味ではあうんの呼吸というか、はっきり言って馴れ合いでやっているのですけどね(笑)。
たとえば公共事業などは、ずっと裁量的経費と言われているやつだから、どんどん削るのです。削っていき、たしか97年くらいの約9.6兆円がマックスで、その後は毎年約3,000億円ずつ削っていました。そして、民主党政権になってからさらに6,000億円くらい削り、4.6兆円まで下がったのです。それを安倍政権になってから6兆円に増やしたのですが、概算要求基準があるから、いまもずっと6兆円のままなのです。こういうのはもう少し弾力的に考えた方がいいと思っています。
いまの国債金利はマイナスだからむしろ借りて公共事業に利用した方が得
高橋)裁量的経費も、その都度で延ばしていいやつはずいぶんある。特に、いまは国債金利がマイナス金利になっている。つまり借りた方がお得なのです。借りて、どんどん公共事業した方が、実はいい。特にいまは震災の話とかあるし、今回のような豪雨の話がでています。案外、公共事業の経費が低いと十分にできないのですよ。
だから、ときどき「あるところで堤防が~」みたいな話になるとイヤでしょう? こういうときにはできるだけ国債を出し、たくさん公共事業をした方がいいと思います。
飯田)安倍政権発足直後くらいは「国土強靱化」という話があって、「インフラのメンテナンスもしなければ」という話もあったのですけどね。
高橋)そうですよね。それなのに安倍政権になってから、シーリングがあるからですが、6兆円に上げたあとずっと6兆円のままなのですよ。私は10兆円くらいでいいと思いますけどね。
でも、国債は品不足の状態になっていて、この辺はあまり報道されないですが、「国債がマーケットに少なすぎて大変だ!」という話になっている。そこで、「国債をどんどん出して公共事業をする」が天からの声なのです。市場の声とも言えますね。それをどんどんやれば、今回のように「あそこに、もう少し予算があればやっていたのに」みたいな後悔もしなくて済むのですよ。
飯田)その辺は、まるで拡張しているように見えるけど、決算を見ると、実は毎年ちょっとずつ緊縮になって、下がっていますよね。
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