いまさら聞けない「EPA」と「FTA」の違い

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月18日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。安倍総理が日本とEUのEPAに署名したことを受け、新聞ではあまり書かれないEPAとFTAの違いについて解説した。

経済連携協定 トゥスク大統領 トゥスク ユンケル欧州委員長 ユンケル 安倍首相 安倍

経済連携協定の署名後、握手を交わすEUのトゥスク大統領(右)とユンケル欧州委員長(左)。中央は笑顔を見せる安倍首相=2018年7月17日午後、首相官邸 写真提供:共同通信社

日本とEUが経済連携協定に署名

安倍総理大臣)EPAの署名は保護主義的な動きが世界に広がる中、日本とEUが自由貿易の旗手として世界をリードしていくとの揺るぎない政治的意思を、世界に鮮明に示すものであります。

安倍総理大臣とEUヨーロッパ連合のトゥスク大統領は昨日、日本とEUの経済連携協定EPAに署名した。今後は国会と欧州議会の承認手続きを経て、2019年始めまでの協定発効を目指す。

飯田)もともとは総理がヨーロッパを歴訪して、そこで署名式が行われる予定だっただったのですが、西日本豪雨があり、災害対策に尽力するため外遊取り止めということになりました。そこで、向こうから来てくれた。

EPAとFTAの大きな違い

高橋)そうですね。ところでね、このような話のときにEPAとFTAの違いがかなりあるのですが、案外皆同じように話してしまいます。はっきり言うと、FTAというのは、物だけの貿易のことです。EPAと言ったときには、物のほかに投資や人の移動、知的所有権なども全部入っている包括的なものです。

飯田)社会のシステムみたいなものまで含まれる。

高橋)だから、物と投資などを全部含めた自由化の話なので、中国との絡みのときにはもうFTAしかないのですよ。資本取引みたいなものは、中国の体制から絶対に認められないですから。だから皆中国から見たときはFTAと言って、自由主義圏の話は皆EPAになってしまう。これは、言葉のちょっとした使い分けですけどね。日本とEUは似たような制度ですからEPAになるんですよね。日本とアメリカはTPPと言いますが、これは基本的にはEPAの形態です。

飯田)各紙書いているのが関税に関する話ばかりだから、FTAと同じだと考えてしまうわけですね。

高橋)関税の話だけで言うと、実はEPAとFTAは同じですけどね。

飯田)中国がやろうと思っても、EPAには資本の自由があるから入ってこれない。

中国ができるのは「物の自由貿易」だけ

高橋)生産手段の国有化が社会主義国の定義なんだよね、その国有化というところが引っ掛かってしまう。

飯田)国有企業は有り得ないという話に基本的にはなるんですよね。

高橋)だから、これはある意味で自由主義の話を世界に見せるという意味も、安倍さんが言うようにあるのですがね。中国とは違う経済圏を作るという、そういう意味合いが実は大きい。

飯田)メガFTAの時代だみたいなことで、中国もいろいろなところに手を伸ばしていて、アジアの国々とRCEPをやろうとしているっていうような、中国も自由貿易の旗手だみたいな話も各方面でありますが。

高橋)それはね、自由貿易という定義、範囲の問題です。物だけの自由貿易しか実は社会主義国はできないわけで、でもそれはちょっと不完全なので、本当は全て人の行き来、知的所有権の話、それと投資の話も全部自由化というのが世界の流れなのですよね。これはね、新聞読むときに関税のところだけ見たらダメです。

飯田)表になっているのは関税の話ばかりですよね。

高橋)それは分かりやすいからね。表に書きやすいのですが、中身としては人の行き来とか投資の話の方が大きいのですよ。だからこのEPAと言った場合は「自由なんだけど、全て包括的にやっているから社会主義国は違う」ということはみなさんも理解しておいたほうがいいですね。

EUの流れである知的財産権、個人情報の取り扱いに入れない中国

飯田)これ今回EUとのEPAの形をとりました。知的財産権とか所有権でいくと、向こうはそのブランドの価値みたいなのも非常に重きを置いたりしますよね。

高橋)それはありますよね。それが世界の流れなんでね、パクリはいけないわけだから中国はものすごく警戒しますよ、はっきり言うと。中国がEUと結んでいるのは全部FTAだけだから。

飯田)なるほど、物の貿易の部分だから。

高橋)物の貿易だけなんですよ。だからこれはね、新聞なんかも少しその違いを、もう少し解説して欲しいなと私なんかは思っています。

飯田)アメリカが対中国で警戒しているのもまさにこの知的所有権の部分です。

高橋)全部そうですよ。だから貿易戦争をやっていますが、単なる関税でやっているのではなくて、「知的所有権で侵害しているだろう」というのが大きいところです。
そこが主戦場になっていて、投資の自由化とかも主戦場にこれからなります。そういうのも見ながら、この日本とEUの間の関係を見ておくという手はありますね。そういうところまで含めた包括的な自由貿易を目指しているということです。

飯田)知的所有権の部分で行くと、ネット上の個人情報の取り扱いだとか、EUはとても厳しいですよね。

高橋)厳しいですね。ある意味でスタンダードになるかもしれないし、そうなると社会主義国は個人情報なんか無いですからね。もう何でもオッケーになっちゃうから、そこには当然中国は入って来れないでしょうね。日本もそういう厳しいところは学んだ方がいいかもしれません。

飯田)自国にサーバーを置かせて、そこに自国政府には情報を提供しろというようなことはやっちゃダメだというのがEUの制度。

高橋)そうすると、中国の人困っちゃうんですよね。完全に排除されちゃいますよね。

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