習近平氏「一帯一路」に向けて中東・アフリカ歴訪~反米国に結束呼びかけ

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月20日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。中国のアメリカとの中長期的対立を見据えた中東、アフリカ歴訪について解説した。

中国の習近平氏が中東とアフリカ歴訪、アメリカに対抗か

中国の習近平国家主席は19日、中東とアフリカの5ヵ国歴訪に出発し、UAEアラブ首長国連邦に到着した。外遊は今年3月国家主席に再選して以降初めてのこと。中国は資源の確保に向け、シルクロード経済圏構想「一帯一路」を通じた支援で中東とアフリカでの影響力の強化を目指す方針で、今月25日から南アフリカのヨハネスブルクで開かれるBRICs首脳会談ではアメリカの通商圧力に対抗するため、反保護主義を旗印に結束を呼び掛ける構えとみられている。

飯田)反保護主義だそうですよ。

宮家)笑っちゃうよね。自分が1番保護主義じゃないですか。

飯田)国内は保護、保護ですものね。

宮家)自由化してから言ってほしいですよ。

飯田)今回はUAEを皮切りにして、アフリカのセネガル、ルワンダ、南アフリカ、モーリシャスと回っていくそうですね。

宮家)この地域、特に中東は元々ヨーロッパやアメリカが強い地域ですよね。しかし中国にとって、これから生き残ることを考えると一帯一路というのがあるから、中東は無視できない。彼らはいいですよね、日本みたいに変な国会がないですから。だから自由に国益を追求できるのは羨ましいと思うけれど、中国にできることは限界があると思います。でもちゃんと回るのはあっぱれだと思いますよ。

飯田)外務大臣がいて、外交担当の国務委員もいて、日本と比べると何人もいるわけですよね。

宮家)国務院総理もいて、彼らは2トップだと言っているわけですから。いいですよね。

飯田)日本が外交で太刀打ちするのは本当に大変なのだと。

宮家)国会さえなければああいうことができるのですけど、もちろん国会が最高機関としてあるわけですからなかなか難しいところですね。

アメリカの影響力が落ちた中東に入り込む狙いか

飯田)アフリカ中東をめぐるということは狙いがあるわけですが、やはり資源ですか?

宮家)資源もそうですが、習近平さんには全体として危機感があると思います。どういうことかというと、アメリカと中長期的に対立関係に入ることを自覚していると思うのです。
そして、国内経済でいうと賃金が上がっているわけですから、今までのような右肩上がりは当然無理です。1番良いのは自由化して改革することだけど、それは嫌だから。そうなると何をするかというと、権力の集中ですよね。そうすれば反発が高まると。こういうなかで慎重に出ていくところとして、自分の近くとユーラシア大陸、そして中東、アフリカと。彼らの防衛的な攻勢と見るべきだと思います。成長を求め、影響力を拡大し、そのための基本であるエネルギーを確保する一石三鳥くらいの戦略的な動きだとは思います。

飯田)その上、特に中東でアメリカの影響力が落ちているようなことも言われますよね。

宮家)一昔前、湾岸戦争以降はアメリカが圧倒的に強かったですよね。しかし、トランプさんになってからは何をやっているのかよく分からなくなってきて、「海外にいる米軍は減らすんだ」なんて不用意に言うものだから、そうすると疑心暗鬼が生じる。実際にアメリカが抜けたら、その空白を埋めに行くという意味では非常に賢いやり方だと思います。

飯田)イランにも接近しているようですね。

宮家)とにかく、中国にとって行ける国は反米国家ですよね。アメリカとの関係が悪いから隙ができて、そこに入っていく。そういう戦略だと思います。

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