中国で起こっている「反習近平」の真相

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月19日放送)に拓殖大学教授でジャーナリストの富坂聰が出演。北戴河会議の詳細や、中国で起こっているという「反習近平」の現状について解説した。

北戴河会議~避暑地で公務を始めたのがきっかけ

8月上旬にも始まる、中国共産党の重要会議である北戴河会議。そこで習近平国家主席への批判が集中する可能性があると、一部で報じられている。

飯田)去年は党大会直前だったのもあり、注目されていました。長老たちが集まると言われていますが、どのような会議ですか?

富坂)もともとは、「避暑で過ごすときも公務をやろう」ということで1953年から始まっていて。途中で何度か無くなりましたが、ずっとやってきました。
もともと、秦皇島市というところに入ります。外国人が開発したリゾートなのです。それが中華人民共和国建国のときに全部いなくなり、その空いた別荘地に、避暑をここで過ごそうと入ってきて、「みんなで集まっているし、公務もしよう」と、1953年からそういう流れになっています。けっこう重要なことも決められています。
たとえば、金門島砲撃を決めているのはこの会議だったと思います。だから、重要な点はいくつもある。毛沢東がしばらく姿を隠したりするときに、ここで泳いだり。健康不安説が出ると、泳いだのです。昔の政治家はよく泳ぎましたよね。日本も中曽根さんが泳いだりしましたし、鄧小平も泳ぎました。いまは泳ぐ人はいなくなりましたが、そういう場所でもあるのです。会議の質としては、政局拡大会議という解釈でいいと思います。「拡大」というのが、中国ではいくらでも解釈できますから、何を入れてもいいのです。だから、外交が話題になれば、大量に北京から外交の当局者を呼ぶとか。そういうことで、呼ばれるかどうかや、どこまで拡大するかはそのときどきですね。

飯田)現役ではなく、OBも入りますか?

富坂)OBは基本です。特に人事に関することなど重要なこと。路線方針は中国は上から順に決まっていて、変わることはまったくない。中央が決めることは決まっていますから、路線くらいのものになると、長老が入らなければいけない。反対するしないという以前に、お伺いを立てなければいけないとか、ありますから。そういう手順を踏んでいく、というのが1つですね。

反習近平の動き~「中国の成功を強調しすぎている」「経済に比べて政治が後退している」

飯田)昨日産経新聞も書いていましたが、反習近平みたいな動きがけっこう出てきているのはどうなのですか?

富坂)反習近平の動きが中国国内で公然と出てくるとは思えません。ただ、中国は対外的に自分たちの位置付けを気にし始めているということがあります。
これには2つ見方があります。対外的には、たとえば映画の『すごいぞ、わが国』が中止になったりしている。その流れの方が大きいのではないですか? あまりにも自分たちの成功を強調しすぎて、米中間摩擦にもなっている。それに対する、ちょっとした反省みたいなのがあって、「もう少し静かにした方がいいかも」ということです。中国にとって対米関係は基礎ですから、そこが揺らぎ始めているのを心配して、あまり強調しすぎないというか。中国の自己認識として、「自分たちは内輪で騒いでいると思っていたけど、海外からかなり反響があるから、少し大人しくしている」という状況だと思います。
対米関係で言うと、中国は段階があって。たとえばスポークスマンが吠えるから、どんどん段階を上げて最後は習近平がワッと言うところまで段階があります。
そういう意味では、米中戦争については商務部というところの大臣が文句を言っている程度ですから、ボリューム的にはまだあまり大きくない。ただ、アメリカがどう受け止めるかを中国は大きく気にしていますから、そういう動きがある。
もう1つは、昨年の党大会から、今年の全人代にかけて、左傾化の問題がある。中国はものすごく経済を前に進めていて、IT化も進んでいるわけですが、一方で政治が後退しています。過去に戻っているわけです。そのことに関して、気にしている部分がある。2つの流れがあると見た方がいいですね。

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