米とイランの対立~日本はイランと独自の外交を続けるべき
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月24日放送)にジャーナリストの有本香が出演。トランプ大統領がイランのロウハニ大統領にTwitterで警告したことを受け、アメリカとイランの関係、また、今後の日本とイランの関係について解説した。
トランプ大統領、イランに警告
アメリカのトランプ大統領は22日夜、イランのロウハニ大統領に対してTwitterで「アメリカを再び脅迫するな。そのようなことをすれば、歴史を通じて今までになかったような報いを受けることになる」と警告した。これはロウハニ大統領が、アメリカが行った制裁強化に対して「戦争」という言葉を使って反論したことに対するけん制ではないかとみられている。
飯田)トランプ政権は今年の5月に、イランとの核合意、欧米など6か国と結んだ合意から離脱しました。そこからイランとは対決姿勢を鮮明にしています。
イランに日本の公使館ができて来年90周年
有本)今年、イランに行こうかと思っていたんですが、非常に行きにくい雰囲気です。向こうに住んでいる方に伺うと、日本人が来る分にはそんなに影響はないはずだと言っています。現在アメリカとイランはこのような状況になっていますが、一方では日本とイランは関係が深いです。この20年、日本はイランでの権益を持っていたのに、この制裁があって日本も権益を手放さざるを得なくなったという、泣くに泣けない話もありました。
でも日本とイランにとっては来年は特別な年になるんです。今の国家の枠組みとは違うんですけど、日本の公使館が向こうにできて90周年になるので、両方で盛り上げていこうという機運がありました。その矢先、アメリカとイランの関係が緊張してしまったわけです。
日本は本来イランとのいい関係を続けたいけど、アメリカから影響を受けてしまうという残念な状況です。アメリカとイランの関係が今後どのように着地するかというのは日本にとっても影響が大きいでしょう。
飯田)イラン側は交通の要衝であるホルムズ海峡を封鎖するなんていう話もあります。そうするとイランからのみならずサウジ、イラクなどからのものも滞ることに。
有本)ホルムズ海峡が封鎖されると、そういう意味でも大変な状況になる可能性も考えておかなければなりません。
飯田)それの影響を受けて、ガソリンや原油の値段が高止まりしています。
トランプ大統領はどこでイランとDEALするか
有本)世界経済に与える影響というのは極めて大きい。ただこの問題も中国との関係もそうですけど、アメリカは落としどころをどう見ているのか、ということです。今のアメリカは中間選挙に向けてアクセルをふかしています。だけどトランプさんというのはDEAL=(取引、商売)の人と言われていますから、どこかで必ずDEALはしないといけないという認識があるようです。イランに関していうと、もともと離脱した核合意、あれ以上に妥協はできないんじゃないかと言っている向きもあります。
飯田)結局そこに戻っていかざるを得ない。
有本)それ以上にアメリカ側に有利になる方向は見えない、という人は多いです。専門家の間でもそういう意見が多い。
飯田)中東政策で言うと、サウジだとかイスラエルだとかというのはイランに対して脅威を感じている、そこの意見を採ったのではないかと言われています。
有本)ただ、サウジアラビアもいまでは方向性が変わってきています。若い世代に代替わりしていく流れのなかで、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は今までの王様と考え方は違います。そういう意味でイランとの中東のなかでの関係性も動いている。どこかで必ずDEALをするわけです。それは結果的にはあまり変わらないことになるんじゃないかなと見ています。
ただ日本にとっては影響大。来年は日本とイランにとって記念すべき年を迎えます。アメリカとイランの関係に日本があまり口をさしはさむのは難しいところですが、日本はイランとの関係を見失わないでいることが大事だと思います。
日本はイランと独自の外交を進める
飯田)周年の行事だとか、機会をつかまえて、独自外交の余地は残しておかないといけない。
有本)そういう外交努力は続けてはいますが、日本国民にも努力は必要です。80年代はイランから多くの方々が日本に働きにこられて、そのまま定住した人もいます。イラン側の対日感情はいい。対して私たち日本側はイランに対して理解がまだ足らない。報道を見ているとイランの方が無理を言っているように見えてしまいますが、必ずしもそうではありません。今回のことは国民レベルでもイランを理解していくいい機会にすべきではないかと思います。
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