イラン産原油の輸入停止へ~今後日本はイランとどうつきあうか

By -  公開:  更新:

ニッポン放送「宮家邦彦のOK! Cozy up!」(8月31日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。アメリカのイランに対する経済制裁、原油輸入禁止とそれに伴う日本の原油市場について解説した。

ハサン・ロウハーニー イラン 原油 輸入 イラン産 輸入停止 貿易
イラン産の原油~10月に輸入が止まる可能性

去年の日本の原油総輸入量のうち、イラン産は、サウジアラビア、UAE、カタール、クウェート、ロシアに次ぐ6番目の5.5%を占めるが、イランと対立するアメリカのトランプ政権は11月5日からイラン産の原油輸入国に制裁を科す方針である。これによって、石油元売り各社によるイラン産の原油の輸入が10月に止まる公算が大きくなったと時事通信が報じている。日本はアメリカに制裁措置の適応除外を求めているが、アメリカとの協議は難航し、事態打開は極めて困難な情勢。

新行)10月に止まる公算が大きくなった、ということで、急だなと思ったのですけれど。

宮家)急ですが、前兆はあるわけで、もう春の段階からずっと考えていたことです。トランプは良いか悪いかは別にして、イランとガチンコでやります。イランの核合意というのがありましたよね。あれは、私に言わせれば不十分なものでした。トランプがああいう形で撤退するとは思わなかったけれど、あまり出来の良くないものなのですよ。なぜ出来がよくないかというと、それは単にやった人がだめだったわけではなくて、イランに力があり、核兵器を開発する能力もあり、そしてその地域の大国ですからね、やはり無視できなかった。ギリギリのところでできあがったイラン核合意だった。それをけしからんとトランプが言って、元に戻してガチンコに、圧力をかけるということですから、これは当分続くと思った方がいいですよ。

難しい状況に入った日本とイランの関係

宮家)アメリカとイランの関係はこういうことになりましたが、日本とイランの関係はどう考えるか。僕も中東2課長というのをやったことあるから、それなりに勉強したつもりですけれども、昔と変わっていません。イランというのはその地域の大国ですから、この国と付き合いをやめることは絶対にいけない。しかしながら、今のイランの政治はかなり難しい政権です。ですからアメリカとの関係を考えたら、そんなに簡単にはイランに入って行けない。これは慎重にやらざるを得ない。しかし、同時に絶対にイランとの関係を切ってもいけない。この2つがとても難しいところで、いまは更に難しい状況に入っていると思います。

新行)関連してメールも頂いています。川崎市にお住いのちぐささんから頂きました。「イラン産の原油輸入禁止を通して、私が気になるのはガソリンの値上げです。どのくらい影響が出るのでしょうか」ということです。

宮家)昔はイラン産の原油は、日本の輸入量の15%くらいありました。今は5.5%でしょう。ということは、日本の企業も決して状況を知らないわけではなくて、こんなに簡単にイランとの関係がうまくいくと思ってはいなかったのでしょう。だからこそ元の15に戻さずに5.5程度にしてある。ということは、それなりにリスクを拡散しているということだと思うのですよね。そういうことを考えると、私に言わせれば、いまの原油市場の状況がある程度緩んでいる、100ドルとかそういう時代ではないですから、値段が仮に上がるとしても、あまり急激に動くような状況では無いと思っています。ただ、要注意であることは間違いないです。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組HP

忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。

Page top