過去最大の概算要求がデフレ脱却に必要な理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月3日放送)ジャーナリストの須田慎一郎が出演。過去最大となった概算要求について解説した。

来年度予算~概算要求は過去最大の102兆円台後半

先月31日、来年度である平成31年度予算の、各省庁からの概算要求を締め切った結果、医療や年金など社会補償費の増加に加え、防衛費も過去最大となったことから、要求総額は過去最大の102兆円台後半に上った。国の借金返済に充てる国債費は5.5%増の24兆円以上。予算の3割を借金で賄う異常な状態が加速している。

飯田)これが大きくなったから大変、ということになっていますが、どう思いますか?

須田)あまり意味のない、ナンセンスな話だと思います。予算編成作業という点で考えてみると、だいたいお盆休み明けに概算要求基準というのが毎年出てくる。これが財務省の示す上限です。それに対して、ここに来て各省庁の要求額がある。各省庁としては、自分たちの権限確保のためにも、たくさん要求します。
そして、各省庁の要求が積み上がったのが、概算要求です。ここから予算編成作業が始まり、財務省と各省庁の予算折衝が行われていきます。だんだん、下から上に積み上がり、最終的には大臣折衝という形になる、というのが年末に向けての予算編成作業なのです。その途中経過にすぎないのに、この段階で多いとか少ないとか、防衛予算がいくら積み上がったとか、あれこれ言うのはあまり意味のないことだと思います。まだ、「政治的判断」という部分はまったく下されていませんからね。

財政出動や予算を増やすことは理にかなった政策

須田)一方でいま日本経済は、完全にデフレから脱却したわけではないですよね。まだ道半ばだと思います。そのなかで、需要を増やしていかないとデフレからは脱却できません。
需要というのは2つしかない。民事と民間の需要と、官公需しかないのです。ただ、民間の需要に関しては金融緩和策によって、どんどん喚起するような政策を採ってきた。限界に近い形まで金融政策をやっているのだけど、なかなか旺盛な民間需要は起こってこない。それを補足する意味でも、官公需が必要になってくる。その中心となるのが財政政策なのです。その意味では、財政出動や予算を大きくすることは、極めて理にかなった政策だと思います。だから、単年度だけ見て、「日本の財政再建はどうなるのか!」と議論することに意味はない。やはり、景気をしっかり回復させて、将来にわたっての税収を確保していくことも、財政再建のための1つの必要な手立てだと思います。

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