軍事パレードで北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを登場させなかった本当の理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月10日放送)ジャーナリストの須田慎一郎が出演。金正恩体制となり大きな転換期を迎えつつある北朝鮮について解説した。

北朝鮮建国70周年~民生重視へ切り替わりつつある北朝鮮情勢

北朝鮮は昨日建国70周年を迎え、首都平壌で、祝典行事の軍事パレードを実施した。しかし、これまで披露していたICBM(大陸間弾道ミサイル)を登場させなかった他、金正恩朝鮮労働党委員長の演説もなし。非核化をめぐるアメリカとの協議が難航していることを踏まえ、抑制的な内容にしたものと見られている。

飯田)「今回のパレードは過去より小規模だった。アメリカを意識しているのではないか」と言われています。

須田)私は必ずしもそうとは見ていません。もちろん、アメリカとの協議を意識しているとは思いますが、それがすべてではない。
建国70周年を迎えて北朝鮮の社会が大きな転換点を迎えつつある。特に、金正恩体制になってから大きく変化しつつあるのです。それは国民の生活、「民生の重視」です。「国民の生活を向上させていこう」という部分に大きく舵を切りつつある。軍事最優先から民生重視へ転換しつつあるのではないかなと思います。

北朝鮮は経済立て直しのために外交関係を解決しようとしている

飯田)先代の頃は「先軍政治」と言われていましたね。

須田)「何事にも軍が優先する」という意味ですね。
金正恩体制になって認められたことがいくつかあります。1つは国民の携帯電話所持が認められました。2つ目は、市場経済が、かつては闇市のような位置づけでしたが、お金と物、あるいは物々交換が半ば黙認されるようになったのです。つまり、市場経済の導入です。いずれも国民の生活向上に直結していくわけです。そのセンテンスでアメリカとの核問題の協議というのを捉えるべきだと思います。

飯田)そう考えると、アメリカとの核問題の協議も、経済を回すためにやっているのが本音の部分ですか?

須田)そうですね。核ミサイルをこのまま開発していき、それにより外国を威嚇するような状況は、国連の制裁決議を見るまでもなく、相当な北朝鮮の国際社会からの孤立を招いてしまいます。それは政治的だけでなく、経済的な意味での孤立が、非常に大きく影響しているわけです。
そのなかで、北朝鮮の経済を立て直し、国民生活を豊かにするためには、外国との関係を解決する。特に、西側、アメリカとの関係を改善し、経済支援や経済協力を進めなければ、国民の不満解消につながっていかない、ということです。

飯田)それで考えると、「雪解けムードだから制裁は止めよう」ではなく、経済に関しての政策は効いていると思って、カードだと思わなければいけないですね。

須田)もちろんです。日本サイドが北朝鮮と、例えば韓国などとの瀬取りに対して相当厳しい発言をすることに対し、北朝鮮はかなり神経質に反応していますよね。あれを見ても、経済問題はボディブローのように効いていると考えていいと思います。

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