えちぜん鉄道で人気の“アテンダント”をご存知ですか?
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第523回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、現在公開中の『えちてつ物語~わたし、故郷に帰ってきました。~』を掘り起こします。
ローカル線が運ぶ、泣いて笑える人間ドラマ
福井県福井市と坂井、勝山を結ぶローカル線えちぜん鉄道・通称えち鉄には、アテンダントと呼ばれる女性乗務員がいることをご存知でしょうか。朝夕の通勤時間帯と日中の一部の運行を除いて各電車に乗車する彼女たちは、車内での切符販売や観光案内、年配者や身体が不自由な方の乗降補助など、接客業務を行なっています。
アテンダントの嶋田郁美によるノンフィクション「ローカル線ガールズ」をヒントに、人生の再出発や家族との絆をつむぎ出した映画『えちてつ物語 ~わたし、故郷に帰ってきました。~』が、福井県先行上映後、全国でも公開となりました。
本作を手がけた河合広栄プロデューサーは、福井県勝山市の出身。「福井県の良さをもっともっと全国の人に知ってもらいたい。そして、故郷に恩返しができたら…」という思いから、映画の製作を決意しました。河合プロデューサーの熱意に、えちぜん鉄道も賛同。撮影のために臨時ダイヤを組み、車両基地や指令所など鉄道運営の要となる場所まで解放し、全面的にバックアップ。さらに地元住民の皆さんも撮影に参加し、我らが福井の映画を盛り上げました。
実はえちぜん鉄道は、2度にわたる事故の影響で、1度は廃止が表明された過去があります。しかし沿線住民たちの声で復活し、現在は福井県民にとっても観光客にとっても、なくてはならない鉄道となっています。
東京で夢に破れ、地元・福井でアテンダントとして新たな人生を歩み出すヒロインの姿は、事故から立ち直り、再生を目指して奮闘するえち鉄の歩みと重なるよう。観る人に感動と希望を与える、爽やかな映画となりました。
主演を務めるのは、新潟県出身のお笑い芸人・横澤夏子。河合プロデューサーによると、彼女を起用した理由はズバリ容姿!「横澤さんは、北陸に5人に1人はいる親しみある顔立ち。だから彼女しかいないと思いました」と、笑顔で語る河合プロデューサー。
そしてメガホンを取った児玉宜久監督も「主人公の明るさと翳りを自然体で表現してくれました」と、主演女優の演技に大満足のご様子。様々なドラマと奇跡が詰まった本作に触れて、あなたの故郷に思いを馳せてみませんか。
えちてつ物語~わたし、故郷に帰ってきました。~
2018年11月23日から有楽町スバル座ほか全国ロードショー
監督:児玉宜久
製作:河合広栄
脚本:児玉宜久、村川康敏
テーマ曲:「わたし、故郷に帰ってきました。」作曲:植田 薫
演奏:福井県立武生商業高等学校 吹奏楽部
出演:横澤夏子、荻原みのり、山崎銀之丞、笹野高史、松原智恵子、緒形直人、辻本祐樹、坂本三佳、安川まり、吉田耕子 ほか
©︎2018「ローカル線ガールズ」製作委員会
第31回東京国際映画祭 特別招待作品
公式サイト http://gaga.ne.jp/echitetsu/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/